日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラーム」の意味・わかりやすい解説
ブラーム
ぶらーむ
Otto Brahm
(1856―1912)
ドイツの演劇改革者。ハンブルグに生まれる。大学でドイツ文学を修め、編集者、劇評家として活動していた。1889年にフランスのアントアーヌの例に倣って、数人の同志とベルリンに会員組織の自由舞台を設立し、イプセンの『幽霊』やハウプトマンの『日の出前』をマチネー形式で上演した。94年にドイツ座の監督となり、自らは演出しなかったが、演出を重視し、自然主義的な演技様式を徹底化したアンサンブルをつくりあげた。俳優として契約したラインハルトが、新ロマン主義、印象主義的な時流にのる演出家として有名になると、彼に監督の座を譲り、1905年にレッシング座の監督となった。自然らしさを重んじ劇的なものを排除した禁欲的な態度は、ラインハルトと対照的であった。
[岩淵達治]