梶山季之(読み)カジヤマ トシユキ

20世紀日本人名事典 「梶山季之」の解説

梶山 季之
カジヤマ トシユキ

昭和期の小説家,ルポライター



生年
昭和5(1930)年1月2日

没年
昭和50(1975)年5月11日

出生地
朝鮮京城

出身地
広島県廿日市

別名
筆名=梶 謙介,梶山 季彦

学歴〔年〕
広島高等師範学校(現・広島大学)国文科〔昭和26年〕卒

経歴
昭和28年上京、「エスポアール」同人となる。ついで第15次「新思潮」同人。34年「週刊文春」ルポライターなどを経て、37年産業スパイ小説「黒の試走車」で一躍流行作家となる。その後「赤いダイヤ」「李朝残影」「夢の超特急」「影の凶器」などを次々に発表、同時にポルノ作家としても勇名をはせる。編集者と読者への徹底したサービス精神はその肉体を犠牲にし、50年旅先の香港急死。なお、未完に終ったライフワーク積乱雲」執筆のために蒐集された7千冊の図書が母親ゆかりの地にあるハワイ大学図書館に寄贈され、“梶山コレクション”として貴重資料室に納められている。平成10年遺族によりデビュー作「黒の試走車」など著書517冊がはつかいち市民図書館に寄贈された。「梶山季之自選作品集」(全16巻 集英社)がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「梶山季之」の意味・わかりやすい解説

梶山季之
かじやまとしゆき
(1930―1975)

小説家。朝鮮のソウル生まれ。広島高等師範学校(現広島大学)卒業後、第十五次『新思潮』に参加。ルポ・ライターに転身後、いわゆる週刊誌などの「トップ屋」の代表的な存在となる。1962年(昭和37)産業スパイの非情さを描いた『黒の試走車』で文壇にデビュー、『夜の配当』『夢の超特急』(ともに1963)、『赤いダイヤ』(1962~63)などで時代の寵児(ちょうじ)の名をほしいままにする。『李朝(りちょう)残影』(1963)で第49回直木賞候補。『女の警察』(1967)、『現代悪女伝』(1968)、『せどり男爵数奇譚(たん)』(1974)、『血と油と運河』(1975)など膨大な作品群を残し、75年(昭和50)取材先の香港(ホンコン)で客死した。昭和一桁(ひとけた)生まれの最後の無頼派的な文士といわれ、「戦後文壇の自爆者」(磯田(いそだ)光一)の評を生む。

[伊藤和也]

『『李朝残影』(講談社文庫)』『『赤いダイヤ』上下(角川文庫)』『『梶山季之自選作品集』全16巻(1972~73・集英社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「梶山季之」の意味・わかりやすい解説

梶山季之
かじやまとしゆき

[生]1930.1.2. 朝鮮,京城
[没]1975.5.11. ホンコン
小説家。広島高等師範学校卒業。 1953年上京,『エスポアール』『新思潮』 (第 15次) の同人に参加,ルポライターの経験もある。自動車業界の産業スパイの暗躍を描いた推理小説『黒の試走車』 (1962) で認められた。ほかに『赤いダイヤ』上・下 (1962~63) ,『影の凶器』 (1964) ,『青い群像』 (1969) など。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「梶山季之」の解説

梶山季之 かじやま-としゆき

1930-1975 昭和時代後期の小説家。
昭和5年1月2日朝鮮京城生まれ。ルポライターとなり,「週刊文春」でトップ屋として活躍。昭和37年産業スパイ小説「黒の試走車」で文壇にデビュー。推理小説,風俗小説,時代小説などの分野におおくの作品を発表した。昭和50年5月11日死去。45歳。広島高師卒。作品はほかに「赤いダイヤ」「李朝残影」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「梶山季之」の解説

梶山 季之 (かじやま としゆき)

生年月日:1930年1月2日
昭和時代の小説家;ルポライター
1975年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android