菊池市(読み)キクチシ

デジタル大辞泉 「菊池市」の意味・読み・例文・類語

きくち‐し【菊池市】

菊池

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日本歴史地名大系 「菊池市」の解説

菊池市
きくちし

面積:一八二・五四平方キロ

県の北部に位置し、中央部は菊池平野の東部を占める平野、周辺部は山地・丘陵・台地からなる。北は大分県、東は阿蘇郡、南は菊池郡、西は鹿本かもと郡に接する。東はくら(一一一八・六メートル)をはじめ阿蘇外輪山の西側をなす山々が連なり、北には八方やほうヶ岳(一〇五一・八メートル)を中心とする筑肥山地が外輪山と接して一〇〇〇メートル級の山地をなす。外輪山に源を発する菊池川が鉾甲ほこのこう川・向柏むかいかしわ川などの支流を集めて中央部を貫流し、隈府わいふ付近から南西部にかけて沖積平野を形成する。北から迫間はざま川が南流し、南方を河原かわはる川が西流する。南部には花房はなぶさ台地とよばれる洪積世の台地が鞍岳裾野から西へ広がる。菊池平野は良質の菊池米を産する穀倉地帯である。

昭和三三年(一九五八)市制が施行され、菊池郡から菊池市が分離・誕生した。当市域は旧菊池郡域の大半を占め、現菊池郡域はほぼ旧合志こうし郡域に相当する。菊池の名は「続日本紀」文武天皇二年(六九八)五月二五日条に「鞠智」とみえ、和銅六年(七一三)の諸国郡郷名着好字により「菊池」になったと思われる。郡名は「三代実録」貞観一七年(八七五)六月二〇日条に「菊池郡倉舎」とみえ、群烏数百羽が倉舎の葺草をかみ抜いたとある。「和名抄」は「久々知」と訓ずる。菊池の地名について「国誌」は深川ふかがわ村のきくいけに由来するという説を伝える。

〔原始・古代〕

先土器時代の遺物として、迫間川流域竜門の長野りゆうもんのながの遺跡から黒曜石の尖頭器が、菊池川流域原の細永はるのほそなが遺跡から黒曜石のナイフ形石器などが採集されている。縄文早―中期の土器は東部山麓から丘陵地にかけて出土し、菊池平野段丘上に後期の遺跡がみられる。原の伊野いの遺跡は縄文―弥生の複合遺跡、赤星の天城あかほしのあまぎ遺跡からは縄文後―晩期の土器・石器・竪穴住居跡が確認された。弥生時代のものは平野部に移り、長田外園ながたほかぞの遺跡から弥生式土器とともに貨泉が出土。玉祥寺ぎよくしようじからは銅鉾が出土し、森北もりきた立石たていし支石墓群がある。古墳時代の遺跡は菊池平野を見渡す丘陵台地周辺部に多く分布し、木柑子きこうじ石人をもつフタツカ古墳、線刻の靫、連続三角文の装飾をもつ袈裟尾高塚けさおたかつか古墳などがある。後期に群集して出現する横穴は阿蘇溶岩でできた凝灰岩が分布する菊池平野周辺の崖面に多数存在する。

「続日本紀」文武天皇二年五月二五日条に「令大宰府治大野、基肄、鞠智三城」とみえる鞠智城くくちのき跡は当市域に接する鹿本郡菊鹿きくか米原よなばる一帯に築かれた古代山城。「文徳実録」天安二年(八五八)閏二月二四日条に「肥後国言菊池城院兵庫鼓自鳴」、六月二〇日条に「肥後国菊池城院兵庫鼓自鳴、同城不動倉十一宇火」とあり、米原より多量に出土する炭化米はこの時の遺物といわれる。


菊池市
きくちし

2005年3月22日:菊池市と菊池郡七城町・泗水村・旭志村が合併
【七城町】熊本県:菊池郡
【泗水町】熊本県:菊池郡
【旭志村】熊本県:菊池郡
【菊池市】熊本県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「菊池市」の意味・わかりやすい解説

菊池〔市〕
きくち

熊本県北部,阿蘇外輪山(→阿蘇山)の西麓から山鹿盆地東部および熊本平野北東部に広がる市。1956年隈府町と河原村,水源村,迫間村,竜門村,戸崎村,花房村,菊池村の 7村が合体して菊池町となり,1958年市制。2005年七城町,泗水町,旭志村の 2町 1村と合体。中心市街地の隈府は,菊池川とその支流迫間川の間に位置し,かつて中世の豪族菊池氏が本拠地とした。一時は「九州の京都」といわれるほど繁栄。加藤清正の熊本築城以後,この地方の政治,経済の中心は熊本に移ったが,その後も城北の中心地,河川交通の要地として栄え,菊池川沿いの広瀬,高島は河港の役割を担った。製材,酒造,製糸などの工場が立地。IT(情報技術),バイオテクノロジーなどの先端企業も進出している。農村地域ではシイタケカスミソウを特産。ほかにトマトなどの野菜,クリの栽培,肉牛飼育,酪農,養蚕が行なわれる。北部迫間川上流に竜門ダムがある。菊池氏関係の遺跡が多く,居城があったとされる菊池神社,菊池温泉,菊池五山などの観光地がある。東部の菊池渓谷は阿蘇くじゅう国立公園に属する。国道325号線,387号線が通じる。面積 276.85km2。人口 4万6416(2020)。

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