浅田遺跡(読み)あさだいせき(あさださんごうふん)

日本歴史地名大系 「浅田遺跡」の解説

浅田遺跡(浅田三号墳)
あさだいせき(あさださんごうふん)

[現在地名]渋川市中郷

渋川しぶかわ市の北部、利根川上流域の右岸に所在する。旧子持こもち中郷なかごう地区にあたる付近一帯は、六世紀中葉に降下した榛名山噴火軽石が一メートル以上の厚さで堆積しており、降下以前の遺跡をきわめて良好に残している。平成六年(一九九四)から発掘調査を行い、軽石に覆われた六基の円墳(浅田一〜六号墳)が発見され、うち三号墳については古墳全体を調査することができた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浅田遺跡」の意味・わかりやすい解説

浅田遺跡
あさだいせき

群馬県中部,渋川市にある遺跡。集落遺跡が出土した黒井峯遺跡の東約 3kmに位置する。 1997年土地改良のための地下レーダ探査によって発見され,1998年から本格的な発掘調査が始まった。縄文時代から古墳時代にかけての複合遺跡で,縄文時代の配石遺構の上に,水田跡や6基の円墳が見つかっている。円墳の築造直後と推定される5世紀後半から6世紀にかけて榛名山が噴火し,火山灰や軽石が一帯に降り積もったため,円墳全体が当時のままの形で残っている。なかでも直径約 20m,高さ約 2.5mの浅田3号墳は,埴輪を含む墳丘全体がほぼ完全な形で出土した全国初の例として話題を呼んだ。内部には河原石を積み上げた竪穴式石室がある。墳丘の頂上には直径約 8mの輪を描いて 40本の円筒埴輪が等間隔で並んでおり,埴輪列の東西南北にあたる位置にはそれぞれ1本ずつ朝顔形埴輪が,西の朝顔形埴輪の北隣には鶏形埴輪1体が発見された。また墳丘にはウマの蹄 (ひづめ) 跡が無数に残っていたことから,浅田一帯が古代のウマ産地で放牧が行なわれていたと推定される。

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