日本大百科全書(ニッポニカ) 「日華基本条約」の意味・わかりやすい解説
日華基本条約
にっかきほんじょうやく
日中戦争中、日本が汪兆銘(おうちょうめい)政権と結んだ条約。戦争の長期化に苦慮した日本は、国民党内親日派の汪兆銘に働きかけ、抗日戦から離脱させて、1940年(昭和15)南京(ナンキン)に汪を首班とする傀儡(かいらい)政権をつくった。これを承認するため同年11月、日満華共同宣言とともに日華基本条約を調印、重慶(じゅうけい)の国民政府を否認した。共同防共、日本軍による治安維持、日本艦船の駐留、華北・内蒙古(うちもうこ)の資源開発などを定め、多くの秘密付属文書とともに日本の中国支配の意図を露骨に表していた。英米はこれに反対し、また中国民衆や国民政府の抗戦決意は一段と高まった。
[岡部牧夫]