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サケ・マスなどの溯河(さくか)性魚種について、それらの魚種が溯(さかのぼ)って産卵する河川を有する国(母川国)が、自国起源の魚種に対して、第一次的な利益と責任を有し、その全回遊域を通じて管理権を行使するという考え方をいう。このような母川国主義は、現在、1977年(昭和52)の日米漁業協定、77年の日米加漁業条約改正議定書、77年の日ソ漁業暫定協定、78年の日ソ漁業協力協定などのなかに取り入れられ、200海里漁業水域の設定と相まって、北洋サケ・マスの日本の操業区域あるいは漁獲割当ては大幅に縮小した。
第三次海洋法会議の準備過程でも、1972年のソ連案、アメリカ案など母川国主義に関する提案がなされ、会議で採択された国連海洋法条約は、溯河性魚種に対し、母川国は、第一次的利益と責任を有し、自国経済水域内で適当な規制措置をとらなければならず、また、関係国と協議ののちに総漁獲可能量を決定することができることなどを規定している。
[水上千之]
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