日本大百科全書(ニッポニカ) 「木村健二郎」の意味・わかりやすい解説
木村健二郎
きむらけんじろう
(1896―1988)
分析化学者、地球化学者。明治29年青森県弘前(ひろさき)市に生まれる。東京帝国大学理学部化学科を卒業。1922年(大正11)に同大学理学部助教授となり分析化学を担当。1925年からデンマークに留学し、ボーアのもとで研究した。1933年(昭和8)東大教授となり、柴田雄次(しばたゆうじ)の後を受けて無機化学講座を担当、希元素の化学的研究を推進した。この間、「本邦産鉱物の分析における分光法の応用」で日本化学会桜井賞を、1945年には「稀元素に関する分析化学的及び地球化学的研究」で日本学士院賞を受賞。第二次世界大戦後、広島および長崎の「死の灰」事件で原爆被害調査の分析面を担当し、また放射性同位元素の応用に関する研究を進めた。東大理学部長、日本化学会会長、日本分析化学会会長などを歴任し、東大名誉教授、1983年より日本学士院幹事を務めた。著書に『無機定性分析』『分析化学実験法』などがある。
[後藤忠俊]