沢野久雄(読み)さわのひさお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沢野久雄」の意味・わかりやすい解説

沢野久雄
さわのひさお
(1912―1992)

小説家。埼玉県生まれ。早稲田(わせだ)大学国文科卒業。都(みやこ)新聞社から朝日新聞社に移り、その間、田宮虎彦(とらひこ)、北原武夫(たけお)らから創作への刺激を受けた。女性心理の機微浮き彫りにした芥川(あくたがわ)賞候補作品『夜の河』(1952)、初老の男性の心象風景を描いた『風と木の対話』(1959)など、きめ細かく叙情的な心理描写で知られる。なお、川端康成(かわばたやすなり)の知遇を得たところから、『小説川端康成』(1972~73)がある。

[宗像和重]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「沢野久雄」の解説

沢野久雄 さわの-ひさお

1912-1992 昭和時代後期の小説家。
大正元年12月30日生まれ。都(みやこ)新聞社にはいり,昭和15年朝日新聞社にうつる。24年「挽歌(ばんか)」が芥川賞候補となり,以後「夜の河」「風と木の対話」などを発表。闘病記「生きていた―「ガン」からの生還」もある。平成4年12月17日死去。79歳。埼玉県出身。早大卒。

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