(読み)う

デジタル大辞泉の解説

う【有】

《〈梵〉bhavaの訳。生じること、あることの意》仏語生存存在。また、その場所。生死輪廻(りんね)の根源となるもの。

う【有/優】[漢字項目]

〈有〉⇒ゆう
〈優〉⇒ゆう

ゆう〔イウ〕【有】

あること。存在。「無からを生じる」⇔無(む)
持っていること。所有すること。「敵のに帰する」
存在2
数字とともに用いて、さらに、その上また、の意を表す。「十余年」

ゆう【有】[漢字項目]

[音]ユウ(イウ)(漢) (呉) [訓]ある もつ たもつ
学習漢字]3年
〈ユウ〉
…がある。存在する。「有益有害有効有罪有志有望有名有利有料有力烏有(うゆう)固有通有万有
持っている。「含有共有具有国有私有所有占有保有領有
さらに加えて。「有余/一年有半
語調を整える助字。「有司有虞氏(ゆうぐし)
〈ウ〉
ある。存在する。「有情有無有象無象有頂天希有(けう)未曽有(みぞう)
仏教で、存在すること。生存。「三有(さんぬ)中有
[名のり]あり・すみ・とお・とも・なお・なり・みち・もち・ゆ
[難読]有職(ゆうそく)

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世界大百科事典 第2版の解説

う【有】

ウパニシャッドの思想家ウッダーラカ・アールニによれば,この宇宙ははじめ〈有sat〉のみであったが,それがみずからの意思で火を,火は水を,水は食物(=地)を創造した。〈有〉はその3者の中にアートマン(自我,本体)として入り,3者を混合して名称と形態(現象界)を開展した。熟睡時と死時には逆をたどって〈有〉に帰入するが,凡人はそれを知らないで世界の多様性に翻弄される。この〈有〉は一般にはブラフマン(梵)と称され,上述のごとく実はアートマンと同一である。

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大辞林 第三版の解説

う【有】

〘仏〙
存在。存在物。事物。実在。 ⇔
苦が存し、生死輪廻しようじりんねのある世界。 → 三有さんぬ
一回の輪廻の生死を四つに区切ったもの。 → 四有
有見うけん」に同じ。

ゆう【有】

あること。存在すること。 「無から-を生じる」
持つこと。持ちもの。所有。 「わが-に帰する」
〘仏〙 「」に同じ。
漢語名詞の上に付いて、…があるという意を表す。 「 -資格者」
▽⇔

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精選版 日本国語大辞典の解説

あ【有】

(ラ変動詞「あり」の連体形「ある」(一説に終止形「あり」)が、助動詞「べし」「めり」「なり(伝聞・推定)」を伴うとき、撥音便化して「あん」となり、その撥音が表記されなかったもの。主として平安時代に行なわれた表記法)
伊勢物語(10C前)六五「この女は蔵にこもりながら、それにぞあなるとは聞けど」
※伊勢物語(10C前)四六「目かるれば忘れぬべきものにこそあめれ」

ありい【有】

〘感動〙 「ありがとう」の省略「あり」をのばした言い方。威勢のいい商売でいう。「毎度ありい」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉九「ありいといはないうちが千両だ」

あろ【有】

〘動〙 動詞「ある(有)」の連体形の上代東国方言。
※万葉(8C後)一四・三五〇九「たくぶすま白山風の寝なへども子ろが襲着(おそき)の安路(アロ)こそえしも」

あろ【有】

〘連語〙 動詞「ある(有)」の未然形に推量の助動詞「う」の付いた「あろう」のつづまったもの。
※浄瑠璃・生玉心中(1715か)中「是々、万事皆聞てであろ」

う【有】

〘名〙
① (bhava の訳語) 仏語。有情としての存在、その存在の仕方、生存などの意。三有四有、二十五有などや、十二因縁の中の一つなどとしてあり、果(か)を招く業(ごう)、あるいはその業の果としてあるものなどをいう。
※平家(13C前)二「むすぶ、早玉の両所権現、〈略〉八万四千の光を和げ、六道三有(ろくだうさんう)の塵に同じ給へり」 〔大乗義章‐八〕
② あること。所有すること。また、その所有物。ゆう。
※太平記(14C後)二三「欲界の衆生を悉く我有(ウ)に成さんとする時、諸天善神、善法堂に集て、般若を講じ給ふ」
※菅江真澄遊覧記(1784‐1809)迦須牟巨麻賀多「奥州も鎌倉殿の有(ウ)となりし事を聞き涙を流しける」
③ 哲学用語。存在。

ゆう イウ【有】

[1] 〘名〙
① あること。あるもの。存在。
※百学連環(1870‐71頃)〈西周〉二上「英の being (体)なり。此ビイーンなる語は有なる字にして、その有とするものは体なるが故に、今之を体と称するところに用ひしなり」 〔老子‐四十章〕
② 所有すること。自分の物とすること。また、その所有物。〔文明本節用集(室町中)〕
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一三「既に一銭の有をも尽して、債主に賠(つぐの)ひたれば」
[2] 〘語素〙 「さらに」「その上また」の意をあらわす。
※山陽詩鈔(1833)一・癸丑歳偶作「十有三春秋、逝者已如水」 〔論語‐為政〕

ゆう‐・す イウ‥【有】

〘他サ変〙 ⇒ゆうする(有)

ゆう‐・する イウ‥【有】

〘他サ変〙 ゆう・す 〘他サ変〙 もつ。もっている。所有する。
正法眼蔵(1231‐53)三界唯心「しるべし、三界外に一衆生界蔵を有せしむるは、外道大有経なり」

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世界大百科事典内のの言及

【ウッダーラカ・アールニ】より

…その思想はおもに《チャーンドーギヤ・ウパニシャッドChāndogya‐upaniṣad》の特に第6章に,わが子シュベータケートゥへの教えというかたちで伝えられている。それによれば,太初,宇宙は〈(う)sat〉のみであったが,〈有〉は火・水・食物を創造し,その3者の中にアートマン(自我)として入りこみ,3者を混合して名称nāmaと形態rūpa(現象界)を開展したという。人が死ねば,この逆をたどって〈有〉に帰入するという。…

【仏教】より

…紀元前5世紀ころインドに出たシャーキャムニ,すなわち釈迦(しやか)によって創唱された教えで,キリスト教,イスラムと並ぶ世界三大宗教の一つ。現在,(1)スリランカ,タイなどの東南アジア諸国,(2)中国,朝鮮,日本などの東アジア諸国,(3)チベット,モンゴルなどの内陸アジア諸地域,などを中心に約5億人の教徒を有するほか,アメリカやヨーロッパにも教徒や思想的共鳴者を得つつある。(1)は前3世紀に伝道されたスリランカを中心に広まった南伝仏教(南方仏教)で,パーリ語仏典を用いる上座部仏教,(2)はインド北西部から西域(中央アジア)を経て広まった北伝仏教で,漢訳仏典を基本とする大乗仏教,(3)は後期にネパールなどを経て伝わった大乗仏教で,チベット語訳の仏典を用いるなど,これらの諸地域の仏教は,歴史と伝統を異にし,教義や教団の形態もさまざまであるが,いずれもみな,教祖釈迦をブッダ(仏)として崇拝し,その教え(法)を聞き,禅定(ぜんじよう)などの実践修行によって悟りを得,解脱(げだつ)することを目標とする点では一致している。…

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