日本古代氏族の系譜書。各氏族の始祖名,事績,賜姓,本宗氏族から分かれた枝流の氏族のことを記したもの。単に本系ともいう。《弘仁私記序》によると,天平勝宝年代(749-757)以前から歴代の朝廷は,諸氏族に本系帳を提出させており,図書寮が保管していたという。本系帳の京畿内の分を集成した《新撰姓氏録》のよりどころとなった本系帳は,799年(延暦18)12月に諸氏族に提出を命じたものであるが,このときの本系帳らしいものに《丹生祝氏文》があり,名称だけ知られるものに《荒木田神主氏本系帳》がある。延暦以後も,本系帳はしばしば作成されており,著名なものに〈延喜本系〉とよばれている906年(延喜6)撰述の《大中臣本系帳》があって,ほぼその全文が《中臣氏系図》に引用されている。なお《本朝月令》などに《秦氏本系帳》の逸文が,また《政事要略》に《多米宿禰本系帳》の逸文が引用されていて古代史料として貴重。
執筆者:佐伯 有清
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