殷鑑遠からず(読み)インカントオカラズ

デジタル大辞泉 「殷鑑遠からず」の意味・読み・例文・類語

殷鑑いんかんとおからず

《「詩経大雅・蕩から》かがみとすべき手本は、遠い時代に求めなくても、同じく悪政で滅んだ前代にある。戒めとすべき例はごく身近なところにあるものだというたとえ。

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精選版 日本国語大辞典 「殷鑑遠からず」の意味・読み・例文・類語

いんかん【殷鑑】 遠(とお)からず

  1. ( 「詩経‐大雅・蕩」の「殷鑑遠、在夏后之世」による語 ) 殷の国民の鑑(かがみ)遠くに求めなくても、前代の夏(か)滅亡がよい戒めである。戒めとすべき失敗前例は手近なところにあるの意。
    1. [初出の実例]「君達は既に道徳中毒症を起してるからお気が附くまいが、殷鑑(インカン)遠からず、既にお隣の支那朝鮮道徳の病膏肓に入って全国麻痺しおる」(出典社会百面相(1902)〈内田魯庵〉変哲家)

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故事成語を知る辞典 「殷鑑遠からず」の解説

殷鑑遠からず

戒めとすべき失敗例は、手近なところにあることのたとえ。

[使用例] 万一それからにんじょうにでもなった日には、板倉家七千石は、そのまま「お取りつぶし」になってしまう。殷鑑は遠からず、堀田稲葉の喧嘩にあるではないか[芥川龍之介*忠義|1917]

[由来] 「詩経―大雅・とう」の詩句から。紀元前九世紀の初め、周王朝が衰えた際、それを嘆いて作られたとされる詩で、「殷鑑遠からず、こうの世に在り(殷王朝が鑑とすべきものは、遠くに求めなくてもよい。前代の夏王朝が滅亡したのがよい戒めだ)」とうたっています。

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