中国,清朝に関する編年体の歴史書。編者の蔣良騏,王先謙らは国史館に奉職し,清朝の実録や各種記録を参照して編纂した。ときに実録にない記事が散見する。書名は国史館が宮城の東華門内にあったことに由来する。次の4種がある。(1)蔣良騏編《東華録》32巻。国初から雍正朝(1723-35)まで。16巻本,8巻本もある。(2)王先謙編《東華録》195巻,《東華続録》430巻。(1)が簡略すぎるので,詳しく書き改め,同治朝(1862-74)までを書き足したもの。(3)潘頤福(はんいふく)編《東華続録(咸豊朝)》69巻。王本の咸豊朝(1851-61)100巻にくらべ,やや簡略である。(4)朱寿朋編《光緒朝東華続録》220巻。清末の各種資料を利用しており,実録以上の利用価値がある。王本道光朝までの《九朝東華録》,咸豊朝までの《十朝東華録》,同治朝までの《十一朝東華録》,そして咸豊朝を王本の代りに潘本を入れ,光緒続録を加えた《十二朝東華録》が刊行されている。
執筆者:北村 敬直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中国、清(しん)朝の編年体の史書。次の4種がある。(1)蒋良驥撰(しょうりょうきせん)、32巻。この名は、撰者が勤務していた国史館が北京(ペキン)宮城の東華門内にあったのにちなむ。1765年国史館が開かれ、纂修(さんしゅう)となった撰者が、その職掌がら実録その他の記録を閲覧することができたので、それらをもとに国初から1735年までを記述した。叙述は簡潔である。(2)王先謙(おうせんけん)撰、195巻、続録430巻。蒋良驥のそれが簡潔にすぎるとして、国初から雍正(ようせい)期(1723~35)までを重補し、乾隆(けんりゅう)、嘉慶(かけい)、道光、咸豊(かんぽう)、同治(1862~74)までの続録を加えた。『十一朝東華録』ともいう。(3)潘頤福(はんいふく)撰、『咸豊朝東華録』69巻。咸豊朝(1851~61)だけを編集したもの。(4)朱寿朋(しゅじゅほう)撰、『光緒(こうちょ)東華続録』220巻は光緒朝(1875~1908)の事跡だけを記載したもので、史料として優れている。
[川勝 守]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…《尚書孔伝参正》《詩三家義集疏》《漢書補注》《後漢書集解》《荀子集解》《荘子集解》などは,みなその書を読むに必見の注解である。宋の晁公武の《郡斎読書志》の校訂,姚鼐(ようだい)の《古文辞類纂》につぐ続編など,校刊編集の書も多く,国史館にあっての《東華録》は清10朝の編年史。ことに江蘇学政のとき,阮元(げんげん)の《皇清経解》を補完する《皇清経解続編》を編み,さらなる続編《南菁書院叢書》とともに,清朝経学を集成するものとなっている。…
※「東華録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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