二つの意味に使われる。一つは大気中の気温分布の高さによる減少率のこと。この減少率は場所によって異なり,また,大気の成層状態によって異なるが,平均的には0.65℃/100mである。
もう一つの意味は空気塊が上昇するとき,空気塊自身の温度の減少率のこと。空気塊がまわりの大気と熱交換なしに上昇するとき,まわりの大気の圧力が小さくなるので空気塊は膨張し,温度が下がる。その温度減少率は,空気塊の中で凝結がない場合は,空気の定圧比熱をCpとすると,g/Cp=0.977℃/mで,乾燥断熱減率といわれる。凝結がある場合の減少率は湿潤断熱減率といわれ,気圧や温度によって異なるが,下層大気では普通0.5~0.6℃/100mである。湿潤断熱減率は空気塊内の凝結による熱放出のため,乾燥断熱減率よりは小さい。
執筆者:菊池 幸雄
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