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日本のおもな郷土玩具 にほんのおもなきょうどがんぐ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日本のおもな郷土玩具
にほんのおもなきょうどがんぐ

*印は、別に本項目があることを示す。
〔北海道〕
アイヌ人形(アイヌにんぎょう)
 アイヌの風俗や伝説の神を多く主題とした木彫り人形。こけしに似たニポポ、小人伝説に登場する神コロポックル人形、男女像が一対(つい)となった穴の中の神様トンチカムイなどがあり、道内の各観光地で売られている。
熊彫り(くまぼり)
 ヒグマのさまざまな姿態を写実的に木彫りした民芸玩具。大正の末、八雲(やくも)町の徳川農場で農民の副業として製作させたのがおこり。奈井江町、札幌市、旭川(あさひかわ)市ほか各地で製作され、北海道の代表的な観光土産(みやげ)品。
函館の蝦夷凧(はこだてのえぞだこ)
 函館市産。北海道開拓百年を記念してつくられた新郷土凧。アイヌ神話から取材したもの、五角形の五稜郭(ごりょうかく)凧、イカの大漁祝いのいかのぼりなどがある。
〔青森県〕
大鰐こけし(おおわにこけし)
 津軽系に属する伝統こけしで、構造は作り付け式。直胴で稚拙な泥臭さに特徴がある。
下河原の土人形(したがわらのつちにんぎょう)
 弘前(ひろさき)市桔梗野(ききょうの)(通称下河原)産。文化(ぶんか)年間(1804~1818)九州の陶工高谷金蔵が招かれ、製陶の余暇につくったのが創始という。人形笛は人の姿や動物の土人形の空洞を利用して下部に笛口をつけたもので、なかでも鳩笛(はとぶえ)は優れた代表的なもの。泥面子(どろめんこ)は硬貨大のものに模様が浮彫りされ、色が塗り分けてある。「あんこ」ともよばれ、さまざまな遊びに用いられた。
津軽凧(つがるだこ)
 弘前市周辺で用いられる角凧(かくだこ)。骨には竹のかわりにヒバ材を用いている。図柄は、郷土祭りのねぷた絵を基にした武者絵、金時(きんとき)など種類が多い。
津軽のずぐりごま(つがるのずぐりごま)
 すり鉢型の木製こま。へこんだ部分に赤、黄、緑などのろくろ模様が描かれ、紐(ひも)を下部に巻き付けて回すもの。弘前市、黒石(くろいし)市、大鰐(おおわに)町などでつくられる。
温湯こけし(ぬるゆこけし)
 津軽(温湯)系こけしの中心(黒石市)。構造は作り付け式。大正初期に創案され、都会ずれのしない暗渋さが特徴。
八戸のくけまり(はちのへのくけまり)
 八戸市産。紙や布きれを固く丸めて芯(しん)にし、くけ糸を巻き付け簡単な模様を配した糸まり。素朴な手作りの味わいをもつ。同種のまりでは日本最北端の作品である。
弘前のねぷた(ひろさきのねぷた)
 弘前市の夏の行事、ねぷた祭りの灯火玩具。竹の骨組みに和紙を張り、武者絵などが描かれる。巾着(きんちゃく)型、扇(おうぎ)型、金魚(きんぎょ)型がある。
弘前馬こ(ひろさきまっこ)
 幕末、黒石で奉献用の神馬にかたどってつくられた木馬が原型。1887年(明治20)ごろ弘前に伝えられ、和徳木馬(わとくもくば)ともよばれた。張り子製もある。
八幡馬(やわたうま)
 八戸市櫛引八幡宮(くしびきはちまんぐう)の例大祭に売り出される木馬。嫁入り馬の盛装を表現したもので秀作とされ、全国郷土玩具の日本三駒(こま)の一つとして知られる。
〔岩手県〕
南部の馬玩具(なんぶのうまがんぐ)
 盛岡市、花巻市産。南部ウマの産地でウマと人の生活が密着しているため、習俗、伝説、行事にちなんだ玩具も数多い。首に鈴をつけたウマの晴れ姿のちゃぐちゃぐ馬(うまっ)こ、ホオノキの板を切り抜いて絵馬を立体化したような板馬、木製黒駒(くろこま)の先陣駒、藁(わら)製の忍び駒などがある。
花巻のきなきな(はなまきのきなきな)
 花巻市、盛岡市など各地にみられる伝統こけし。花巻系(南部系)こけしで、白木、無彩、10センチメートル前後で、頭部がくらくらと動くようになっているのが特徴。幼児のおしゃぶりとして親しまれてきた。
花巻の金べこ(はなまきのきんべこ)
 花巻市産。べこは方言でウシのこと。昔、砂金をウシの背に積んで都に運んだ姿を玩具化したもの。木製と張り子製がある。
〔宮城県〕
秋保こけし(あきうこけし)
 仙台市太白区秋保町産。遠刈田(とおがった)系に属する。構造は挿し込み式。顔に淡い頬紅(ほおべに)を入れ、頭部に放射状の紅手絡(あかてがら)模様を描き、中央の青紋が乙字状になっているのが特徴。
唐桑の諸玩具(からくわのしょがんぐ)
 気仙沼市唐桑町産。航海、縁結びの神として知られる御崎(おさき)(日高見(ひたかみ))神社の祭礼玩具。海上安全を祈る縁起物が多い。さっぱ舟はキリの木の刳舟(くりぶね)に大漁の旗が立つもの。弾(はじ)き猿(ざる)は竹の棒に綿を赤布でくるんだものを通してサルに見立てた原始的な作りである。風車(かざぐるま)はスズタケを割って皮を編み、車輪形に広げ色紙を張ったもので、幸運をよぶ縁起物として授与される。
木下駒(きのしたごま)
 仙台市若林区木ノ下薬師堂の参道で節供祭に売られる木馬。黒地に赤、緑、白で模様が描かれ、たてがみと尾がついている。
仙台の張り子玩具(せんだいのはりこがんぐ)
 明治の初め、仏師高橋徳太郎(通称面徳)によって完成され、木型が伝えられて、おもに達磨(だるま)と面を中心に発展してきた。松川達磨は当初、本毛の眉(まゆ)、ガラスの目、腹部の模様の華麗さで知られ、正月の縁起物として達磨市で売られて仙台名物となっている。面類は鍾馗(しょうき)、烏天狗(からすてんぐ)、狐(きつね)などのほか、能狂言面に取材した黒塗り面は優れたものである。ほかに、おぼこ、首振り虎(とら)、馬などがある。
堤人形(つつみにんぎょう)
 仙台市青葉区堤町産。藩政時代、足軽屋敷のあった地で、副業とした人形作りに始まるという。今戸(いまど)、伏見(ふしみ)の影響も受けながら、黒く沈んだ色調に特徴があり、東北地方の土人形の源流ともいう。雛(ひな)、天神、熊(くま)乗り金時(きんとき)など種類も多い。
遠刈田こけし(とおがったこけし)
 蔵王町産。遠刈田系こけしの中心。頭は胴に比して大きく、引き目、割れ鼻の表情は可憐(かれん)、全体に華麗な感じのこけしである。
鳴子こけし(なるここけし)
 大崎市鳴子温泉産。鳴子系こけしの中心。京都御所人形の髪模様に由来する前髪と赤い手絡(てがら)が特徴。はめ込み式で、首を回すときいきい鳴るのも特色の一つである。
ぽんぽこ槍(ぽんぽこやり)
 仙台市産。張り子製のひさごを竹棒の先に挿して槍に見立て、五色の吹流しがついたもの。木ノ下薬師堂で古くから厄除(やくよ)けに求められた。
弥治郎こけし(やじろうこけし)
 白石(しろいし)市産。弥治郎系こけしの中心。挿し込み式、はめ込み式の2種がある。形は直胴または裾(すそ)開きの傾斜胴で、頭頂部の多彩なろくろ模様に特色がある。
〔秋田県〕
秋田のぼんでんこ(あきたのぼんでんこ)
 秋田市三吉(みよし/さんきち)神社の梵天(ぼんてん)奉納祭りに売り出される祭礼玩具。奉納される梵天(御幣)は2メートルもあるもので、これを小形化したもの。
角館のいたや馬(かくのだてのいたやうま)
 仙北市角館町産。イタヤカエデの経木で編んだ細工物。無彩色で親子馬を簡潔に表現している。ほかに狐(きつね)など動物類各種がある。
川連こけし(かわつらこけし)
 鎌倉時代から木地(きじ)業の古い歴史をもつ湯沢(ゆざわ)市川連町産の伝統こけし。構造は作り付けで、木地山系に属する。胴に縞(しま)模様の衣装や前垂れ姿などを描いたものがある。
木地山こけし(きじやまこけし)
 湯沢(ゆざわ)市皆瀬(みなせ)産。木地山系こけしの中心。天保(てんぽう)年間(1830~1844)信州系の流れ木地師小椋(おぐら)家が創始。構造は作り付け式。胴に量感があり、前掛け模様に特色がある。
小坂の土人形(こさかのつちにんぎょう)
 小坂町産で、花巻土人形の流れを伝えるもの。種類も約50種と多く、なかでも斧(おの)を持った神像の山の神は異色で、地元の鉱山で働く人たちの守り神とされ、縁起物として求められた。
御殿まり(ごてんまり)
 由利本荘(ゆりほんじょう)市産の糸まり。特産の山菜、ぜんまい綿を芯(しん)に丸く固め、色糸で幾何模様に仕上げたもの。現在は絹糸、レース糸、毛糸も使われる。
中山の土人形(なかやまのつちにんぎょう)
 横手市産。横手人形ともいう。赤、黄、黒などの原色を用いた明るい色調が特徴で、約100種の型が現存する。「串(くし)あねっこ」はこのなかの1種の姉様(あねさま)人形で、土製の頭に紙と布で髪形をつくり、色紙衣装を着せて長い串に挿してあるもの。
八橋の土人形(やばせのつちにんぎょう)
 秋田市産。秋田藩主佐竹義和(よしまさ)が領内の陶業を奨励した時代に始まる。京の伏見(ふしみ)人形の流れをくむもの。代表的な作品は天神で、ほかに節供人形など各種。
横手のぼんでんこ(よこてのぼんでんこ)
 横手市郊外の旭岡山(あさひおかやま)神社の梵天祭りの祭礼玩具。白木の棒の先に削り掛け技法で穂をつけ、赤、青、黄などで彩色し、梵天を模してつくったもの。
〔山形県〕
温海の木地玩具(あつみのきじがんぐ)
 鶴岡市温海産。蔵王高湯系のこけしのほか、提灯(ちょうちん)こま、輪抜き達磨(だるま)など各種がつくられている。
いずめこ人形(いずめこにんぎょう)
 鶴岡(つるおか)市産。藁籠(わらかご)(いずめ)に幼児を入れて育てるこの地の風俗を人形化したもの。昭和の初めにつくられ、観光土産(みやげ)になっている。
御殿まり(ごてんまり)
 鶴岡市産。庄内(しょうない)藩の御殿女中が手すさびにつくったことからこの名がある。綿、紙、布などを芯(しん)にして色糸で模様に巻き込んだもの。
蔵王高湯こけし(ざおうたかゆこけし)
 山形市産。蔵王高湯系こけしの中心。明治の中ごろ、福島県土湯(つちゆ)の木地職を招いて創始。遠刈田(とおがった)、鳴子(なるこ)の技術を基礎にして新しい系統の作品を生み出した。挿し込み式。
酒田の瓦人形(さかたのかわらにんぎょう)
 酒田市産。明治末期に創始された土人形。瓦を焼く片手間に製作したのでこの名がある。熊金(くまきん)(熊乗り金時)、桃太郎、花咲爺(はなさかじじい)、天神など童話に題をとったものに特色がある。
酒田の獅子頭(さかたのししがしら)
 酒田市産。明治末期の創始。祭礼に魔除(まよ)けとして売られてきた。木製で、耳の立った金、黒の各雄(お)獅子と、耳を伏せた赤塗りの雌(め)獅子の3種がある。
相良人形(さがらにんぎょう)
 米沢(よねざわ)市産。安永(あんえい)(1772~1781)のころ、米沢藩士相良清左衛門(せいざえもん)が藩主の命を受けて創始した土人形。伏見(ふしみ)人形、堤人形の影響を受けながら、彩色には土地産の植物染料を用いるなど独自のものを生み出した。
笹野彫り(ささのぼり)
 米沢市郊外の笹野千手(せんじゅ)観音の縁日に売り出される縁起物。白肌の木を、削り掛けの技法で彫って彩色し、花、鳥、動物などを表現している。
庄内姉様(しょうないあねさま)
 鶴岡市産。髪形が大きく、表情に優美な気品のある姉様人形。黒の光沢紙でつくる髪形も種類があり、男女一対(つい)の作品に特色がある。
庄内板獅子(しょうないいたじし)
 鶴岡市産。板を2枚組み合わせてつくった平たい獅子頭で、口がぱくぱくと開いて鳴るもの。雌雄2種がある。
肘折こけし(ひじおりこけし)
 大蔵(おおくら)村産。肘折系こけしの中心。鳴子、遠刈田の影響をみせながらも、濃厚な描彩、アルカイック(古拙)な笑いを含んだ表情に独自の個性をもつ。
山形こけし(やまがたこけし)
 山形市産。山形系の伝統こけし。明治中期、宮城県作並(さくなみ)より移住した小林倉治(くらじ)により創始。作並・山形系ともいう。挿し込み式。頭に比べ細い胴には花模様が描かれている。
〔福島県〕
会津若松の風車(あいづわかまつのかざぐるま)
 会津若松市産。色とりどりの紙片八葉を車輪形にあわせ、竹の柄(え)をつけたもの。
会津若松の天神(あいづわかまつのてんじん)
 会津若松市産。キリの木粉を糊(のり)で固めてつくった練り物。卵形の上品な顔は磨き出しで、木製の三重台座に座した姿の端麗な美しさは全国天神のなかでも出色とされる。
会津若松の初音(あいづわかまつのはつね)
 会津若松市産。竹製の鶯笛(うぐいすぶえ)。元旦(がんたん)の朝、振り売りの初音を買って神棚に供え、新年を祝い合う風習が第二次世界大戦前まであったという。
会津若松の張り子玩具(あいづわかまつのはりこがんぐ)
 1590年(天正18)この地に移封された城主蒲生氏郷(がもううじさと)が、張り子の技法を藩士の生活の資として習得させたのが始まりという。赤と黒の彩色が主で、童心に満ちた作品が多い。赤べこは赤塗り、白の縁(ふち)どりと黒い斑点(はんてん)が描かれた首振り牛、起き姫は約3センチメートルの小さな起き上がり、ほかに馬乗り子供、達磨(だるま)などがある。
飯坂こけし(いいざかこけし)
 飯坂温泉産。土湯(つちゆ)系に属する伝統こけし。構造ははめ込み式。頭頂部に黒い蛇の目模様、胴にはショウブなどの花模様が描かれている。
土湯こけし(つちゆこけし)
 土湯温泉産。木地(きじ)業の伝統のある地で、江戸初期、会津木地師によって始まったという。土湯系こけしの中心で、構造ははめ込み式。小ぶりの頭、偏平な頭頂部の黒い蛇の目模様、胴のろくろ模様を特徴とする。
富岡の張り子玩具(とみおかのはりこがんぐ)
 富岡町産。江戸末期の創始。三春(みはる)張り子系で、全体に粗雑、稚拙なところに郷土色がある。おもなものに達磨、首振り虎(とら)、俵牛(たわらうし)、鯛(たい)、猿などがあり、面のなかでは白ひげをつけた鍾馗(しょうき)面が出色。
福島のまさる(ふくしまのまさる)
 福島市羽黒神社の祭礼に売られる縁起物玩具。竹弓の弦に通した土鈴が振ると音をたてて降りてくるもの。土鈴をサルに見立て、「真猿」すなわち「勝る」を縁起とした。
三春駒(みはるごま)
 郡山(こおりやま)市産の木馬。直線を生かした形の飾り馬で、花模様の胸掛け、シュロのたてがみと尾がついている。
三春張子(みはるはりこ)
 郡山市産。江戸時代、三春藩主秋田倩季(よしすえ)が農民に張り抜き人形の技法を習得させたのが始まりという。「三春人形」の名で知られ、独特の技法、細工により作品におもしろみを与えている。各種の面、達磨、起き姫、俵牛、虎など優れたものが多い。
〔茨城県〕
那珂湊の張り子玩具(なかみなとのはりこがんぐ)
 ひたちなか市産。明治初年からつくられているという。目なし様式の達磨(だるま)が代表的なもので、海の大漁を祈る縁起物である。ほかに首振りの虎(とら)やうさぎ、天狗(てんぐ)面、おかめ面などがある。
農人形(のうにんぎょう)
 水戸市産。農本主義を唱えた藩主徳川斉昭(なりあき)の遺徳をしのんでつくられた郷土人形。土製、木製2通りのものがある。
真弓馬と宝舟(まゆみうまとたからぶね)
 東海村村松山虚空蔵(こくうぞう)堂の縁日に売り出される縁起物玩具。真弓馬は杉板を奴凧(やっこだこ)の形に切って馬に仕立てた立体的な絵馬。宝舟は漁船の形に似せてつくられ、大漁と海上安全の祈りが込められている。
〔栃木県〕
黄鮒(きぶな)
 宇都宮市産。フナの形の縁起物玩具。張り子製。悪病除(よ)けのまじないとして門戸に下げる風習がある。
日光の茶道具(にっこうのちゃどうぐ)
 日光市産。白木でつくる小形の茶釜(ちゃがま)、茶筒、急須(きゅうす)、茶碗(ちゃわん)などを一式にまとめて観光土産(みやげ)として売るもの。木地(きじ)業、挽物(ひきもの)細工の伝統から生まれた。
豆太鼓(まめだいこ)
 宇都宮市産。二荒山(ふたあらやま)神社や市内の初市で売られる縁起物。経木の胴に紙を張り、両側に豆を糸で垂らした簡単な振り太鼓。農作と家内安全のマスコットとして求められている。
〔群馬県〕
総社の挽物玩具(そうじゃのひきものがんぐ)
 前橋市総社町は上州木地(きじ)師の流れをくむ挽物の産地。こけし人形、達磨(だるま)落とし、剣玉(けんだま)、輪投げなど、観光地土産(みやげ)品として他県へも出荷される。
豊岡の福達磨(とよおかのふくだるま)
 高崎市産。張り子製。起き上がり目なし達磨で、関東達磨の元祖ともいえるもの。家内安全、商売繁盛を祈願して、腹部に大福、福神などの文字が記されている。少林山達磨寺の達磨市で売られる。
豊岡の招き猫(とよおかのまねきねこ)
 高崎市産。張り子製。右手あげと左手あげがある。商売繁盛、千客万来の縁起物とし、また農家では繭を食べるネズミ除(よ)けのまじないとする。福達磨とともに達磨市で売られる。
沼田の天狗面(ぬまたのてんぐめん)
 迦葉山弥勒(かしょうざんみろく)寺は古くから天狗伝説で知られ、家運長久、悪魔退散を祈願して天狗面を供える習俗がある。天狗面は沼田張り子の代表的なもので、大小、色、形など種類も多い。
〔埼玉県〕
岩槻人形(いわつきにんぎょう)
 雛(ひな)人形、五月人形が主で、全国の80~90%をさいたま市岩槻区で生産している。キリのおがくずに生麩糊(しょうふのり)を混ぜ、型に入れてつくる練り製人形。
鴻巣の練り物玩具(こうのすのねりものがんぐ)
 鴻巣市はさいたま市岩槻区と並ぶ節供人形の産地。練り製の節供飾り玩具も多く、彩色は赤が基調で「鴻巣の赤物」ともよばれる。獅子頭(ししがしら)は、江戸時代天明(てんめい)(1781~1789)のころから厄除(やくよ)けとして売られたという。ことに、小形で後部に弓状についた竹の仕組みでぱくぱく口を開く弓獅子は、全国の獅子頭玩具のなかでも特異なもの。ほかに鯛車(たいぐるま)、天神、熊(くま)乗り金時(きんとき)、達磨(だるま)などがある。
船渡の張り子玩具(ふなとのはりこがんぐ)
 越谷(こしがや)市産。東京・亀戸(かめいど)天神社の参詣土産(さんけいみやげ)として、亀戸張り子の名でも知られる。首振り、吊(つ)るし物に特色があり、首振り虎(とら)、牛乗り天神、相合い傘、千両箱負いなどユーモラスなものが多い。なお、張り子達磨が市内各地で「越谷達磨」の名でつくられている。
〔千葉県〕
柏の土人形(かしわのつちにんぎょう)
 柏市産。首人形、下総(しもうさ)天神などがある。首人形は、昔、付近の水戸街道を往来した旅人の風俗、表情を写したもの。ほかに張り子製の虎(とら)、面などがある。
芝原の土人形(しばはらのつちにんぎょう)
 長南(ちょうなん)町産。幕末、江戸浅草今戸(いまど)人形の製法を取り入れ創始。土肌が粗く野趣があり、中の空洞に粘土の玉を入れて音が鳴るのも特徴である。節供人形、風俗人形、動物など種類も多い。
千葉のまこも馬(ちばのまこもうま)
 房総一帯および利根(とね)川流域各地の七夕(たなばた)行事に用いるマコモ製の馬。材料のマコモは水辺に群生するイネ科の草で、農家ではこれで馬や牛をつくり、七夕星に供えて豊作を祈る習俗が古くからある。
長南の袖凧(ちょうなんのそでだこ)
 半纏(はんてん)の袖を広げ、背面から見た形をしているのでこの名がある。漁師が大漁祝いに着る真祝(まいわい)の衣装を模したもの。現在は市原市で製作。
〔東京都〕
犬張り子(いぬはりこ)
 東京の代表的郷土玩具。京都産の箱型の犬筥(いぬばこ)に対し、イヌの立ち姿を洗練された単純さで表現した点に特色がある。張り子製で、子育てのマスコットとして愛され、小形のものにざるをかぶせた「ざるかぶり犬」もある。
今戸人形(いまどにんぎょう)
 台東(たいとう)区浅草の今戸で、江戸時代、瓦(かわら)、土器づくりのかたわら生まれた土人形。群青と朱丹を主調とした簡潔な彩色の小形物で、羽織狐(はおりぎつね)、月見兎(つきみうさぎ)など種類も多く、盛衰を繰り返しながら現在に伝えられている。
江戸姉様(えどあねさま)
 上製の千代紙を材料にした姉様人形。髪は白のままで顔を描かず、後ろ姿に主眼が置かれている点に特徴がある。
王子稲荷の暫狐(おうじいなりのしばらくぎつね)
 北区王子稲荷で参詣土産(さんけいみやげ)に売られている紙製玩具。歌舞伎(かぶき)の「暫(しばらく)」の舞台姿をキツネで表現し、からくり仕掛けで手が上下に動く仕組みである。
王子稲荷の火防凧(おうじいなりのひぶせのたこ)
 北区王子稲荷で2月の初午(はつうま)に授与される小形奴凧(やっこだこ)。火防御守護を祈願して荒神(こうじん)棚、大神宮に供えられる。
亀戸天神の鷽(かめいどてんじんのうそ)
 江東(こうとう)区亀戸天神社で、正月初天神の日に授与する縁起物。白木を素材にウソを削り掛けの技法と彩色を用いて表現した簡素なもの。かつては参詣者がこれを互いに取り替える鷽替えの行事がみられた。
深大寺の藁馬(じんだいじのわらうま)
 調布市深大寺門前で、「赤駒(あかごま)」の名で売られる高さ15センチメートルほどの藁製の馬。紅白の紙編みの手綱をつけ、胴には赤、黄の帯を垂らす。
すすきみみずく*
 豊島(としま)区雑司ヶ谷(ぞうしがや)の鬼子母神(きしもじん)で売られる土産物玩具。ススキの穂を丸く束ねて体をつくり、経木の赤い耳、きびがら製の大きな目、竹の嘴(くちばし)をつけ、ミミズクの姿態を写実的に表現している。
千木筥(ちぎばこ)
 港区芝神明(しんめい)社の祭礼に授与される縁起物。小判型の経木を箱のように三つ重ねした曲物(まげもの)を藁で縛ったもの。雷除(かみなりよ)けのまじないとされた。
弾き猿(はじきざる)
 葛飾(かつしか)区柴又帝釈天(しばまたたいしゃくてん)の参詣土産。竹の棒に抱きついた布製のくくり猿が、下部の竹弓を弾くと跳ね上がるもの。身上が跳ね上がり、悪事災難を弾き去る縁起から生まれた。
富士神社の麦藁蛇(ふじじんじゃのむぎわらへび)
 文京区駒込(こまごめ)の富士神社で、富士山開きの祭礼に授与される縁起物。祭神木花開耶姫(このはなさくやひめ)にちなむ神竜を信仰玩具化したもの。虫害を防ぎ、水毒を消すなどの俗信があった。
〔神奈川県〕
江の島の貝細工(えのしまのかいざいく)
 藤沢市江の島弁才天の参詣土産(さんけいみやげ)として発達したが、貝屏風(びょうぶ)や掛け額風な花貝など姿を消したものも多い。現在は貝指輪、はじき貝など小さな細工物が中心。
大山の木工玩具(おおやまのもっこうがんぐ)
 伊勢原(いせはら)市阿夫利(あふり)神社の参詣土産物として、挽物(ひきもの)、指物、竹製品などが大山細工の名で発達した。木肌の美しい堅木をろくろで仕上げた臼(うす)と杵(きね)、紫色を主調としたろくろ模様の木ごま、3センチメートルほどの輪切りにした竹を針金でつないだ竹蛇などがある。
岡村の土天神(おかむらのつちてんじん)
 横浜市の岡村(杉山)天満宮で授与される黒冠、水干装束、童顔の土製天神。1928年(昭和3)秋山登という研究家が創案、奉納したのが始まりという。
鎌倉宮の板獅子(かまくらぐうのいたじし)
 「鎌倉宮」の焼き印を押した福獅子。朱色の耳を立て、2枚の板を組み合わせてつくられ、口を開閉してかちかちと鳴る音で悪魔を祓(はら)うとされている。
〔新潟県〕
小千谷の木牛(おぢやのきうし)
 小千谷市産。この地方の闘牛の行事にちなんだ木製玩具。白木の丸太に曲がった小枝で角(つの)をつけ、紅白の布で飾ってウシの晴れ姿を表現したもの。
三角達磨(さんかくだるま)
 阿賀野(あがの)市山口産。紙または経木を円錐(えんすい)形に丸め、青衣、赤衣の2種を夫婦(めおと)達磨に見立てたもの。横目を使ったおどけた表情に特徴がある。
鯛灯籠(たいどうろう)
 三条市産。竹骨に紙張りの鯛が波を描いた箱型台車に乗ったもの。中にろうそくをともして引いて遊ぶ。
野呂間人形(のろまにんぎょう)
 佐渡島(さどがしま)産。郷土芸能の人形芝居の人形を玩具化した土製首人形。長者、道化者、仏師、お多福の4種の怪異なまぬけた表情に特徴がある。
山口の土人形(やまぐちのつちにんぎょう)
 阿賀野市山口産。江戸後期創始の伝統をもつ伏見(ふしみ)人形系統の土人形。色は淡彩で上品、種類は馬乗り鎮台、玉乗り馬、天神、鳩笛(はとぶえ)など20種余りがある。
六角凧(ろっかくだこ)
 三条市産。毎年6月に行われる凧合戦に用いるもので、六角形の縦骨を外すと巻き込めるので巻き凧ともいう。図柄は歌舞伎(かぶき)の似顔絵や武者絵などの表情が大きく描かれて迫力がある。
〔富山県〕
高岡の獅子頭(たかおかのししがしら)
 高岡市産。キリ、ホオノキを彫ってつくった一本角(づの)の獅子頭。黒、赤それぞれを主色とした2種があり、耳とあごが動く仕組みのもの。
富山の獅子頭(とやまのししがしら)
 富山市産。木製で額の中央に一本角をもつ。明治初年、旧藩士が創始したもので、黒、赤2種いずれも技法に優れ、高岡の獅子頭にも影響を与えた。
富山の土人形(とやまのつちにんぎょう)
 富山市産。藩主前田利保(としやす)が名古屋の陶工広瀬秀信(ひでのぶ)を招いて御家焼をつくらせたが、秀信の子安次郎が天神臥牛(がぎゅう)を焼いて献じたのが始まりという。小形でかわいらしいのが特徴で、天神、抱き雛(びな)など種類も多く、縁起物、御守りなどとしても親しまれている。
〔石川県〕
起き上がり(おきあがり)
 金沢市産。張り子製で女達磨(だるま)ともよばれ、真紅の胴に松竹梅の模様を蒔絵(まきえ)風に描いた典雅なもの。加賀八幡(はちまん)の祭神応神(おうじん)天皇の産着姿になぞらえたものとされる。
加賀獅子頭(かがししがしら)
 金沢市産。キリの白木作りで頭には一本角(づの)。加賀藩が武芸奨励のために盛んに舞わせた獅子舞の頭に模したもの。
加賀人形(かがにんぎょう)
 金沢市産。3代目藩主前田利常(としつね)が工芸振興のため人形師につくらせたのが始まりという。京都御所人形の流れをくむ繊細高雅な人形。加賀鳶(とび)、安宅関(あたかのせき)弁慶などの各種がある。
金沢の土人形(かなざわのつちにんぎょう)
 金沢市産。古くから疱瘡除(ほうそうよ)けの土人形として男女一対(つい)の立ち姿につくったもの。快癒を祈って川に流す習俗があった。小形人形で「愛嬌雛(あいきょうびな)」の名でよばれた。
金沢の旗源平(かなざわのはたげんぺい)
 金沢地方独特の正月の室内遊具。紙、竹製の源氏の旗、平家の旗をさいころを振って奪い合う遊び。
米喰い鼠(こめくいねずみ)
 金沢市産。からくり仕掛けの木製玩具。竹のばねを押すとネズミが米を食べる動作をする仕組みになっている。1960年(昭和35)子(ね)年の年賀切手図案に採用された。
〔福井県〕
越前竹人形(えちぜんたけにんぎょう)
 福井市・坂井市産。第二次世界大戦後の民芸玩具。福井県出身の作家水上勉(みずかみつとむ)の同名の小説によって有名になり、高級品もつくられるようになった。作品は竹を用い、弁慶、八重垣姫(やえがきひめ)など能や歌舞伎(かぶき)に取材したものが主で、各種ある。
気比神宮の桃太郎(けひじんぐうのももたろう)
 敦賀(つるが)市内の気比神宮から授与される童形の土製神像。吉備(きび)地方(岡山県と広島県の東半分)の兇鬼を平定したという祭神の物語縁起が、桃太郎伝説のもとになったという。子育て、子授けの縁起物とされる。
福井の雪人形(ふくいのゆきにんぎょう)
 大野市、前田芳雲の創作になる第二次世界大戦後生まれの木製民芸人形。ヒノキ、ナラなどの白木を生かした一刀彫りで、雪に着るござ帽子にヒントを得てつくられたもの。
〔山梨県〕
白達磨(しろだるま)
 甲府市産。元禄(げんろく)(1688~1704)のころの創始と伝えられる白色の達磨。胸に子達磨を描いた子持ち達磨もある。
土鈴(どれい)
甲府市御岳金桜(かなざくら)神社の参詣土産(さんけいみやげ)物玩具。金色2センチメートルほどの小鈴を5個、紅白の紐(ひも)で結んだもの。子供の虫除(むしよ)けのまじないとされ、虫切り鈴ともいう。
福竜(ふくりゅう)
 甲府市産。土地の竜神伝説にちなみ、タツノオトシゴをモチーフにした木製民芸品。1954年(昭和29)に創案された。1964年辰(たつ)年の年賀切手図案に採用された。
〔長野県〕
桐原の藁馬(きりはらのわらうま)
 長野市産。養蚕が盛んで、またウマの産地でもあることから生まれた縁起物。養蚕、農作、子供の息災を祈って神前に供えた。藁細工として巧緻(こうち)な技巧を用い、造型的にも優れている。
中野の土人形(なかののつちにんぎょう)
 中野市産。伏見(ふしみ)人形を原型として江戸時代に創始。ぼこ(童子)を主題にしたものが多く、節供飾り人形が主。
野沢温泉のあけび細工(のざわおんせんのあけびざいく)
 アケビのつるを利用してつくる土産(みやげ)物細工。天保(てんぽう)年間(1830~1844)に始まったという。鳩車(はとぐるま)、唐人笛などが有名。
松本の手毬(まつもとのてまり)
 松本市産。山繭を芯(しん)に、糸を巻き付けて模様に仕上げた糸まり。江戸時代に始まり、麻の葉、八重菊など古くからの模様も伝えられている。
〔岐阜県〕
高山の土人形(たかやまのつちにんぎょう)
 高山市産。渋草焼陶工の家に育った現製作者、岩信成(のぶしげ)が大正時代に創始。各地の古い土人形から型どりし、さらに創意を加えた。雛(ひな)ぞろい、天神など節供飾り用が多い。
鯰押え(なまずおさえ)
 大垣市産。大垣八幡(はちまん)の祭礼に出る山車(だし)人形「道外坊(どうけぼう)」を玩具化したもの。糸操りの一種で、台上の紙人形道外坊と紙製のナマズがくるくる回る仕掛けになっている。
姫の土人形(ひめのつちにんぎょう)
 可児(かに)市産。明治の初めに犬山の陶工から技法を習って創始。人形の型は三河系で、歌舞伎(かぶき)の外題(げだい)物が多い。
美江寺の蚕鈴(みえじのかいこすず)
 岐阜市大日山美江寺観音の例祭、お蚕祭りで売られる縁起物の土鈴。養蚕の御守りで、型は宝珠、福神、巾着(きんちゃく)など大小十数種がある。
〔静岡県〕
祝鯛(いわいだい)
 静岡市内西宮(にしのみや)神社で毎年戎(えびす)講前日に売られる縁起物。張り子製の金鱗(りん)の赤鯛が2匹向かい合い、口の部分を藁(わら)で結んだもの。
おかんじゃけ
 静岡市久住山洞慶院(とうけいいん)の祭りに売られる竹製玩具。若竹の先の部分をたたいて麻糸のようにつぶし彩色したもの。
小松の姉様(こまつのあねさま)
 浜松市産。トウモロコシの皮でつくった数種の髪形に紙衣装を着せたもの。10センチメートルほどの小形で、火難除(よ)けのまじないにするという。
清水の首人形(しみずのくびにんぎょう)
 静岡市産。2センチメートルほどの土製の首に竹串(たけぐし)がついたもの。江戸後期に初代堀尾市郎右衛門(いちろうえもん)が創始したので「いちろんさん」ともよばれる。この地方の人形芝居にちなんで子供の芝居遊びとして生まれたという。
駿河凧(するがだこ)
 静岡市産。俗に「駿河のいか凧」ともよばれる変則五角形。錦絵(にしきえ)風の極彩色の絵柄で、武者物、金時(きんとき)など約30種がある。
天竜の風車(てんりゅうのかざぐるま)
 浜松市産。変わり型の風車。マダケの薄皮を丸い籠(かご)状に編み、その末端を外へ向けて羽根とした。
浜松の凧(はままつのたこ)
 浜松市産。永禄(えいろく)年間(1558~1570)飯尾豊前守(いいおぶぜんのかみ)がその子義広のために揚げさせたのが始まりという。五月節供に全市をあげて行う凧合戦は観光行事として有名。各町印の描かれた玩具凧もある。
浜松の張り子玩具(はままつのはりこがんぐ)
 浜松市産。明治の初め、旧幕臣三輪永保(みわひさやす)が江戸風張り子をつくったのが始まり。犬車、虎車(とらぐるま)、犬張り子など動物を主題にした約40種が伝えられている。
横須賀の凧(よこすかのたこ)
 掛川市産。江戸時代に始まり、初節供の祝い凧の習慣とともに盛んになった。ひょうたん型のとんがり、三番叟(さんばそう)の顔が長い舌を出したべっかっこうなど他に類のない変わり凧が多い。
〔愛知県〕
赤天神(あかてんじん)
 豊橋(とよはし)市に伝わる土製の小形雛(ひな)天神。江戸時代、この地方では三月節供に、男の子の雛として赤天神を女の子の雛と並べて飾り、文筆に秀でることを祈ったという。赤天神はこの古い風習に基づいてつくられた。
犬山のでんでん太鼓(いぬやまのでんでんだいこ)
 風車の回転で紙人形が太鼓を打つからくり仕掛けの玩具太鼓。犬山市の祭礼の山車(だし)人形から考案されたものという。
牛若弁慶(うしわかべんけい)
 名古屋市東照宮の山車人形を模してつくられた祭礼玩具。頭は土製、衣装は色紙でつくられ、糸からくりの仕掛けで牛若と弁慶が戦うようすを表す。
起の土人形(おこしのつちにんぎょう)
 一宮(いちのみや)市産。江戸中期、名古屋で技法を習った陶工により創始されたという。歌舞伎(かぶき)狂言物を中心に、三月節供用のものも加えて種類は数百を数える。
吉良の赤馬(きらのあかうま)
 西尾市産の練り物玩具。元禄(げんろく)(1688~1704)のころ吉良の領主義央(よしなか)が領内を赤馬に乗って巡察した徳をしのんでつくられたといわれ、黒っぽい紅色の4センチメートルほどの馬である。
串馬(くしうま)
 張り子製紅白一対(つい)の首馬で竹串(たけぐし)につけられたもの。名古屋市竜泉寺で初観音の日に開運厄除(やくよ)けの御守りとして売られていた。
桜井の凧(さくらいのたこ)
 安城(あんじょう)市産。福助凧、蜂(はち)凧、鳶(とび)凧など変わり凧各種があり、鮮明な彩色の手描(てが)き、骨太で風袋のついているのが特徴。明治初期から農閑期の副業として発達し、第二次世界大戦前は「三河凧」として知られていた。
鍾馗面と風車(しょうきめんとかざぐるま)
 豊川市小坂井(こざかい)町菟足(うたり)神社で、4月の風祭りに売り出される祭礼玩具。鍾馗面は張り子製で、江戸時代の飢饉(ききん)のおり、社宝の古鍾馗の面で奇跡があったという縁起伝説によるもの。風車は経木の羽根6枚を車輪形に組み合わせたもので、戸口に挿して魔除(まよ)けにするという。
名古屋の土人形(なごやのつちにんぎょう)
 明治初年、旧士族が伏見(ふしみ)人形に倣ってつくりだしたものという。節供物、芝居物を主に発達したが、第二次世界大戦後は野田家だけが伝統を守り各種製作していた。
振り太鼓(ふりだいこ)
 あま市甚目寺(じもくじ)で、初観音の日と節分の日に売り出される開運厄除けの縁起物玩具。紙張りで中に小石が入っていて振ると音がする。
回り鼠(まわりねずみ)
 名古屋の糸からくり玩具の一つ。木製ネズミ3匹が長い竹片に並び、横木を動かすとからくり仕掛けで回るもの。江戸末期の創始といわれる。
〔三重県〕
伊勢の諸玩具(いせのしょがんぐ)
 伊勢神宮の参拝客土産(みやげ)として古くから発達した。竹製玩具としてはモウソウチクの輪切りを胴につくり、胴にあけた穴が風を切って鳴る竹鳴りごま。木地(きじ)玩具ではヨーヨー、輪抜き達磨(だるま)、鉄砲など、また木くずを材料とした練り物玩具には獅子頭(ししがしら)、亀(かめ)の子、鉢巻蛸(たこ)などがある。
大入道(おおにゅうどう)
 四日市市産。諏訪(すわ)神社の秋の例祭に登場する名物山車(だし)人形「大入道」を玩具化したもの。紙製石版刷りで、竹串(たけぐし)を上下すると舌を出し目玉を動かすので舌出し人形ともいう。
猿弾き(さるはじき)
 松阪市産。厄除(やくよ)け観音継松寺で旧初午(はつうま)の日に売り出される縁起物。竹弓を弾くと赤布製のくくり猿が軸を伝わって飛び上がるもので、「厄を弾き去る」を縁起とする。
陶鈴(とうれい)
 松阪市産。同地出身の国学者本居宣長(もとおりのりなが)が鈴を愛した故事からつくられた。古くから松阪土産として、伊勢道中鈴、天狗(てんぐ)鈴、鬼面鈴など各種がある。
〔滋賀県〕
近江達磨(おうみだるま)
 東近江市産。張り子製で、農家の副業として大正年間に生まれた。形は変形球状で、達磨より起き上がりに近い。漫画風な表情が特徴で、万願成就のマスコットとして求められている。
小幡の土人形(おばたのつちにんぎょう)
 東近江市産。元禄(げんろく)年間(1688~1704)この地の飛脚屋細居安兵衛が京の伏見(ふしみ)土人形の技術を習得して創業したという。描彩は泥絵の具で、原色を多く用いて野趣があり、節供物など種類が多い。
草津の張り子玩具(くさつのはりこがんぐ)
 草津市産。子供の誕生に疱瘡除(ほうそうよ)けのまじないとして張り子玩具を贈る風習が古くからあった。猩々(しょうじょう)は、赤衣に白袴(しろばかま)の猩々が酒甕(さけがめ)の上に立った姿の置き人形。伴達磨(ともだるま)と一対(つい)にして贈られる。ぴんぴん馬、ぴんぴん鯛(たい)は、いずれも箱型台車の上に張り子の馬、鯛が乗っており、車を引くと台車の内側に張った糸の仕掛けでぴんぴんと音が鳴る。現在はぴんぴん馬など京都製がみられる程度で、ほとんど廃絶した。
〔京都府〕
太秦牛祭りの面(うずまさうしまつりのめん)
 京都市広隆寺の奇祭、牛祭りの祭事面を模したもの。厚紙に胡粉(ごふん)を塗ってつくられ、摩多羅(またら)神の白面、従う四天王の面に似せた5種がある。病除(よ)けのまじないとされる。
紙鯉(かみごい)
 八幡(やわた)市産。紅白の紙鯉を笹(ささ)に吊(つ)るしたもので、男山石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の参詣土産(さんけいみやげ)。放生会(ほうじょうえ)にちなみ、鯉を放って諸厄を除く意によって生まれた。
祇園鉾(ぎおんぼこ)
 京都市祇園祭の祭礼玩具。祭りに練り出す山鉾を小形玩具化したもので、長刀(なぎなた)鉾、船鉾の2種がさまざまにつくられて観光土産になっている。
鞍馬の虎(くらまのとら)
 京都市鞍馬寺で初寅(はつとら)の日に授与される土製、阿吽(あうん)の一対(つい)の虎。本尊の毘沙門天(びしゃもんてん)にちなんだ姿態、色彩をもつ約10センチメートルほどのもの。
嵯峨面(さがめん)
 京都市嵯峨釈迦(しゃか)堂(清凉寺)に伝えられる大念仏狂言の面を模したもの。嵯峨紙の反故(ほご)紙を重ねた張り子製で、細かい稜(りょう)線を木彫りのように生かした点に特徴がある。福徳面、長寿面など各種ある。
伏見人形(ふしみにんぎょう)
 京都市伏見稲荷(いなり)大社付近の埴土(しょくど)を用いて古くからつくられてきた土人形。日本の土人形の一つの系譜の源流として知られ、種類が多い。
豆人形(まめにんぎょう)
 京都市清水(きよみず)寺の参詣土産として売られた土人形の一種。1センチメートルほどの小形であるが、天神、福助、鳩(はと)、雛(ひな)など50余種もあり、枡(ます)で計って売られたので「はかり人形」の名がある。
三宅八幡の諸玩具(みやけはちまんのしょがんぐ)
 京都市三宅八幡は俗に虫八幡とよばれ、子供の虫封じ、諸病平癒の信仰を集め、それにちなんだ玩具類がある。土鳩(つちばと)は虫封じに神棚に祀(まつ)られるもの、麦藁(むぎわら)細工では八瀬大原女(やせおはらめ)人形が代表的。現在は布、紙塑(しそ)人形など観光土産用のものがある。
〔大阪府〕
今宮戎神社の諸玩具(いまみやえびすじんじゃのしょがんぐ)
 正月9~11日、大阪市今宮戎神社の初恵比須(はつえびす)に、招福、商売繁盛を祈願して売られるおもに紙製の縁起物。小宝は商売道具類10種余りを小形につくったもの。福俵は3~60センチメートルまでの大中小さまざまな俵。蔵入(くらい)りは厚紙製の米蔵で、青竹の樋(とい)を使って米俵を転がり込ませるという縁起のよいもの。ほかに宝恵駕(ほえかご)、箕(み)のり福など数種がある。
堺の土人形(さかいのつちにんぎょう)
 創始は元文(げんぶん)年間(1736~1741)ともいわれ、一説には僧行基(ぎょうき)が教えたのが始まりともいう。伏見(ふしみ)人形の直系であるが、堺独自のものも加わり、南蛮(なんばん)人形、ぴんぴん鯛(たい)、湊(みなと)天神など種類は多い。
神農の虎(しんのうのとら)
 大阪市道修(どしょう)町の少彦名(すくなひこな)神社の祭礼に授与される張り子製の首振り虎。この神社には医薬の神少彦名命(みこと)と、古代中国の薬祖神農氏が祀(まつ)られ、疫病除(よ)けのまじないとして参詣(さんけい)者に授与される。
住吉の土人形(すみよしのつちにんぎょう)
 江戸時代から伏見人形の流れをくんでつくられ、住吉神社(大阪市)の社前で売られた縁起物。金銭や性に関するものですべて小形なのが特徴。初辰猫(はつたつねこ)、裸雛(はだかびな)、喜々猿(ききざる)、睦(むつ)み犬などがある。
〔兵庫県〕
青葉の笛(あおばのふえ)
 神戸市須磨(すま)区一ノ谷古戦場の敦盛(あつもり)塚に奉納する竹製の笛。平敦盛が愛したという伝承にちなみ、子供の病気平癒の祈願に用いた。付近の須磨寺や土産(みやげ)店で売られている。
淡路島のだんじり(あわじしまのだんじり)
 春の祭りに登場する布団神輿(ふとんみこし)(だんじり)を模してつくられた祭礼玩具。屋根を赤布で覆い、四隅に提灯(ちょうちん)がついている。
稲畑の土人形(いなはたのつちにんぎょう)
 丹波(たんば)市氷上(ひかみ)町産。江戸末期、伏見(ふしみ)人形に模してつくられた。節供に飾る天神物、添え人形を主として、約300種の型が伝えられている。
葛畑の土人形(かずらはたのつちにんぎょう)
 養父(やぶ)市産。江戸時代末期、伏見人形を型として瓦(かわら)焼の片手間につくったのが始まりという。男女一対(つい)の内裏雛(だいりびな)が代表的なもの。
城崎の麦藁細工(きのさきのむぎわらざいく)
 城崎温泉産。享保(きょうほう)年間(1716~1736)温泉湯治の客がつくったのが始まりという。色染めした麦藁を模様にはり込んだ細工で、子供用の指輪や箱物が有名。
神戸人形(こうべにんぎょう)
 加古川(かこがわ)市産。木製からくり人形。兵庫開港のころに黒人船員の印象を人形化したもので、酒飲み、西瓜(すいか)食いなど、箱のつまみを回すと動作をする仕組みになっている。
人形筆(にんぎょうふで)
 神戸市有馬温泉産。筆軸の中に小さな人形をおもりをつけて吊(つ)るし、筆を立てれば飛び出し、置けば隠れるという細工のもの。
姫路のこま(ひめじのこま)
 姫路市産。エゴノキ、ブナなどを材として文七ごま、ぶちごま、鬼ごまなど10種がある。大きな鬼ごま一対を松竹梅の飾り物を添えて正月の床(とこ)飾りとする「飾りごま」は異色。
姫路の張り子玩具(ひめじのはりこがんぐ)
 姫路市産。明治初年、大阪の技法を習得して創始したという。薄張りで安価なのが特徴。張り子面が主力で、天狗(てんぐ)、鬼、狐(きつね)など30余種があり、棟上げ用のお多福面、京都壬生(みぶ)大念仏の壬生面もここでつくられる。三つ山は、射楯兵主(いたてひょうず)神社の祭礼の置山を模した祭礼玩具で、張り子製釣鐘形のものが四輪台車に三つ並べて置かれている。
〔奈良県〕
出雲人形(いずもにんぎょう)
 桜井市産。江戸時代、京都の伏見(ふしみ)人形の型をまねて生まれた。焼度が低く、質がもろく、絵の具が指につきやすいので、べと人形ともよばれた。また長谷(はせ)寺門前町の初瀬(はせ)で、参詣(さんけい)客の土産(みやげ)物として売られたので初瀬人形の名もあった。天神、相撲(すもう)など約30種がある。
犬守り(いぬまもり)
 奈良市の法華(ほっけ)寺は奈良時代、光明(こうみょう)皇后により創建され、犬守りは千日供養のおりに犬型の御守りを授与したのがおこりという。粘土に雲母(うんも)を混ぜてつくり、胡粉(ごふん)を塗った手捻(てびね)りの白犬で、3種ある。同寺の尼僧によってつくられ、安産の守り、長寿、縁結び、子供の夜泣き、疱瘡除(ほうそうよ)け、諸難封じのまじないとされる。
鹿玩具(しかがんぐ)
 奈良市春日(かすが)神社の神鹿(しんろく)にちなんだ玩具。江戸時代に始まり、張り子製のほか土製、竹製など種々つくられ、現在は一刀彫り、焼き杉製、ガラス細工などもある。
手向山八幡の立絵馬(たむけやまはちまんのたてえま)
 奈良市産。板に泥絵の具で黒馬を図案化して描き、台座に立てた立体的な絵馬。上代における雨乞(あまご)い、また晴天を祈るときに馬を献じた習俗から生まれたもの。
奈良人形(ならにんぎょう)
 奈良市産。一刀で粗彫りに形をまとめてあるので奈良の一刀彫りともいう。江戸時代、春日神社の檜物(ひもの)職が余暇に内職としてつくったのが始まりとされる。5センチメートルほどの作品が中心で、能人形、動物ものなどがあり、素材をそのまま生かして木彫りの味を表したのが特徴。
〔和歌山県〕
淡島の守り雛(あわしまのまもりびな)
 和歌山市淡島神社で授与する紙製、約2センチメートルの小さな立ち雛。小米(こごめ)雛ともいう。神功(じんぐう)皇后伝説にちなんだもので、海上安全、婦人病いっさいの御守りとされる。
瓦牛(かわらうし)・瓦猿(かわらざる)
 和歌山市産。元和(げんな)年間(1615~1624)城下町の瓦職人が内職としてつくり始めたのがおこりという。土製信仰玩具。瓦牛は子供の瘡(くさ)(腫(は)れ物)を治すまじないに用いられ、瓦猿は安産、子授けの祈願に奉納される。
紀州雛(きしゅうびな)
 海南市産の座り雛。同市は黒江漆器の産地で、1937年(昭和12)に創案された。ヒノキをろくろでくりぬいてつくり、総じて小形である。
高野山の導き犬(こうやさんのみちびきいぬ)
 和歌山市産。弘法(こうぼう)大師が白黒二犬に導かれて高野山に登ったという開基縁起にちなみ、明治末期につくられた。張り子製の白犬・黒犬が造花の松の小枝に吊(つ)るされたもの。
御坊の練り物・張り子玩具(ごぼうのねりもの・はりこがんぐ)
 御坊市産。1883年(明治16)大阪張り子の技法で創始、のちに練り物の製法を加えて独自の気品ある御坊人形をつくりだした。練り物には天神、鯛狆(たいちん)、立ち雛など十数種あり、張り子製では天神が代表的なもので、ほかに鯛車、飾り馬、獅子頭(ししがしら)などがある。
和歌山の姉様(わかやまのあねさま)
 和歌山市産。白紙を縮らせて丸髷(まるまげ)、島田、桃割れなど数種の髪形につくり、櫛(くし)やかんざしを配した首だけの姉様。支え棒に紅白の紙を段だら巻きにしているのが特徴。
〔鳥取県〕
田舎雛(いなかびな)
 鳥取市産。金襴(きんらん)布地を用いた衣装の豪華な雛。男(お)雛は烏帽子(えぼし)に笏(しゃく)、女(め)雛は冠に扇を持ち、箱形台座の上に座したもの。江戸中期の創始という。
岩井温泉の挽物玩具(いわいおんせんのひきものがんぐ)
 岩美町産。ろくろ細工の木製玩具。昔はこまが主であったが、車もの、十二支もの、臼(うす)などの新種も温泉土産(みやげ)につくられている。
きびがら姉様(きびがらあねさま)
 鳥取市産。山陰地方ではきびがら人形を便所に祀(まつ)る習俗が古くからあり、この信仰から生まれたもの。押し絵雛の形を模し、きびがらの皮をはいで生じる縮みを髪に見立てた着想に特徴がある。
倉吉の張り子玩具(くらよしのはりこがんぐ)
 倉吉市産。はこた人形は東北地方のこけしに似た手足のない立ち人形。獅子頭(ししがしら)は頭に鶏の羽根、両側に紙粘土製の蔓(つる)形に曲げた耳がついているのが特徴である。ほかに豆絞りの鉢巻を締めた細長形のユーモラスな表情の鉢巻達磨(だるま)や、おかめ、ひょっとこ、動物など10余種の面など。
大吉ごま(だいきちごま)
 鳥取市産。キリ材を八角形に削った胴の各面に大吉、半吉などの文字が書かれている。子供の正月遊びの賭(か)けごまの一種。
大山の竹馬(だいせんのたけうま)
 倉吉市産。4月の大山祭に売られる子育て縁起物玩具。赤・黒彩色の板製の首馬に60センチメートルほどの竹棒がつき、末端に車がついたもの。
鳥取の張り子玩具(とっとりのはりこがんぐ)
 鳥取市産。天明(てんめい)年間(1781~1789)の創始といわれる。猩々(しょうじょう)面は鳥取張り子の代表的なもので、麻の紅毛を額に垂らした酒酔い猩々の真紅の面。麒麟獅子(きりんじし)は頭に黒色一本角(づの)をのせた赤彩色の獅子頭で、目と歯が金色という特異なもの。要蔵でこは巡業の人形芝居の人形を玩具化したもので、首の後ろの紐(ひも)を引くと竹のばね仕掛けで首が前後に動く。ほかに経蔵坊、おとん女郎などがある。
面被り(めんかぶり)
 鳥取市産。押し絵細工を応用したからくり玩具。面を手に持った子供の腕が裏側の竹串(たけぐし)の操作で上下し、面をかぶったり脱いだりする。
八上の羽子板(やかみのはごいた)
 鳥取市産。平安時代に在原業平(ありわらのなりひら)が献上に用いたという伝説があり、鳥取藩家中では女児出生の家臣に藩主が祝い品として下付したともいわれ、古くから「因幡国(いなばのくに)八上郡の献上羽子板」として有名。古雅な味のある郷土羽子板。
〔島根県〕
佐太神社の神楽面(さだじんじゃのかぐらめん)
 30センチメートルほどの張り子面で毛を植え込んだもの。松江市の同神社で演じられる神楽にちなんだ面玩具。
白天神(しろてんじん)
 出雲(いずも)市今市産。白の装束姿、艶(つや)出し仕上げの土製天神。三月節供に男児は天神を雛(ひな)壇に飾るというこの地の習俗から生まれた。雛天神ともいう。
大社のじょうき(たいしゃのじょうき)
 出雲市大社町産の船玩具。屋形船の形につくった木組みに和紙を張ったもの。中にろうそくをともすと、切紙細工で影絵のように宴会の情景が浮き出す仕組み。
松江の姉様(まつえのあねさま)
 松江市産。松江藩のころ御殿女中の手すさびから生まれたという。髪飾りも華麗で顔だちに気品があり、同地で生活した小泉八雲(やくも)が日本の美として絶賛したもの。
松江のお宮(まつえのおみや)
 松江市産。扉のついた木製のお宮。女児の姉様遊びに対し、男児が中に天神を入れて遊ぶ玩具。
松江の蒸気船(まつえのじょうきせん)
 松江市産。明治中期、舞鶴から松江に通じた日本海航路に登場した蒸気船を玩具化したもの。木製。
〔岡山県〕
吉備津神社の犬と鳥(きびつじんじゃのいぬととり)
 岡山市吉備津神社から授与される。祭神吉備津彦尊(きびつひこのみこと)が百済(くだら)国の王子と戦った際、犬飼氏と鳥飼氏が助けて勝利を得たという伝説にちなんだ信仰玩具。約3センチメートルの土製の立ち犬、座り犬、鳥が一組になったもの。
久米の土人形(くめのつちにんぎょう)
 津山市久米地区産。この地方では男女とも三月節供に雛(ひな)人形を飾って祝う風習があり、男児に雛天神を贈ることから、土人形は天神が中心である。津山の土天神の影響を受けたもの。
倉敷の張り子玩具(くらしきのはりこがんぐ)
 倉敷市産。旧藩士の維新後の手内職として始まった。節供用の首振り虎(とら)、昇り猿、面など各種あり、いずれも木彫りのようにみえるほどじょうぶにつくられているのが特徴。
西大寺の張り子虎(さいだいじのはりことら)
 岡山市産。江戸末期に大坂から技法が伝えられた。尾を高く掲げた形がトラの生態をよく表している。節供の飾り物。
玉島の目無し達磨(たましまのめなしだるま)
 倉敷市産。張り子製。良寛和尚(おしょう)を達磨大師に見立てたものといい、眉(まゆ)がなく顔は角型。関西地方には珍しい目なし型が特徴で、正月の縁起物。11センチメートルから50センチメートルまで各種ある。
津山の土天神(つやまのつちてんじん)
 津山市産。この地方で三月節供用につくられる各種土人形の代表的なもの。形は大きく、京風な内裏雛(だいりびな)の型をもち、技巧的にも優れて風格がある。
百々の土人形(どうどうのつちにんぎょう)
 美咲(みさき)町百々産。小形物の天神が主体。立ち天神、美作(みまさか)天神などのほか、雛類、土鈴(どれい)など各種がある。
〔広島県〕
三体神輿(さんたいみこし)
 尾道(おのみち)市八坂(やさか)神社の名物けんか神輿を模した祭礼玩具。3基1組の木製神輿で、組み合わせて台をたたくと、もつれ合ってけんかぶりを再現する。
田面船(たのもぶね)
 尾道市産。昔、備後米(びんごまい)を積んだ千石船を玩具化したもので、薄板でつくった屋形船に紅白の色紙を幔幕(まんまく)風に張り、車が4輪ついたもの。この地方の年中行事、田面の節供(旧8月1日)に用いられる。
鞆の浦の諸玩具(とものうらのしょがんぐ)
 福山市産。瀬戸内海の要衝として栄えた港町の、数々の年中行事にちなんだ玩具類。阿伏兎(あぶと)観音の祭礼玩具である振り太鼓は、振ると糸の先についた粘土玉が当たって音がするもの。このほか玉津島神社の祭礼に売られる筒状の素朴な笛、八朔(はっさく)(旧8月1日)の節供に男児のある家で木馬を出し並べる習俗から生まれた白木馬、鞆の名産保命(ほめい)酒の土製容器の狸(たぬき)などがある。
宮島の鹿猿(みやじまのしかざる)
 廿日市市の厳島(いつくしま)神社の神鹿(しんろく)と、島に生息する野生サルを取り合わせ、座ったシカの背に赤い顔のサルが乗った土製・手捻(てびね)りの土産(みやげ)物玩具。
三次の土人形(みよしのつちにんぎょう)
 三次市産。江戸時代、藩主浅野長治(ながはる)が江戸の人形師に焼かせたのがおこりといい、構想、描彩とも独自の技法がみられる。天神もの、娘ものなど種類も多く、磨き出しの美しい艶(つや)が特徴で「光り人形」の名がある。
〔山口県〕
金魚提灯(きんぎょぢょうちん)
 細い竹の骨組みに紙を張り、赤、黒で彩色し金魚の形につくった提灯。祭りや縁日で売られた。柳井(やない)市でつくられていたが、現在は同市前面の海上にある大島郡周防大島町でつくられている。
下関の土鈴(しものせきのどれい)
 下関市産。赤間(あかま)神宮の参拝記念として昭和の初めごろ創始。現在、大漁縁起の壇之浦大海鈴、名産のフグを題材にした招福縁起のふく鈴のほか、起姫(おきひめ)鈴など種類が多い。
ふく笛(ふくぶえ)
 下関市産の土笛。関門名物のフグ(土地ではフクといっている)に似せたもので、尾の笛口を吹くと鳴る。大小5種がある。
見島の鬼揚子(みしまのおにようず)
 萩(はぎ)市産。怪奇な鬼面を描いた郷土凧(だこ)。長男に恵まれた家で、翌年の元旦(がんたん)から3日間、一家繁栄を祈って凧をあげる習俗がある。
〔徳島県〕
藍搗きお蔵(あいつきおくら)
 徳島市産。同地方名産の藍作りの藍臼(うす)と蔵をかたどり玩具化したもの。木製。車を動かすと車付きの蔵から突き出した長い3本の杵(きね)が、上下して藍搗きのさまを表現する。
撫養の首人形(むやのくびにんぎょう)
 鳴門(なると)市産。土製・手捻(てびね)りの首に竹を挿したもの。阿波人形浄瑠璃(あわにんぎょうじょうるり)の芝居の人形を模して江戸の末期に創始、いまに伝えられている。
撫養のわんわん凧(むやのわんわんだこ)
 鳴門市産。江戸時代に始まる大凧あげの風習から生まれた楕円(だえん)形の凧。最大の凧は長径20メートル、総重量5800キログラムで世界一といわれるが、子供向きに玩具化した小形のものもつくられている。
〔香川県〕
金毘羅の諸玩具(こんぴらのしょがんぐ)
 金毘羅宮(琴平(ことひら)町)の参詣土産(さんけいみやげ)として古くからあるもの。金毘羅でこは人形浄瑠璃(じょうるり)の流れをくむ眼(め)変わり式の首人形。濃い茶色の鈴に青色の小さな土の環(わ)がついているのが特色の土鈴(どれい)。金毘羅御神馬は、藁(わら)馬に赤、紫の奉書紙製の鞍(くら)が置かれたもの。
讃岐のちょうさ(さぬきのちょうさ)
 祭りの神輿(みこし)に従って現れる太鼓台のことをこの地方で「ちょうさ」といい、これを木、紙、布で小形玩具化したもの。布団(ふとん)太鼓の一種。現在は観音寺(かんおんじ)市、坂出(さかいで)市、小豆(しょうど)島町でつくられている。
高松のいか(たかまつのいか)
 高松市の郷土凧(だこ)。この地方では凧のことを「いか」という。江戸末期からつくられている細工凧で、種類も多く、色彩、形状にそれぞれ特色がある。百足(むかで)凧は12枚の紙張りをつないだ変わり凧の代表で、他に類例をみない。
高松の張り子玩具(たかまつのはりこがんぐ)
 高松市産。江戸時代初期、この地に松平頼重(よりしげ)が移封された際、家臣によって製法が伝えられたといわれ、さらに明治以後、独特の郷土色をもち、形、色彩とも個性の優れたものが現在に伝えられている。めでたい縁起物が多い。嫁入り人形は、婚家先の子供たちへの手土産の風習から、鯛戎(たいえびす)、福助、天神などの小さな人形数十種がつくられたもの。ほうこさんは、赤衣の童女の立像で、御殿奉公の少女の身代り伝説が付随している。振り槌(づち)は、大黒天の持つ宝槌を模した縁起物で、男児出生の家へ初(はつ)正月に贈る風習があった。ほかに獅子頭(ししがしら)、面、常盤(ときわ)御前などがある。
滝宮の念仏踊り(たきのみやのねんぶつおどり)
 綾川(あやかわ)町滝宮天満宮の重要無形民族文化財、念仏踊りを玩具化したもの。麦藁(むぎわら)でつくった傘の下に、紙の踊り装束をつけた9体の麦藁人形が輪になって吊(つ)り下げられている。
〔愛媛県〕
宇和島の張り子玩具(うわじまのはりこがんぐ)
 宇和津彦神社(宇和島市)およびこの地方の祭礼にちなんだ玩具。祭礼の山車(だし)の一種、牛と鬼をあわせた怪奇な動物を小形玩具化した牛鬼(うしおに)、宇和津彦神社に奉納される無形民族文化財の八ツ鹿(しか)踊りにちなんだ鹿の面などがある。
姫達磨(ひめだるま)
 松山市産。金沢の起き上がりと並ぶ代表的な張り子の姫達磨。童女の顔で、お下げ髪が植え込んである。応神(おうじん)帝の産着姿を模したものとされ、明治の初めにキリの木でつくられたのが始まりという。
松山の姉様(まつやまのあねさま)
 松山市産。顔が土製粗面の一文(いちもん)姉様と、磨き出し上製の姉様の2種に大別され種類も多い。第二次世界大戦後、手法の簡単なもの1種が復原された。
松山の起き上がり(まつやまのおきあがり)
 松山市産。張り子製、5センチメートルほどの起き上がり達磨。松山では古くから正月の神棚に飾られた縁起物玩具である。頭頂部が平らなので一文字達磨、金紙が張ってあるので天金達磨ともいう。
松山の武者人形(まつやまのむしゃにんぎょう)
 松山市産。首、胴が土製の20センチメートルほどの人形。木綿布や紙の衣装をつけ、有名な武者の頭(かしら)12種を挿し替えたり、簡単な操り芝居のまねをして遊べるようにつくられている。
〔高知県〕
鯨舟(くじらぶね)・鯨車(くじらぐるま)
 高知市産。江戸時代から捕鯨の中心地であった土佐で、漁師が子供への土産(みやげ)に手作りしたのがおこりという。木製で、いずれも車がついたもの。
高知の姉様(こうちのあねさま)
 高知市産。首は土製、髪は黒い洋紙、衣装は千代紙を竹串(たけぐし)の芯(しん)に巻き付けたもの。いわゆる土佐姉様で、明治末年の創始という。
土佐の祝い凧(とさのいわいだこ)
 香南(こうなん)市香我美(かがみ)町の郷土凧。男児の出産を祝って節供にあげるのでこの名がある。長崎系。家紋や鶴(つる)などを描いたものがあり、横骨を外して折り畳める点が特徴。
坊さんかんざし(ぼうさんかんざし)
 高知市産。「よさこい節」の恋物語を人形化した相合い傘姿の張り子人形。明治の中ごろ、初代製作者が東京・亀戸(かめいど)天神社の張り子人形相合い傘をヒントに創作したという。
〔福岡県〕
赤坂の土人形(あかさかのつちにんぎょう)
 筑後(ちくご)市産。粗い素焼の地に胡粉(ごふん)をかけ、刷毛(はけ)彩色した素朴なもの。久留米(くるめ)藩の御用窯の地で余技としてつくられたのが始まりで、笛仕掛けのもの、人形ものなどが多い。
芦屋の藁馬(あしやのわらうま)
 芦屋町産。藁製の馬に紙の武者人形を乗せ、背に紙幟(のぼり)を挿したもの。八朔(はっさく)の節供(旧8月1日)に初節供を迎えた男児に藁馬を飾る風習により生まれたもの。
甘木のばたばた(あまぎのばたばた)
 朝倉市安長寺地蔵尊の初市に売られる紙製豆太鼓。両側につけられた豆が、振るとばたばた鳴るのでこの名がある。
甘木の八朔雛(あまぎのはっさくびな)
 朝倉市産。八朔の節供に初節供を迎えた女児を祝って飾る雛。頭は土製で、紙製の長い衣装にはめでたい模様が描かれている。
清水観音の雉車(きよみずかんのんのきじぐるま)
 みやま市清水寺(清水観音)の参詣土産(さんけいみやげ)玩具。清水系雉車の代表的なもので、赤・青彩色の雉に四つ車がつき、背に三つ俵や子雉を負ったものもある。伝教(でんぎょう)大師や行基菩薩(ぎょうきぼさつ)の道案内をしたという雉の伝承により生まれた縁起の古いもの。
太宰府天満宮の鷽(だざいふてんまんぐうのうそ)
 太宰府天満宮の鷽替え神事に売られる開運・招福の縁起物。ホオノキでウソにかたどって削り掛けの技法でつくられている。
太宰府天満宮の土笛(だざいふてんまんぐうのつちぶえ)
 鷽替え神事にちなんだ鷽笛と、神鳥とされるフクロウに模したふくろう笛とがある。鷽笛は濃緑と黒で彩色され、土鈴(どれい)式のものもある。ふくろう笛は茶色、腹白で偏平形である。
津屋崎の土人形(つやざきのつちにんぎょう)
 福津市津屋崎産。博多(はかた)土人形の系統に属し、古風で優雅な味わいのあるもの。武者人形、雛人形などのほか、ふくろう笛、鳩(はと)笛、牛乗り天神など種類も多い。
戸畑の蝉凧(とばたのせみだこ)
 北九州市産。製作者の名をとって孫次(まごじ)凧とよばれる数種のうち、とくに有名なもの。赤、黄、緑、黒の段だら模様でセミの形の変わり凧。
博多人形(はかたにんぎょう)
 福岡市産の土人形。江戸の初期、藩主黒田長政(ながまさ)に瓦(かわら)職人正木宗七(そうしち)が陶製人形を献じたのがおこりといわれる歴史の古いもので、日本の代表的な土人形の一つ。現在は「古博多人形」として伝承的な作品が春日(かすが)市でつくられている。
柳川の諸玩具(やながわのしょがんぐ)
 柳川市産。旧立花藩時代の風土、生活から生まれ、発達したさまざまな玩具。細工凧を小形にした豆凧や、マツ材を割ってつくった割り松羽子板のほか、五色の糸でかがってつくる糸まりは、武家屋敷で新嫁が正月の祝いに婚家先に贈る風習とともに生まれ、「柳川の手まり」として知られる。
吉井の雉車(よしいのきじぐるま)
 うきは市吉井町若宮八幡(はちまん)の祭礼に売られていたという古い曳(ひ)き物玩具。第二次世界大戦後、黄色地に赤、緑の羽根模様のついた小形として復活した。
〔佐賀県〕
杵島山人形(きしまやまにんぎょう)
 杵島郡大町町産。第二次世界大戦後の民芸玩具で土製、木製40種。土焼きは風俗人形が多く、木彫りは、かちかち車、きゃあつぐろ車など、雉車に共通した車付きの木製玩具である。
能古見の土人形(のごみのつちにんぎょう)
 鹿島(かしま)市祐徳稲荷(ゆうとくいなり)神社の参詣土産(さんけいみやげ)。稲荷駒(ごま)、面浮立(めんふりゅう)などがあるが、とくに十二支土鈴(どれい)は「能古見土鈴」として海外輸出もされる。
弓野の土人形(ゆみののつちにんぎょう)
 武雄(たけお)市産。明治の初め、博多人形師が移住、製作したのが始まり。博多人形より胡粉(ごふん)の塗りが厚く彩色の鮮やかなのが特徴である。
〔長崎県〕
鯨の潮吹き(くじらのしおふき)
 長崎市諏訪(すわ)神社祭礼の山車(だし)を玩具化したもの。木製の四輪台車に黒い張り子製の鯨が乗り、車が動くとひれも揺れ動く。
古賀人形(こがにんぎょう)
 長崎市産。16世紀に始まったという古い歴史をもち、伏見(ふしみ)、堺の土人形と並ぶ日本の代表的な土人形。異国情緒にあふれた独創的な形や南国的な色彩感に特色があり、阿茶(あちゃ)さん、馬乗り猿など種類も多い。
佐世保こま(させぼこま)
 佐世保市産。博多(はかた)系のろくろ挽(び)きのたたきごま。らっきょう形で下部をとがらせ、ここに紐(ひも)を巻き付けて回し比べで相手のこまと打ち合うもの。「けんかこま」といわれる。
長崎のはた(ながさきのはた)
 長崎市産の郷土凧(だこ)。形は菱(ひし)形に近い南方系の凧で、図柄は幾何学模様が多い。うなりや尾はつけない実質的な勝負凧で、凧合戦は長崎の名物行事である。
婆羅門凧(ばらもんだこ)
 長崎県各地にみられる郷土凧。雲竜図が描かれ、うなりのついた唐人凧の一種。また壱岐(いき)、平戸(ひらど)、五島(ごとう)のものは、鬼が武者の兜(かぶと)に食いつく図柄で鬼凧ともよばれ、描彩、形態とも特異なもの。
〔熊本県〕
宇土の五人姉様(うとのごにんあねさま)
 宇土市産。顔は布製、髪や帯、衣装は紙、布でつくられ、5体1組を扇形にそろえた姉様人形。
宇土の張り子玩具(うとのはりこがんぐ)
 宇土市産。明治時代からつくられている。虎車(とらぐるま)は板の台座に車付きの首振り虎、おきなこぼしは正月に売られる縁起物の女達磨(だるま)、相撲(すもう)取りは五月節供に武者人形とともに飾られる。獅子頭(ししがしら)は木の骨組に張り子仕上げのもの、面被(めんかぶ)りはでこ回し姿の童児が狐(きつね)面を手に持ち、糸の操作で面をとったりつけたりする。ほかに人力車、蒸気船などがある。
お化け金太(おばけきんた)
 熊本市産。練り物製赤面の金太郎の眼(め)変わり式の首人形。首の後ろの糸を引くと目玉がくるりと動き、赤い舌を出す仕掛けのからくり玩具で、江戸中期の創案という。
木の葉猿(このはざる)
 玉東(ぎょくとう)町木葉(このは)産。土製・手捻(てびね)りで、サルの姿態がさまざまにつくられている。郷土玩具のなかで発生縁起としては最古のもの。子育てや盗難除(よ)けのまじないともされる。
多良木の雉車(たらぎのきじぐるま)
 多良木町産。人吉(ひとよし)系の形で車2輪付き。地理的に近い湯前(ゆのまえ)の雉車に類似している。材はスギ、キリ、ヘラなど。
花手箱(はなてばこ)
 人吉市産。スギの木箱に和紙をはり、胡粉(ごふん)を塗って、ツバキ、キクなどの花を紋様化して描いたもの。羽子板とともに女児の遊び道具としてえびす市で売られた。
人吉の雉車(ひとよしのきじぐるま)
 人吉市産。人吉系雉車の中心。ヒノキなどでつくり、マツ材を皮付きのまま輪切りにした車を二つつけたもの。赤、黄、緑の鮮やかな彩色が特徴で、頭部に「大」の字が記入されている。
日奈久の諸玩具(ひなぐのしょがんぐ)
 八代(やつしろ)市日奈久温泉産。熊本系の古い木製玩具のおもかげを伝えるものが多い。おきん女は東北地方のこけしを連想させるキリの木でつくった立ち人形で、江戸時代に創始した作者の名、弁太をとって「べんた」とよばれる。板相撲(ずもう)はキリの薄板2枚で向き合った力士の形をつくり、手足を動かして相撲の動作をさせるもの。ほかにきじ車や竹ごまなどがある。
山鹿灯籠(やまがどうろう)
 山鹿市の紙製灯籠。精巧な切紙細工作品で、紙と糊(のり)の芸術といわれる。山鹿神宮の神事に結び付いたもので、8月16日の灯籠祭りには山鹿市民がこの灯籠を頭につけて踊り、千人灯籠踊りとよばれている。
湯前の雉車(ゆのまえのきじぐるま)
 湯前町産。人吉の雉車を模して昭和の初めにつくったという。人吉系。マツ材皮付きの輪切りの車2個をつけ、キジの目が鋭く野趣に富んでいる。
〔大分県〕
大分の首人形(おおいたのくびにんぎょう)
 大分市産。土製・半面形で、裏側は偏平、竹串(たけぐし)の先端につけられている。烏帽子(えぼし)、十郎、大黒など数種あり、祭礼玩具として明治期は盛んであったが姿を消し、第二次世界大戦後一時復活した。
女達磨(おんなだるま)
 竹田市産。福女ともよばれる張り子製の姫達磨。顔だちも美しく、胴には松竹梅が描かれた正月の縁起物である。
北山田の雉馬(きたやまだのきじうま)
 玖珠(くす)町産。ホオノキを材料にした白木無彩の素朴な雉車。二つ車で、シュロの毛を立てたものと立てないものとの2種がある。バーナード・リーチがその単純な造型美を推賞したことで有名。
木でこ(きでこ)
 別府市産。茶色の六角柱または六角板に赤い舌出しの怪奇な面相を切り込んだ木製玩具。厄除(やくよ)けの神ともされている。
〔宮崎県〕
青島雛(あおしまびな)
 青島神社(宮崎市)で安産、縁結びの御守りとして授与する紙雛。男女一対(つい)で頭は土製、縞(しま)模様の紙衣装をつけている。
うずら車(うずらぐるま)
 宮崎県地方独特の木製玩具。タラノキの丸木を三角に切り落として車をつけ、赤と黒でウズラを描彩した野趣のあふれるもの。国富(くにとみ)町法華岳薬師寺と宮崎市佐土原町久峰(ひさみね)観音の2種がある。前者が男性的な感じで車軸は穴を通してつけてあるのに対し、後者はやや女性的、切り込みで車軸を受けている。
佐土原の土人形(さどわらのつちにんぎょう)
 宮崎市佐土原町産。文禄(ぶんろく)年間(1592~1596)朝鮮の陶工によって創始と伝えられる。伏見(ふしみ)人形系の型に素朴な味わいが加わったもの。作品は約30種。まんじゅう食い人形が代表的な作品。
神代こま(じんだいこま)
 宮崎市佐土原(さどわら)町産の竹鳴りこま。竹を輪切りにした胴の上下に蓋(ふた)をし、竹の心棒をつけ、胴穴があけてある。胴には旧藩時代の島津家の紋の丸に十の字模様が多い。回りながらよく鳴るので、ぶんこま、雷こまともよばれる。
昇り猿(のぼりざる)
 延岡(のべおか)市産。張り子製のサルが竹棒に手をかけ、背に負った幟(のぼり)が風で膨らむと昇る仕組み。五月節供に門ごとに立てる習俗があった。
〔鹿児島県〕
糸雛(いとびな)
 鹿児島市産。半割りの竹を人形の首に見立て、紙衣装をつけた立ち雛。麻糸を後部に垂らして髪に見立てているのでこの名がある。衣装に描かれた図柄で男(お)雛・女(め)雛を表した一対(つい)物。
馬乗り武者(うまのりむしゃ)
 鹿児島市産。首は土製、胴は藁(わら)でつくられ厚紙の鎧(よろい)をつけ、板馬に車がつけられている。五月節供人形。
鹿児島神宮の諸玩具(かごしまじんぐうのしょがんぐ)
 霧島市鹿児島神宮の参詣土産(さんけいみやげ)物。鯛車(たいぐるま)、香箱(こうばこ)は竜宮伝説にちなんでつくられ、神玩として有名。赤い彩色は子供の疱瘡除(ほうそうよ)けの意味をもつ。紙張り太鼓の左右に大豆を吊(つ)るし、ひねって鳴らす初鼓(はつつづみ)(ぽんぱち)、鮮やかな朱塗りで5個あるいは10個をつなげた土鈴(どれい)はいずれも初午(はつうま)祭りに売られるものである。ほかに羽子板、土製の鳩笛(はとぶえ)がある。
金助まり(きんすけまり)
 鹿児島市産。布製の縫いぐるみ。唐獅子(からじし)、松竹梅などの絵模様が金糸を交えて刺しゅうされ、雛祭の飾り物とされている。明治維新後、没落士族の子女の手内職となり、御高祖頭巾(おこそずきん)で面を隠して売り歩いた。
薩摩首人形(さつまくびにんぎょう)
 鹿児島市産。紙塑(しそ)人形の製作技法を生かしてつくられた。作品には、土地の伝説などから取材した薩摩獅子頭(ししがしら)、大名兵六、南蛮(なんばん)人、猿の子などがある。
帖佐の土人形(ちょうさのつちにんぎょう)
 姶良(あいら)市産。旧藩主島津義弘(よしひろ)が朝鮮遠征の際に連れて帰った朝鮮の陶工によって創始されたという。京都の伏見(ふしみ)人形の型を多く継承している。節供人形、明治風俗人形などの作品がある。
〔沖縄県〕
沖縄の凧(おきなわのたこ)
 沖縄地方では凧あげの季節は一般に9月ごろとされる。小さな正方形の色紙を市松模様に積み重ねた沖縄本島の「まつたくー」、八重山(やえやま)列島の六角凧「ぴぎたー」など郷土色の濃い作品がみられる。
くば細工(くばざいく)
 石垣島でクバ(ビンロウ)を利用してつくる細工物。かつては、クバの葉を利用してつくった風車、船玩具の山原(やんばる)船、くば三味線などがあった。
那覇の諸玩具(なはのしょがんぐ)
 旧暦5月4日を「ゆっかぬひー」といい、那覇市内に市(いち)が立って、子供のある家庭では健やかな成長を祈って玩具を買い与える習俗があり、そこから生まれた玩具類である。色彩が黄、紫、紅主調の中国風な感じのもの。ちんちん馬は張り子製の馬乗り人形、ほーとうは同じく張り子製の鳩(はと)、爬竜(はーりー)船は爬竜競漕(きょうそう)行事の船を模した木製玩具、うめばーぐは千代紙を幾何模様に張り合わせた木箱である。

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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