主権者として知るべき法律の仕組みや運用、考え方に関する教育。労働者の解雇、消費者問題、犯罪捜査などの例を用い、どんなルールが必要かを議論する。実用知識の習得より、市民の自由と規制の衝突をどう調整するかなど「考え方」を重視することが多い。裁判員制度導入に関する議論が本格化した2000年ごろから取り組みが盛んになった。
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法律の専門家以外の一般の人々に、法律に親しんでもらうと同時に、法の精神を理解してもらう教育。アメリカでは、LRE(Law Related Education=法律に関連する学習)として、大学や学校を中心に広く展開されているが、日本では法教育は法学部の問題と考えられ、法的な知識や精神を啓蒙(けいもう)する動きは少なかった。
しかし、冤罪(えんざい)やプライバシー、セクシュアル・ハラスメント、近隣騒音、悪徳商法の問題など、日常生活でも法律的な基礎知識をもつことが必要な時代を迎え、それと同時に、基本的な人権や差別と平等ほか、人権教育等を通して、法の精神を学ぶことも重要になった。とくに、2009年5月までに一般市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が導入されるので、市民が法律的な素養をもつことは大事になりつつある。
法教育は、一般の大学の学園祭などの機会のほか、中学や高校の総合的な学習の時間や社会科で取りあげられることが多い。そして、模擬裁判や身近なテーマのパネル・ディスカッション、弁護士のスピーチなど、生徒の関心を集めたものも多い。また、生涯学習の一環として、成人を対象に市民大学などでくふうをこらした学習プログラムの展開が望まれよう。
[深谷昌志]
(土井真一 京都大学大学院教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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