法医学的目的のために行う解剖をいい、司法解剖と行政解剖(準行政解剖を含む)とに分けられる。司法解剖は刑事訴訟法に基づいて行われるものである。司法検視の結果、犯罪に関係ある死体、もしくはその疑いのある死体について、死因、創傷の部位・程度、成傷器の種類・用法、死後経過時間、血液型、その他参考事項などを明らかにするために、鑑定を嘱託されて行うのが司法解剖であって、その結果は鑑定書として書面で嘱託者に報告される。なお、司法解剖においては、検察官または司法警察員による鑑定嘱託書、および裁判官発行の鑑定処分許可状を確認してから解剖に着手することになっている。
行政解剖は、死体解剖保存法に基づいて監察医が行うものであって、その解剖結果は、所定の報告書をもって所轄警察署に報告される。なお、政令で定められた地以外の地域でも、犯罪死体、変死体を除く異常死体については、死体取扱い規則に基づいて死因などを究明する目的で、遺族の承諾による解剖が行われる(死体解剖保存法7条)。これを準行政解剖、承諾解剖と称する。
法医解剖では、死体確認、死後経過時間の推定、外傷の部位・程度などを観察する外景検査がとくに重要であるが、外因死と病死との区別もまた重要で、諸臓器の肉眼的所見の確実な把握が必要とされる。また、法医解剖では諸検査の必要上、種々の資料を採取しなければならない。最小限必要と思われるものを列挙すれば、血液、胃内容、尿、血液、臓器片、腟(ちつ)内容などがあげられる。
[船尾忠孝]
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