各選挙区の最多得票者が当選する小選挙区と、各政党の得票数に応じて議席配分する比例代表を組み合わせた衆院の選挙制度。定数が複数の中選挙区制が政治腐敗を招いたとの批判を受け、政策本位の選挙を目指して、1996年の衆院選から導入された。現行は定数465で、小選挙区289、比例代表176の配分となっている。
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小選挙区制と比例代表制を組み合わせた選挙制度。1994年(平成6)の政治改革関連法の成立によって衆議院選挙に導入され、定数は小選挙区300、比例代表200(2000年と2012年の定数削減を経て小選挙区295、比例代表180)。1996年10月20日の総選挙で初めて適用された。第二次世界大戦後、日本の衆議院の選挙制度は、最初の選挙を除いては、基本的に1選挙区の議員定数が3~5議席の中選挙区制であった。この制度では、衆議院の議席の過半数をとるためには同一政党の候補者を同一の選挙区から立候補させなければならず、このために、選挙が理念や政策の争いではなく派閥主体のサービス合戦になりがちで、金がかかり政治腐敗を生むとされた。こうして、政治改革の手段として選挙制度の改革が主張され、中選挙区制にかえて小選挙区比例代表並立制が導入された。
有権者は小選挙区の候補者名と比例代表区の政党名をそれぞれ別の投票用紙に書いて投票する(自署二票式)。小選挙区制では最多得票をした候補者1人が当選でき、大政党に有利で多くの「死票」が生まれる。また、候補者を擁立した政党の得票率と議席率は必ずしも比例しない。候補者は過半数をとらなければ当選できないとされていたが、同一小選挙区内に立候補者が3人以上いれば過半数以下でも当選でき、1996年総選挙では得票が過半数以上だった当選者は29.7%にすぎなかった。比例代表制は政党規模に対して本来中立だが、全国が11ブロックに分割されたため、大政党に多少有利になった。政党はあらかじめ順位をつけた候補者名簿を提出し、得票数の多い順にドント式(ベルギーの法学者ドントVictor d'Hondt(1841―1901)が考案した比例計算方式。1、2、3という整数で各政党の得票数を順次割り、その商の大きな政党から議席を割り当てる方式)で当選者が決まる。ただ、小選挙区との「重複立候補」や「同一順位」も認められており、小選挙区での当選者は比例名簿から除かれる。同一順位の候補者の順番は小選挙区での惜敗率(当選者の得票数に対する当該候補者の得票数の割合)の高い順になる。1996年総選挙では、小選挙区で法定得票数にも達しない候補者が比例代表区で当選する復活当選の例が生じたため、「重複立候補制」の見直し論も生まれた。2000年2月に衆議院比例代表の定数を20削減する改正公職選挙法が、2012年11月には衆議院小選挙区を300から295とする改正法が可決成立した。
[五十嵐仁]
『五十嵐仁著『徹底検証 政治改革神話』(1997・労働旬報社)』
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(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)
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…まず,94年12月に新生党,日本新党,公明党,民社党が合体して,新進党が結成され,96年1月には自民党主導の橋本竜太郎政権が成立し,同年9月には,さきがけと社民党(1996年1月に社会党は党名を変更)からの離党者を軸に鳩山由紀夫,菅直人を双頭のリーダーとして民主党が作られた。このような政党配置図の変転をさらに刺激したのが,政治改革の一つの成果として94年に導入された衆院議員選挙のための小選挙区比例代表並立制(〈比例代表制〉の項を参照)にほかならない。 すなわち,96年10月にこの新しい選挙制度の下で行われた最初の総選挙で,社民党は,わずか15議席しか獲得できず,自民,新進両党ばかりか,民主,共産両党の後塵をも拝する第5党に転落した。…
※「小選挙区比例代表並立制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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