日韓大陸棚協定(読み)にっかんたいりくだなきょうてい

改訂新版 世界大百科事典 「日韓大陸棚協定」の意味・わかりやすい解説

日韓大陸棚協定 (にっかんたいりくだなきょうてい)

日本と韓国との間に存在する大陸棚の開発や境界について定めた国際協定。二つの協定と付属文書より成る。一つは,日韓両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定であり,他の一つは,同じ大陸棚の南部の共同開発に関する協定である。前者は無期限,後者は50年の有効期間である。1974年1月,ソウルで署名され,78年6月に効力が発生した。現在,南部の区域で物理的探査が行われているが,まだ油層は発見されていない。

 大陸棚北部に関しては,両国間の中間線をたどる境界線が合意された。また,両国の間で領有が争われている竹島周辺の大陸棚は,協定の対象から除外され,未定のままである。

 油田の存在が有望視される南部大陸棚に関しては両国の主権主張が競合したが,結局,主権問題は棚上げとし,世界でも例の少ない共同開発方式が採用された。南部大陸棚に関しては,今後,その大陸棚部分を中国大陸からの自然の延長と主張する中国との間で紛争が生ずる可能性もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日韓大陸棚協定」の意味・わかりやすい解説

日韓大陸棚協定
にっかんたいりくだなきょうてい

1974年(昭和49)1月30日に署名され、78年6月22日に発効した日本と韓国の大陸棚に関する二つの協定、すなわち、「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定」と「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定」をいう。前者の協定は、対馬(つしま)海峡西水道の日韓間の大陸棚の境界線を35の座標で示しており、この線は、日本側の壱岐(いき)、対馬(つしま)を考慮に入れた日韓の中間線となっている。共同開発に関する後者の協定は、東シナ海における石油資源天然ガスを含む)の日韓の共同開発区域を20の座標で示し、開発の方法、開発に関する協力などを規定している。共同開発区域は、大陸棚の境界問題で、陸地の自然延長論を主張する韓国と中間線を主張する日本との各主張の重複する区域であり、この共同開発協定によって、実際上、管轄権問題を棚上げしている。

[水上千之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日韓大陸棚協定」の意味・わかりやすい解説

日韓大陸棚協定
にっかんたいりくだなきょうてい

1974年1月 30日,日本,韓国両国間で両国隣接の大陸棚の石油,天然ガス資源を開発するため結ばれた協定。協定は両国間水域を中間線で分つ「北部境界画定協定」と,9つの小区域に分ける「南部共同開発協定」の2つから成る。国会では,承認が難航し,政府は 77年春の通常国会で自然承認に持込んだが,関連国内法の成立が遅れ 78年5月ようやく成立するにいたった。

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