日本大百科全書(ニッポニカ) 「楢川」の意味・わかりやすい解説
楢川
ならかわ
長野県南西部、木曽郡(きそぐん)にあった旧村名(楢川村(むら))。現在は塩尻(しおじり)市の南部を占める。旧楢川村は2005年(平成17)塩尻市に編入。木曽谷の北端、鳥居峠(とりいとうげ)(1197メートル)の北麓(ほくろく)にあり、南方の茶臼山を源として北流する奈良井川(ならいがわ)沿いに集落が続く。奈良井川に並行してJR中央本線と国道19号(中山道(なかせんどう))が旧村域を縦貫する。北部の木曽谷の入口には「是(これ)より南木曽路」の石碑が立っている。平沢(ひらさわ)集落は木曽漆器の主産地。平沢漆器ともよばれ、国の伝統的工芸品に指定されている。漆器店が軒を並べて活気があり、木曽漆器館もある。漆工町として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。贄川(にえかわ)、奈良井は近世の中山道の木曽十一宿のうちで、贄川にある深澤家住宅は国指定重要文化財。当時の番所跡も復原されている。奈良井は当時奈良井千軒とよばれ、木曽谷一の繁栄をみた所で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
[小林寛義]