沂南画像石墓(読み)きなんがぞうせきぼ(その他表記)Yí nán huà xiàng shí mù

精選版 日本国語大辞典 「沂南画像石墓」の意味・読み・例文・類語

きなん‐がぞうせきぼ‥グヮザウセキボ【沂南画像石墓】

  1. 中国、山東省沂南県北寨にある後漢代の画像石を主とした墓。一九五三年発見される。前、中、後の三室と五個の側室からなり、柱、壁、梁(はり)などに戦争図、神仙像、歌舞遊宴図、歴史故事怪獣などを浅い浮き彫りで施してある。

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改訂新版 世界大百科事典 「沂南画像石墓」の意味・わかりやすい解説

沂南画像石墓 (きなんがぞうせきぼ)
Yí nán huà xiàng shí mù

中国,山東省沂南県城の西4kmの北寨村にある。封土は削平され盗掘を受けているが,墓室壁面に多彩な題材を精細に彫り表した画像石墓として知られる。墓室は40cm厚の板石を使い,前・中・後3室を築く。各室中央には角柱があり,柱頭の斗拱(ときよう)で天井を支える。前・中室にはそれぞれ両側に側室をつくり,中室右側室にはさらに耳室がつくられ,奥に厠まで設ける。これら各室間は門道で往来できる。天井は持送り天井で,前室のみ隅三角持送り式天井である。画像は42石に73面があり,浅浮彫で細部を陰刻線で表す。墓門は横額に戦闘場面,門柱伏羲女媧,東王父,西王母,前室は祭祀場面,中室は墓主生前の出行,宴楽,歌舞雑伎と歴史故事,後室は墓主夫妻の日常生活場面で,随所に神仙奇禽怪獣がある。一般の漢代画像が正面側面形を強く示すのに対し,斜め上方からの構図が多く,動きがあって,製作年代を漢以後とする意見も強い。
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百科事典マイペディア 「沂南画像石墓」の意味・わかりやすい解説

沂南画像石墓【きなんがぞうせきぼ】

中国,山東省沂南県北寨村にある後漢末の画像石墓。切石で構築された八つ石室があり,墓門前面や墓室の壁画に,戦争図,東王父,西王母,歌舞,百伎や墓主の日常生活,故事などを描いた多数の画像石を有することで有名。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沂南画像石墓」の意味・わかりやすい解説

沂南画像石墓
きなんがぞうせきぼ
Yi-nan huaxiang-shi-mu

中国,山東省沂南県北寨村にある後漢時代の画像石墓。この石室墓は 1954年に正式発掘されたが,墓頂石を動かした形跡があり盗掘されていた。前室,中室,後室の3つの主室と,東に3つ,西に2つの側室,計8つの室から成る大規模な墓で,画像石は 42個,画面総計は 73幅である。画像の主題には戦争,東王父,西王母,祭祀,出行図,歌舞,百伎,遊宴,歴史物語などが扱われている。

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