企業財務の安全性もしくは健全性を評価する指標の代表的なもの。通常は、貸借対照表の流動資産と流動負債を次の算式によって対比したものである。
企業経営において短期(おおむね1年以内)に支払(返済)期限の到来する債務(買掛金、支払手形など)すなわち流動負債については、現金のほか比較的換金の容易な銀行預金、売掛金、受取手形、短期貸付金などの流動資産によって十分にカバーできる状態にあることが望ましい。したがって、流動比率は、少なくとも100%を超えて200%に近い数値であることがよいとされている。古くはアメリカの銀行で融資の基準としてもっとも重視されていたことから、これを銀行家比率(バンカーズ・レシオ)といったこともあり、その際は2:1のルールすなわち200%を良否の判断基準としてきた。ただし、流動比率についても、経営指標の特性として絶対的なものでなく、業種や時期等によってほかの指標とのバランスを秤量(ひょうりょう)することが肝要である。
[東海幹夫]
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→財務分析
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…とくに財務要因の分析は財務分析ともいわれ,実数法や比率法などを用いて収益性,流動性,回転率などが調べられる。信用分析では,一般に流動比率(流動資産÷流動負債)などの流動性指標や資金運用表が重視されるが,継続して活動する企業にとって支払能力の源泉は収益力であるから,収益性の分析は欠かせない。多くの比率などを総合する場合,ウォールの指数法のように比率にウェイトづけをするのが一般的な方法であるが,統計手法とコンピューターによるデータ処理技術の発達により,多変量解析による分析と総合が可能になり,今日,社債格付け分析や倒産予測分析などにこの手法がとり入れられている。…
…企業の財務体質の優劣によって資金調達コストに格差が生じるようになると,企業としては経営の安定性,成長性の両面から自己資本比率を高める必要が生じることになる。(6)流動比率 財務面での流動性をみる指標。流動資産を処分したときに短期的な支払能力がどのくらいあるかを示す。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」