材料科学(読み)ザイリョウカガク(その他表記)material science

デジタル大辞泉 「材料科学」の意味・読み・例文・類語

ざいりょう‐かがく〔ザイレウクワガク〕【材料科学】

材料の科学的性質研究したり、工学的な応用開発を行ったりする学問分野。材料の物性主眼とする場合は物性科学または物質科学、工学的な見地から新規材料を開発したり、目標とする性質や性能を追求したりする場合は材料工学ともよばれるが、研究の対象内容による明確な違いはない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「材料科学」の意味・わかりやすい解説

材料科学
ざいりょうかがく
material science

主として固体材料に関し,あらゆる基礎的な問題の連係的な理論的研究,およびその成果の工業的応用・開発までを含む広範な内容をもつ学問分野。およそ 1960年頃,エレクトロニクス材料,高分子物質などの新材料の進歩,また一面には超高圧や極低温下での特殊な相転移,物性変化などの現象から,これらの諸問題を汎物質的な観点から包括する考え方が生れ,材料科学の語が使われ始めたが,その内容は固体物性論を主とするものであった。それが工学技術の範囲まで関連的に拡大されたのは,おそらく 67年 H.メルビル主宰の学術誌"Metals and Materials"の創刊の辞が初めである。それは,純金属および結晶の研究がエレクトロニクス材料開発に結実したことを例として,科学的研究と工業的要求との間の相互作用の必要を説き,この二元性の認識のもとに新材料の開発研究を体系的に行うことを提唱したものである。現在の工業材料の経験的に知られた諸性質を一つ基準で体系化することは,メルビル自身のいう formidable challenge (恐るべき挑戦) であったが,観測技術や制御技術の進歩により原子,分子レベルの観測制御が可能となってきており,モデリング手法,計算手法とともに理想現実になりつつある。

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