日本大百科全書(ニッポニカ) 「旭志」の意味・わかりやすい解説
旭志
きょくし
熊本県北部、菊池(きくち)郡にあった旧村名(旭志村(むら))。2005年(平成17)菊池市に合併。現在は菊池市の南部東寄りを占める。旧村域は更新世(洪積世)前期火山岩(安山岩類)の阿蘇(あそ)外輪山地からなる東半域と、開析の進んだ阿蘇溶結凝灰岩の迫間(はざま)丘陵、肥後(ひご)台地からなる西半域とから成り立っている。この対照は土地利用面でも、東半域の山林原野、肉牛肥育、西半域の田畑、乳牛飼育となって現れている。米麦、タバコ栽培、養蚕、赤牛飼育が伝統的な農業形態であったが、昭和30年代後半から、畑作と結び付いた酪農が伸び、飼料畑や牧草栽培が一般化し、県内有数の畜産地帯となる。一方、昭和40年代後半からは工業に村の振興を求める姿勢がつくりだされ、国道325号の整備、これに連なる主要地方道の改修などが、熊本市およびその隣接町村に立地している工場や研究所の関連下請施設などの進出を促した。藤尾支石墓群のほか阿蘇外輪山の秀峰鞍岳(くらだけ)がある。
[山口守人]