流域管理システム(読み)りゅういきかんりシステム

百科事典マイペディア 「流域管理システム」の意味・わかりやすい解説

流域管理システム【りゅういきかんりシステム】

川の上流から下流までを一単位とし,その流域にある自治体,林業者,住民らが協力して上流の森林および林業を整備,育成しようとする施策。水資源の涵養など森林が持つ公益的な役割を下流の都市住民にも理解してもらい,これまで山村や林業従事者だけが担っていた森林整備に下流域の自治体や木材流通業者,木材加工業者らの参加を求めていく。 独立採算制の下で経営が破綻(はたん)状態にある国有林野事業の改革の一環として1990年に林政審議会が構想を発表し,1991年の森林法改正によって実施が決定。1992年4月の閣議決定により,この計画を中心に5年間で5兆9000億円の投入が決まった。同システムによって国有林民有林一体管理され,林道などの基盤整備,機械化,担い手の育成と確保などの事業が総合的に展開される。1998年3月末までに全国158の森林計画区で実施。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「流域管理システム」の意味・わかりやすい解説

流域管理システム
りゅういきかんりシステム

低価格の外国産木材の輸入や後継者不足などによる林業の衰退歯止めをかけるために実施されている事業。川の流域を一体化した森林整備,林業,加工・流通システムを再興しようというものである。地球規模での森林破壊が問題となっているなか,清流を保持する一方,林業を再生させることを目的としている。 1990年末に林政審議会が答申,91年度予算から実施された。輸送用道路などの基盤整備のほか,後継者の育成,機械化などが事業の柱となっており,流域の市町村森林組合森林管理署などが一体となって推進体制を組織している。

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知恵蔵 「流域管理システム」の解説

流域管理システム

河川流域を単位として、民有林と国有林及び上流と下流の連携を図り、森林保全と木材の生産・流通・加工までの林業活動を有機的に実施しようとする仕組み。森林法に基づいて設定されている流域(計画区)単位に地方公共団体、営林署、森林組合、林業経営者、木材加工会社などによって設立される流域森林・林業活性化センターが流域管理システムの中心的役割を担う。日本の林業が長期停滞傾向に陥っている一方で、地球規模の持続的な森林経営や国内森林の公益的機能の維持が課題となっていることが背景としてある。

(池上甲一 近畿大学農学部教授 / 2008年)

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