機械効率(読み)キカイコウリツ(その他表記)mechanical efficiency

デジタル大辞泉 「機械効率」の意味・読み・例文・類語

きかい‐こうりつ〔‐カウリツ〕【機械効率】

機械に与えられたエネルギーと、機械が有効な仕事をするエネルギーとの比。
ピストン内燃機関などで、実際クランク軸から取り出される正味仕事と、燃焼ガスがシリンダー内で行う図示仕事との比。両者の差が機械損失で、摩擦などによって失われる。

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精選版 日本国語大辞典 「機械効率」の意味・読み・例文・類語

きかい‐こうりつ‥カウリツ【機械効率】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 機械が外部になした仕事(出力)と、供給されたエネルギー(入力)との比をいう。つねに一より小さい。実際的にはパーセントで表わされる。
  3. 内燃機関において、燃焼現象によってシリンダー内のピストンに実際になされる単位時間当たりの仕事を指示馬力、これから摩擦による損失をさし引いた実際の機関出力を正味馬力とするとき、正味馬力を指示馬力で割った値をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「機械効率」の意味・わかりやすい解説

機械効率
きかいこうりつ
mechanical efficiency

エンジンの発生する馬力のうち、何パーセントが実際に利用される馬力であるかを示す数値。エンジンの発生する馬力を図示馬力というがこれをLiとし、実際に利用される馬力をLeとすると、Le/Li=ηmでηmを機械効率という。すなわち、実際に利用される馬力はエンジンの発生する馬力全部ではない。エンジンを動かすためには燃料ポンプ、冷却水ポンプ、電源用ダイナモなどの補助機器を動かさなければならない。そのほかピストン、シリンダー摺動(しゅうどう)部、軸受の摩擦、速度変換用歯車の損失などもある。補助機器の運転、摩擦損失などは出力の一部を食う損失である。これらの補器駆動馬力、摩擦馬力をあわせて摩擦馬力Lfとすると、正味馬力Lpは図示馬力Liから摩擦馬力Lfを引いたものとなる。

 生産工場において機械が有効に使用されている度合いを示すのにも機械効率machine utilization(MU)ということばが使用される。全作業時間と、機械が有効に運転されている時間Tとの比で表す。全作業時間には前記の運転時間のほかに、機械が停止している時間、空転している時間が含まれている。

[中山秀太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「機械効率」の意味・わかりやすい解説

機械効率
きかいこうりつ
mechanical efficiency

内燃機関や蒸気機関において,軸出力と図示出力との比をいい,燃焼ガスや蒸気がピストンにした仕事がどれだけ有効に利用されるかを表わすものである。たとえば,滑り合う部分の摩擦のような機械の内部摩擦や補機類の駆動に要する機械的な損失が図示出力と軸出力の差に相当しており,その大小が機械効率に直接関係し,これを改善することが,燃費向上につながる。

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世界大百科事典(旧版)内の機械効率の言及

【馬力】より

…これらは皆同じ内容であり,原動機の軸端から取り出すことのできる動力を意味し,〈馬力〉の語を〈出力〉に置き換えうる場合もある。容積式内燃機関やスターリングエンジンなどで図示馬力というのは,動作ガスがピストン側に伝える熱力学的な仕事であって,前記の正味馬力よりも大きく,両者の比を機関の機械効率と呼ぶ。公称馬力というのは,カタログや銘板に記載されているいわゆる呼び馬力であって,その出力が保証されているとは限らない。…

※「機械効率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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