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日本資本主義分析 にほんしほんしゅぎぶんせき

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世界大百科事典 第2版の解説

にほんしほんしゅぎぶんせき【日本資本主義分析】

1934年2月,岩波書店より刊行された山田盛太郎の著書。1932‐33年に刊行された《日本資本主義発達史講座》に発表の3編の論文をもとにまとめられた〈講座派〉の代表的著作である。単に資本主義発達の歴史叙述を意図したものではなく,副題に〈日本資本主義における再生産過程把握〉とあるように,マルクス再生産論を日本資本主義へ具体化するという方法論をとり,日本資本主義の軍事的半農奴制的な型を析出し,階級対抗の〈必至〉と,型の分解による資本制崩壊の展望を明らかにした。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日本資本主義分析
にほんしほんしゅぎぶんせき

日本資本主義についての講座派理論を代表する山田盛太郎(もりたろう)の著作。1934年(昭和9)刊。『日本資本主義発達史講座』(1932~33)に山田が発表した三つの論文を集めたもので、極度に圧縮された特異な文体で、日本における産業資本確立過程と、そこにおける軍事機構=キー産業および半封建的農業諸関係の役割を分析し、日本資本主義を軍事的半農奴制的資本主義として特徴づけた。これに対しては向坂逸郎(さきさかいつろう)など労農派系の学者が次々と批判を行い、講座派の論客がそれに反論するなど、この著作は日本資本主義論争の焦点となった。明治維新以降の日本社会の構造的特質を体系的に分析したものとして画期的な意味をもつ著作であり、当時の知識人に広く強烈な影響を及ぼした。今日もなお、この著作に対する批判と再評価の試みが繰り返されている。[山崎春成]
『山田盛太郎著『日本資本主義分析』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の日本資本主義分析の言及

【講座派】より

…1930年代におこなわれた日本資本主義論争で,日本資本主義における封建制の存在を強調した学派。名称の由来は,1932年から翌年にかけて野呂栄太郎・平野義太郎・山田盛太郎・大塚金之助の編集によって刊行された《日本資本主義発達史講座》(岩波書店,1982復刊)にこの学派が結集したことによる。おもなメンバーは上記4人のほか,羽仁五郎・服部之総・小林良正・山田勝次郎・井汲卓一・風早八十二・細川嘉六らで,相川春喜・井上晴丸・守屋典郎らも加わった。…

【日本資本主義論争】より

…したがって無産階級の正面の敵は,金融資本=帝国主義ブルジョアジーであって,その革命戦略は必然的に,一挙的社会主義革命(いわゆる1段階革命)とならざるをえないと主張した。その後,この論争に決着をつけるためには,日本社会の全面的分析が必要であるとの認識が深まり,野呂は山田盛太郎,平野義太郎,羽仁五郎,服部之総らの協力を得て,《日本資本主義発達史講座》全7巻(1932‐33)を岩波書店から刊行した。この《講座》は〈経済・政治・文化の全機構をその歴史的発展の具体的相互関連性の上に,科学的・体系的・弁証法的に認識〉することを試みた日本資本主義研究のマルクス主義的集大成とも呼ぶべきものであった。…

【マルクス経済学】より


[日本資本主義論争]
 そのなかで最も重要な論争は,いわゆる日本資本主義論争であった。 まず,野呂栄太郎平野義太郎山田盛太郎らによって編集された《日本資本主義発達史講座》(1932‐33)に結集したマルクス経済学者は,一般に講座派と呼ばれたが,彼らは当時の日本資本主義の性格を次のように理解した。明治維新はまだブルジョア革命ではなく,封建的土地所有の単なる再編過程にすぎない。…

【マルクス主義】より

… そのなかで,1932年コミンテルンは〈32年テーゼ〉を示し,日本を半封建的地主とブルジョアに依拠する絶対主義的天皇制国家と規定して,社会主義革命へ強行的に転化するブルジョア革命を日本革命の戦略とした。このような日本資本主義(社会)像をめぐっての論争は,野呂栄太郎などによって企画され,羽仁五郎,服部之総,山田盛太郎,平野義太郎らマルクス学者の執筆する《日本資本主義発達史講座》(1932‐33)となり,これを契機に,猪俣津南雄,向坂逸郎,櫛田民蔵らの労農派と《講座》執筆者ら講座派の間で,日本社会の特質をめぐって日本資本主義論争(封建論争)が行われた。このころ,政府の弾圧は治安維持法によって激烈に行われたが,非合法の共産党員をはじめ多くの知識人がマルクス主義の政治と研究に加わり,日本のマルクス主義研究は,国際的にも高い水準を示した。…

※「日本資本主義分析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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