日本大百科全書(ニッポニカ) 「景観協定」の意味・わかりやすい解説
景観協定
けいかんきょうてい
地域の景観を保全し、増進するため、住民自らが自主的に規制を行うことができる制度。2004年(平成16)制定の景観法に基づき、建築物などの制限が設けられている景観計画区域内の一団の土地について、土地所有者や借地権者の全員の合意があれば、住宅建築や周辺環境に関する事柄に基準を設けることができる。土地所有者など地域の合意によって設けられる協定なので、景観を構成する建築物、工作物、樹林地、草地、緑化、屋外広告物、農用地などといった、多様な要素について定めることが可能である。協定には強制力があり、違反した場合の措置についても定めたうえで自治体の認可を受けることになっている。
景観協定制度には、景観協定区域隣接地制度が含まれている。これは、景観協定が締結されている隣接地で、土地所有者などの全員の合意が意思表示されれば、簡易な手続きで既存の景観協定に参加できる制度である。
国土交通省によると、2013年1月1日時点で、全国で40件が景観協定の認可を受けている。一方、大規模な土地所有者が管理するような区域以外でも、景観保全をさまざまな手法で模索するケースが生まれている。大阪市の心斎橋筋商店街は、2013年3月に景観協定が市に認可された。協定には屋外広告の基準、性風俗店やパチンコ店、ゲームセンターなどの新たな出店を規制する内容が盛り込まれ、有効期間は認可日から10年となる。また、東京都練馬区では、区画が小さい住宅地で大がかりな景観協定はむずかしいと判断し、近所の3~4軒から協定を結べる「景観まちなみ協定」の制度を区が独自に進めている。
[編集部]