油漬け(読み)あぶらづけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「油漬け」の意味・わかりやすい解説

油漬け
あぶらづけ

蒸し煮や湯煮(ゆに)した魚、肉などを植物油に浸し、瓶詰缶詰にしたもの。植物油は主としてオリーブ油、綿実(めんじつ)油など、比較的安定性のよいものが使用される。缶詰の場合、品名マークの末尾に、オリーブ油漬けは「0」、綿実油漬けは「1」が打たれている。材料としてはイワシマグロサンマカツオサバニシンアサリカキアワビなど各種のものが使用される。日本における油漬け缶詰の方法は、明治初年にフランス人から伝えられた。製法は、材料により異なるが、一般に、材料を軽く塩漬けしたのち蒸し煮し、植物油とともに缶あるいは瓶に詰め、加熱殺菌を行う。味が十分なじむのにかなりの日数を要し、食べごろになるのは製造後半年以降、3年くらいの間である。風味がよく、オードブルやサラダなどのほか、各種の料理の材料として使用できる。イワシの油漬けはとくにオイルサーディンとよばれる。そのほか、ツナ缶(マグロ)、アンチョビー(ヨーロッパ産のカタクチイワシ科の小魚)などがある。

河野友美・山口米子]


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