偉い(読み)エライ

デジタル大辞泉 「偉い」の意味・読み・例文・類語

えら・い【偉い/豪い】

[形][文]えら・し[ク]
普通よりもすぐれているさま。
㋐社会的地位身分などが高い。「会社の―・い人」
人間として、りっぱですぐれている。「苦労しただけあって、―・い人だ」
物事状態が普通ではないさま。
㋐程度がはなはだしい。ひどい。「今日は―・く寒い」「―・い混雑だった」
㋑予想外である。ひどく困ったさまである。「―・い目にあった」
㋒苦しい。つらい。しんどい。「歩きどおしでからだが―・い」
[派生]えらがる[動ラ五]えらさ[名]
[類語](1㋐)(連体修飾語として)重立った有力な錚錚そうそうたる/(1㋑)偉大立派有徳優れる秀でる優等優秀秀逸錚錚そうそう一廉ひとかど長ずるける粒揃い良い良好良質優良有数粒選り選抜簡抜抜粋精選厳選特選選り抜き一粒選り選り抜く白羽の矢が立つ(連体修飾語として)大した優れた/(2㋐)大変大層異常極度けた外れ桁違い並み外れ格段著しい甚だしいすごいものすごい計り知れない恐ろしいひどい途方もない途轍とてつもないこの上ない筆舌ひつぜつに尽くしがたい言語げんごに絶する言語ごんごに絶する並並なみなみならぬ随分かなり相当なかなか大分すこぶるいやにやけに馬鹿に余程よっぽど比較的割と割に割りかし割方割合結構大幅めためた極めて至って甚だごく至極しごく滅法めっぽういともとても大いに実にまことに一方ひとかたならずさんざっぱらさんざんさんざこってりめちゃくちゃめちゃめっちゃ底抜け恐るべきこよなく殊の外ひときわ特段度外れ法外べらぼうとんでもない類がない比類ない無上度が過ぎる行き過ぎどえらい飛び切り段違い圧倒的かけ離れる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「偉い」の意味・読み・例文・類語

えら・い【偉・豪】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]えら・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. [ 一 ] 物事の程度のはなはだしいさまを表わす。
    1. ( 副詞的にも用いられて ) なみなみでない。大変だ。ひどい。
      1. [初出の実例]「武辺ばなしで気をつっぱって血がゑらくはしったゆへか」(出典:雑兵物語(1683頃)下)
    2. 思いもかけない。とんでもない。予想外だ。
      1. [初出の実例]「『俺等(わしら)が親爺の代には可怪(エレヘ)物が出ましてなア』『何(ど)んな可怪(エライ)物が出ました。大女か何か出ましたか』」(出典:落語・甲子待(1895)〈柳家禽語楼〉)
    3. 苦痛などが激しく、たいへんである。耐えがたい。
      1. [初出の実例]「サア居(すへ)ますぞへ、アツツアツツゑらいぞゑらいぞ」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)野崎村)
    4. 疲れている。つらい。しんどい。
      1. [初出の実例]「ヲヲゑらいゑらい、なんじゃ重たいやつじゃ」(出典:咄本・諺臍の宿替(19C中)九)
  3. [ 二 ] 物事の状態などのすぐれているさまを表わす。
    1. 社会的な地位、身分が高い。
      1. [初出の実例]「ゑらひやつ・鎗立てさして馬にのる」(出典:雑俳・笠付類題集(1834))
    2. 行動や識見がすぐれている。立派だ。
      1. [初出の実例]「大星由良之介ほどゑらい人はなひ」(出典:咄本・諺臍の宿替(19C中)二)

偉いの語誌

( 1 )[ 一 ]挙例「雑兵物語」などの近世前期東国語資料に用例が見られるが、近世中期以降は上方語での使用が一般的になる。江戸語では、遅れて一八〇〇年前後から使用が認められる。
( 2 )近世語としては一般に[ 一 ]の意で用い、幕末に至って[ 二 ]の意が定着し始める。また、幕末の上方では[ 一 ]用法も現われる。
( 3 )近世では一般に仮名書きであったが、明治中期ごろから次第に「偉」の字を当てる表記が増える。

偉いの派生語

えら‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

偉いの派生語

えら‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

偉いの派生語

えら‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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