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津本陽 ツモトヨウ

デジタル大辞泉の解説

つもと‐よう〔‐ヤウ〕【津本陽】

[1929~ ]小説家。和歌山の生まれ。本名、寅吉(とらよし)。犯罪小説、企業小説など幅広いジャンルを手がける。剣豪小説ではブーム火付け役となった。歴史小説の幅を広げた人気作家として高い評価を得ている。捕鯨漁民を描いた「深重(じんじゅう)の海」で直木賞受賞。他に「蟻の構図」「夢のまた夢」「下天(げてん)は夢か」など。

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百科事典マイペディアの解説

津本陽【つもとよう】

小説家。本名寅吉。和歌山県生れ。東北大法学部卒。同人誌《VIKING》に参加,1978年郷里紀州を背景にした《深重の海》で直木賞を受賞。《明治撃剣会》(1982年)などの剣豪小説で人気を得る。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

津本陽 つもと-よう

1929- 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和4年3月23日生まれ。会社勤めののち同人誌「VIKING」に参加。昭和53年郷里和歌山県の捕鯨漁民をえがいた「深重(じんじゅう)の海」で直木賞。企業小説,剣豪小説に活躍するほか,信長,秀吉,家康それぞれの生涯を「下天は夢か」,「夢のまた夢」(平成7年吉川英治文学賞),「乾坤の夢」の「夢」3部作にとりあげ,歴史小説の幅をひろげる。17年菊池寛賞。24年歴史時代作家クラブ賞特別功労賞。東北大卒。本名は寅吉(とらよし)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

津本陽
つもとよう
(1929― )

小説家。和歌山市生まれ。本名津本寅吉(とらよし)。先祖は紀州藩の御用両替商で、維新後は炭問屋・材木商などを営んだという。東北大学法学部卒業後、大阪の肥料メーカーに13年間勤めるが、30代半ばに退職し郷里に戻る。その後は実家が所有する土地を売買するために不動産会社を設立、代表取締役に就任。そのかたわら小説を書く意思を固め、同人誌『VIKING』に参加する。それから苦節10年、1975年(昭和50)から78年にかけて同誌に分載された『深重(じんじゅう)の海』(1978)が第79回直木賞を受賞する。明治11年(1878)末、百数十人の犠牲者を出した大量遭難事件と猖獗(しょうけつ)をきわめたコレラの被害に苦しむ、和歌山太地浦の捕鯨漁民たちの姿を、淡々としかし壮絶に描いた傑作であった。以後しばらくは『蟻の構図』(1974)、『恋の涯』(1979)、『土地相続人』(1979)、『わが勲(いさおし)の無きがごと』(1981)、『敗れざる教師』(1982)、『土地に向かって突進せよ』(1981)、『闇の蛟竜(こうりゅう)』(1981)など、犯罪・社会小説を中心とする創作が続いた。
 現在の主たる仕事となっている剣豪・歴史小説の最初の作品は『明治撃剣会』(1982)で、これが第二次世界大戦後の第二次剣豪小説ブームの火付け役ともなった。津本はまた小学生時代から竹刀(しない)を握って剣道に親しみ、現在は剣道三段、抜刀術五段の腕前である。それだけに肉体の動きを基調とした剣戟(けんげき)場面の凄まじさは圧倒的な迫力をもち、新境地を開拓した。その後、『薩南示現(じげん)流』『塚原卜伝 (ぼくでん)十二番勝負』(1983)とこのジャンルの作品を次々と発表、『柳生兵庫助』(1986)では、剣による人間形成という教養小説の側面を持つ作品も生み出した。歴史小説の分野では、紀州の豪商紀伊国屋文左衛門の波瀾の人生を描いた『黄金の海へ』(1989)、8代将軍徳川吉宗の紀州時代を語る『南海の龍』(1983)、さらにその全生涯を描いた『大わらんじの男』(1994)もある。しかし津本陽の真骨頂はやはり3人の戦国の覇者を題材にした、戦国三部作とでも呼べる作品群だ。絶対的なカリスマ性を持ち、乱世・戦国を疾風のごとく駆け抜けた織田信長の人間像に迫った『下天(げてん)は夢か』(1989)、本能寺の変で信長の死を知らされた秀吉が急ぎ帰京し、山崎の合戦をするあたりから筆を起こした『夢のまた夢』(1993~94。吉川英治文学賞)、秀吉の死後に頭角を現す徳川家康の後半生を描く『乾坤(けんこん)の夢』(1997)と、いずれもベストセラーを記録した。2001年(平成13)、新たに発見された史料をもとにした『龍馬』の刊行を開始。[関口苑生]
『『南海の龍』(1983・中央公論社) ▽『龍馬』(2001~ ・角川書店) ▽『蟻の構図』(徳間文庫) ▽『恋の涯』(中公文庫) ▽『土地相続人』『敗れざる教師』『塚原卜伝十二番勝負』『下天は夢か』『土地に向って突進せよ』(講談社文庫) ▽『わが勲の無きがごと』『明治撃剣会』『薩南示現流』『柳生兵庫助』『夢のまた夢』『黄金の海へ』『大わらんじの男』『乾坤の夢』『闇の咬竜』(文春文庫) ▽『深重の海』(新潮文庫) ▽縄田一男著『時代小説の読みどころ』(1991・日本経済新聞社) ▽尾崎秀樹著『歴史・時代小説の作家たち』(1996・講談社)』

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