油漬(読み)あぶらづけ

精選版 日本国語大辞典 「油漬」の意味・読み・例文・類語

あぶら‐づけ【油漬】

  1. 〘 名詞 〙 ニシンカタクチイワシなどを軽く塩漬け、または蒸し煮にして、これをオリーブ油に漬けこむこと。また、その食品多く缶詰、もしくはびん詰とする。
    1. [初出の実例]「缶詰の外に酢漬、糖蔵、蜜漬、油漬、煮膏(じゃむ)、凍膏(ぜりー)等の諸物を備えあれども」(出典風俗画報‐一三四号(1897)人事門)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「油漬」の意味・わかりやすい解説

油漬け
あぶらづけ

蒸し煮や湯煮(ゆに)した魚、肉などを植物油に浸し、瓶詰、缶詰にしたもの。植物油は主としてオリーブ油、綿実(めんじつ)油など、比較的安定性のよいものが使用される。缶詰の場合、品名マークの末尾に、オリーブ油漬けは「0」、綿実油漬けは「1」が打たれている。材料としてはイワシマグロサンマカツオサバ、ニシン、アサリカキアワビなど各種のものが使用される。日本における油漬け缶詰の方法は、明治初年にフランス人から伝えられた。製法は、材料により異なるが、一般に、材料を軽く塩漬けしたのち蒸し煮し、植物油とともに缶あるいは瓶に詰め、加熱殺菌を行う。味が十分なじむのにかなりの日数を要し、食べごろになるのは製造後半年以降、3年くらいの間である。風味がよく、オードブルやサラダなどのほか、各種の料理の材料として使用できる。イワシの油漬けはとくにオイルサーディンとよばれる。そのほか、ツナ缶(マグロ)、アンチョビー(ヨーロッパ産のカタクチイワシ科の小魚)などがある。

河野友美・山口米子]


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