精選版 日本国語大辞典 「油虫」の意味・読み・例文・類語
あぶら‐むし【油虫】
〘名〙
① セミ(半翅)目アブラムシ科とそれに近縁な科に属する昆虫の総称。体長は五ミリメートル以下で、体色は緑、黄、橙、茶、黒など。腹の側に長い口吻(こうふん)をもつ。園芸植物、果樹、野菜などに群生し、汁液を吸ってその発育を害する。春、雌の単為生殖で雌の幼虫を胎生して盛んに増殖し、秋になると雄が生まれ有性生殖により多数の卵を産む。排出物に糖分を多く含み、これを吸うためにアリが好んで集まる。アリはアブラムシの外敵を追い払うため、共生関係の好例とされる。俗称ありまき。蚜虫。《季・夏》
※塵袋(1264‐88頃)四「はぎのえだなどにつくあふらむしと云ふあをきむしのをとなしくなりてはねのおひたるを、ふようひとなつけてかしらにぬる」
③ 「あぶらこうもり(油蝙蝠)」の異名。
④ 昆虫「こがねむし(黄金虫)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
※評判記・剥野老(1662)序「楽やのあふらむしとなりておもひにもえさすらふ」
※浪花聞書(1819頃)「青(虫喰)芝居抔え無銭にて見るものを云江戸て云油虫のことなり」
⑥ 遊郭などでひやかしの客をあざけっていう。ひやかし。
※評判記・吉原讚嘲記時之大鞁(1667か)にくきもの「一あぶらむしのからさわぎ」
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