流動比率(読み)りゅうどうひりつ(英語表記)current ratio; liquidity ratio

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

流動比率
りゅうどうひりつ
current ratio; liquidity ratio

企業の信用能力を分析診断するうえで用いられる指標の一つで,短期の支払能力を判断するために用いられる比率。かつては企業の信用状態を重視して財務内容を分析する銀行家が特に用いたので銀行家比率ともいわれた。この比率は,流動資産÷流動負債によって求められる。アメリカの銀行家 A.ウォールはその長年の経験から,流動比率は 200%すなわち流動負債に対し流動資産は2倍なければ支払能力は安全ではないと主張した。以来これを「2対1の原則」といって流動比率の判断にあたって重要な原則とされてきた。しかし現在の日本の企業はこの原則を満たすものはほとんどなく,最近のデータでも全産業の流動比率は 100%を若干上回る程度である。この事実の解釈をめぐって日本の企業は常に支払能力は不安定で好ましくないとする説と,近年のように企業の収益力や成長力が問題とされる時期においては,2対1の原則そのものの適用は無理ではないかとする説が主張されている。

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ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

流動比率

流動資産/流動負債×100 (%)。 1年以内に支払わなければならない負債(流動負債)に対して、1年以内に現金化できる資産(流動資産)がどの程度あるか、を示す指標。比率が高いほど支払能力があり、200%以上が理想的とされる。(2対1の原則) ただ、流動比率が高くても、不良債権や不良在庫をたくさん抱えている場合は、必ずしも支払能力が高いとはいえない。また、業種や取引条件も考慮にいれる必要がある。現金取引が中心で、在庫を抱えないような業種ならば、多少流動比率が低くても問題にならない。

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大辞林 第三版の解説

りゅうどうひりつ【流動比率】

流動資産を流動負債で割った比率。企業の支払い能力を示す指標の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

流動比率
りゅうどうひりつ
current ratio

企業財務の安全性もしくは健全性を評価する指標の代表的なもの。通常は、貸借対照表の流動資産と流動負債を次の算式によって対比したものである。

 企業経営において短期(おおむね1年以内)に支払(返済)期限の到来する債務(買掛金、支払手形など)すなわち流動負債については、現金のほか比較的換金の容易な銀行預金、売掛金、受取手形、短期貸付金などの流動資産によって十分にカバーできる状態にあることが望ましい。したがって、流動比率は、少なくとも100%を超えて200%に近い数値であることがよいとされている。古くはアメリカの銀行で融資の基準としてもっとも重視されていたことから、これを銀行家比率(バンカーズ・レシオ)といったこともあり、その際は2:1のルールすなわち200%を良否の判断基準としてきた。ただし、流動比率についても、経営指標の特性として絶対的なものでなく、業種や時期等によってほかの指標とのバランスを秤量(ひょうりょう)することが肝要である。[東海幹夫]

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世界大百科事典内の流動比率の言及

【経営分析】より

…とくに財務要因の分析は財務分析ともいわれ,実数法や比率法などを用いて収益性,流動性,回転率などが調べられる。信用分析では,一般に流動比率(流動資産÷流動負債)などの流動性指標や資金運用表が重視されるが,継続して活動する企業にとって支払能力の源泉は収益力であるから,収益性の分析は欠かせない。多くの比率などを総合する場合,ウォールの指数法のように比率にウェイトづけをするのが一般的な方法であるが,統計手法とコンピューターによるデータ処理技術の発達により,多変量解析による分析と総合が可能になり,今日,社債格付け分析や倒産予測分析などにこの手法がとり入れられている。…

【財務分析】より

…企業の財務体質の優劣によって資金調達コストに格差が生じるようになると,企業としては経営の安定性,成長性の両面から自己資本比率を高める必要が生じることになる。(6)流動比率 財務面での流動性をみる指標。流動資産を処分したときに短期的な支払能力がどのくらいあるかを示す。…

※「流動比率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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