兵庫県神戸市御影地方で古くから採石された花崗(かこう)岩の石材名。六甲(ろっこう)山地をつくる中生代花崗岩の一部にあたり、石英・長石・黒雲母(くろうんも)からなる黒雲母花崗岩である。長石が淡紅色であるために外観はきれいな淡紅色を呈し、花崗岩石材のなかでもっとも美しいものといわれる。花崗岩を通称で御影石とよぶのは、この産地名に由来する。風化が著しく、残塊から採石するために、大材や同質のものを集めるのは困難であるが、石灯籠(いしどうろう)などの細工物や彫刻用に利用された。日本産の石材では高価なものであるが、現在ではほとんど産出しない。
[斎藤靖二]
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