正尊(読み)しょうぞん

日本大百科全書(ニッポニカ)「正尊」の解説

正尊
しょうぞん

能の曲目。四番目物。五流現行曲。ただし金春(こんぱる)流は昭和の復曲。観世長俊(かんぜながとし)作。源義経(よしつね)(ツレ)暗殺の命令を受けて上京した土佐坊正尊(シテ)は、弁慶(ワキ)に引っ立てられてくるが、そうではないという偽の起請文(きしょうもん)を書き上げて急場を逃れる。酒宴では静(しずか)(子方)が舞う。召使い(アイ)の偵察で夜襲を知った義経たちは、武装をして待ち受ける。押し寄せた正尊の軍勢と、激しい戦闘が繰り広げられ、正尊はついに弁慶に生け捕られる。凄絶(せいぜつ)な戦闘場面とともに、前段の起請文の読み上げが山場で、むずかしいリズムの重い習物(ならいもの)とされる。流儀によってはシテを弁慶、ワキを正尊とする。出典は『平家物語』の「土佐坊斬(き)られの事」など。幸若に同材の「堀川夜討」がある。

[増田正造]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典「正尊」の解説

しょうぞん シャウゾン【正尊】

謡曲。四番目物。観世・宝生・金剛・喜多流。観世彌次郎長俊作。土佐坊正尊は京都堀河御所の義経を討つ計画を、弁慶や義経に気づかれて詰問され、偽りの起請文を書いてのがれ、やがて夜討ちをするが、迎え討たれて捕らえられる。「平家物語」による。

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