熊本県北部、菊池(きくち)郡にあった旧町名(泗水町(まち))。現在は菊池市の南西端部を占める。旧泗水町は1961年(昭和36)町制施行。2005年(平成17)菊池市に合併。旧町域の中央をほぼ東西に流れる合志川(こうしがわ)によって形成された低地と、これを南北から挟むように広がる台地とからなる。産業の中心は久しく稲作に養蚕を加味した農業にあったが、近年では農業自体も変質し、酪農、野菜に重点が置かれているほか、電子部品やコンクリート製造などの工場立地もかなりみられる。また、国道387号、325号などは、熊本市のベッドタウン化を促す媒体になっている。他方では正月飾りに比定される「正月棚」とよばれる表の天井から下げた綱に横板を渡し、鏡餅(かがみもち)、ダイダイ、イワシ、ダイコンなどを供え、ろうそくをともす旧習も残っている。歴史民俗資料館がある。
[山口守人]
『『泗水町史』(1965・泗水町)』
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