改訂新版 世界大百科事典 「林業構造改善事業」の意味・わかりやすい解説
林業構造改善事業 (りんぎょうこうぞうかいぜんじぎょう)
林業基本法(1964)の具体化施策として発足したもので,〈夢のある地域社会をつくり,地域林業の潜在的可能性を追求する方向で,各種の事業を重点的かつ総合的に行なう〉ことを目的としている。第1次林業構造改善事業は1965年度から74年度まで,987地域を対象に行われた。第2次林業構造改善事業は73年度から85年度まで,891地域を対象として行われている。ついで新林業構造改善事業が1980年度から94年度にかけて,972地域を対象に行われた。
第1次林業構造改善事業は林道の開設に多くの資金が投入されたが,そのほかには入会(いりあい)林野の権利関係の整理,チェーンソー,トラック,倉庫などの生産施設の充実に力が注がれた。第2次林業構造改善事業では外材の急増や労働力の減少などの経済条件の変化に対応するため,地域林業の振興に力を入れ,素材生産から木材流通までの一貫した体制を整備するほか,森林のレクリエーション的利用を進めることが重点とされた。新林業構造改善事業ではさらに地域林業の組織化のための活動の推進,林業生産基盤の整備,山村地域の環境条件の改善を実施しようとしている。林業構造改善事業は地域の林業が発展する基盤をつくることが目的であり,豊かな山村をつくるところに意義がおかれている。林業の内部的な生産条件を整備する初期の方向から,最近では地域の振興を図る方向に変わってきている。
執筆者:筒井 迪夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報