東華録(読み)とうかろく

精選版 日本国語大辞典 「東華録」の意味・読み・例文・類語

とうかろく トウクヮロク【東華録】

中国編年体史書清朝歴朝の事跡を記述したもの。以下の四種がある。
[一] 三二巻。蒋良騏(しょうりょうき)撰。国初の天命元年(一六一六)から雍正一三年(一七三五)までの記録
[二] 十一朝東華録。一九五巻。続録四三〇巻。王先謙撰。(一)を改編するとともに継続させたもので、天命朝(一六一六‐二六)から同治朝(一八六二‐七四)までの一一朝の記録。
[三] 東華続録。六九巻。潘頤福撰。咸豊朝(一八五一‐六一)の記録。(二)を補うもの。咸豊朝東華録とも。
[四] 光緒朝東華続録。二二〇巻。朱寿朋撰。光緒朝(一八七五‐一九〇八)の記録。

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デジタル大辞泉 「東華録」の意味・読み・例文・類語

とうかろく〔トウクワロク〕【東華録】

中国の歴史書の歴代王朝の事蹟を編年体で記したもので4種ある。
32巻。清初の1616年から1735年までの記録で、蒋良騏撰。
195巻。続録430巻。太祖から穆宗までの11代の記録で、王先謙撰。十一朝東華録。
69巻。咸豊帝時代の記録で、潘頤福撰。東華続録。咸豊朝東華録。
220巻。光緒帝の時代の記録で、朱寿朋撰。光緒朝東華録。

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改訂新版 世界大百科事典 「東華録」の意味・わかりやすい解説

東華録 (とうかろく)
Dōng huá lù

中国,清朝に関する編年体の歴史書。編者蔣良騏,王先謙らは国史館に奉職し,清朝の実録や各種記録を参照して編纂した。ときに実録にない記事が散見する。書名は国史館が宮城の東華門内にあったことに由来する。次の4種がある。(1)蔣良騏編《東華録》32巻。国初から雍正朝(1723-35)まで。16巻本,8巻本もある。(2)王先謙編《東華録》195巻,《東華続録》430巻。(1)が簡略すぎるので,詳しく書き改め,同治朝(1862-74)までを書き足したもの。(3)潘頤福(はんいふく)編《東華続録(咸豊朝)》69巻。王本の咸豊朝(1851-61)100巻にくらべ,やや簡略である。(4)朱寿朋編《光緒朝東華続録》220巻。清末の各種資料を利用しており,実録以上の利用価値がある。王本道光朝までの《九朝東華録》,咸豊朝までの《十朝東華録》,同治朝までの《十一朝東華録》,そして咸豊朝を王本の代りに潘本を入れ,光緒続録を加えた《十二朝東華録》が刊行されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「東華録」の意味・わかりやすい解説

東華録
とうかろく

中国、清(しん)朝の編年体の史書。次の4種がある。(1)蒋良驥撰(しょうりょうきせん)、32巻。この名は、撰者が勤務していた国史館が北京(ペキン)宮城の東華門内にあったのにちなむ。1765年国史館が開かれ、纂修(さんしゅう)となった撰者が、その職掌がら実録その他の記録を閲覧することができたので、それらをもとに国初から1735年までを記述した。叙述は簡潔である。(2)王先謙(おうせんけん)撰、195巻、続録430巻。蒋良驥のそれが簡潔にすぎるとして、国初から雍正(ようせい)期(1723~35)までを重補し、乾隆(けんりゅう)、嘉慶(かけい)、道光、咸豊(かんぽう)、同治(1862~74)までの続録を加えた。『十一朝東華録』ともいう。(3)潘頤福(はんいふく)撰、『咸豊朝東華録』69巻。咸豊朝(1851~61)だけを編集したもの。(4)朱寿朋(しゅじゅほう)撰、『光緒(こうちょ)東華続録』220巻は光緒朝(1875~1908)の事跡だけを記載したもので、史料として優れている。

[川勝 守]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東華録」の意味・わかりやすい解説

東華録
とうかろく
Dong-hua-lu; Tung-hua-lu

中国,清朝に関する編年体の歴史書。乾隆 30 (1765) 年に国史館に奉職していた蒋良騏が国初から雍正末までを記した 32巻を最初とする。東華とは国史館が紫禁城の東華門内にあったことによる名称。次いで清末の王先謙がこれにならい,雍正以前を 195巻に編纂し直すとともに乾隆朝から道光朝までの続録 230巻を光緒 10 (1884) 年に完成し (『九朝東華録』) ,続いて咸豊朝 (以上で『十朝東華録』) と同治朝 (以上で『十一朝東華録』) とを刊行した (続録総計 430巻) 。清末には別に潘頤福の『咸豊朝東華続録』 (69巻) があるが,王先謙の咸豊朝 100巻より簡略。その後,宣統1 (1909) 年に朱寿朋撰の『光緒東華続録』 (220巻) が刊行されている。本書は,これまでの『十一朝東華録』が実録によるところ大なるのと異なり,直接各種資料に依拠して編纂され,実録以上の資料的価値をもっている。

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世界大百科事典(旧版)内の東華録の言及

【王先謙】より

…《尚書孔伝参正》《詩三家義集疏》《漢書補注》《後漢書集解》《荀子集解》《荘子集解》などは,みなその書を読むに必見の注解である。宋の晁公武の《郡斎読書志》の校訂,姚鼐(ようだい)の《古文辞類纂》につぐ続編など,校刊編集の書も多く,国史館にあっての《東華録》は清10朝の編年史。ことに江蘇学政のとき,阮元(げんげん)の《皇清経解》を補完する《皇清経解続編》を編み,さらなる続編《南菁書院叢書》とともに,清朝経学を集成するものとなっている。…

※「東華録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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