榛名山(読み)はるなさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「榛名山」の意味・わかりやすい解説

榛名山
はるなさん

群馬県のほぼ中央部、利根(とね)川を挟んで東の赤城山(あかぎやま)に対する火山で、上毛三山(じょうもうさんざん)の一つとして県民に親しまれている。山体は二重式火山で、外輪山は輝石(きせき)安山岩で構成され、円錐(えんすい)型をなし、開析されてヤセオネ峠、臥牛(ふせうし)山、烏帽子(えぼし)ヶ岳、鬢櫛(びんぐし)山、掃部(かもん)ヶ岳(1449メートルで最高)、天神(てんじん)峠、天目(てんもく)山、磨墨(するす)峠などに分かれ、その内側のカルデラ東西4キロメートル、南北2.5キロメートルの楕円(だえん)形で、そこに角閃(かくせん)安山岩で構成される中央火口丘榛名富士(1390メートル)や火口原の沼ノ原、火口原湖榛名湖がある。沼ノ原から榛名富士までロープウェーが通じ、眺望に優れる。また、外輪山東部の山腹に相馬山(そうまさん)、水沢(みずさわ)山、二ッ岳の寄生火山があり、船尾(ふなお)滝がかかっている。二ッ岳の爆発(600年ころ)による軽石(かるいし)が北東麓(ろく)一帯に分布し、コンクリート・ブロックの原料として採掘されている。

 山腹は耕地化が進み、東斜面の折原(おりはら)、六本松(ろっぽんまつ)にはリンゴの特産があり、西斜面には標高900メートルまで第二次世界大戦後開かれた開拓地がみられる。南腹の榛名神社は式内社で権現(ごんげん)造の壮麗な社殿が巌脚(がんきゃく)に建てられ、東腹に伊香保温泉(いかほおんせん)がある。

[村木定雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「榛名山」の意味・わかりやすい解説

榛名山
はるなさん

群馬県中部にある円錐形二重式火山(→成層火山複式火山)。最高峰外輪山掃部ヶ岳(かもんがたけ。1449m)。活火山で,那須火山帯に属し,妙義山赤城山とともに上毛三山の一つ。外輪山は楕円形で東西約 4km,南北約 2.5km,中央火口丘は榛名富士(1391m)。外輪山は輝石安山岩,中央火口丘は角閃石安山岩からなる。中央火口丘西側に火口原湖榛名湖があり,外輪山の東腹には二ッ岳,水沢山などの寄生火山がある。二ッ岳から噴出した軽石は,北東麓一帯に分布し,建築用ブロックの原料となる。広い裾野は標高 600m内外まで耕作され,桑畑のほか,ナシ,ブドウ,リンゴなどの果樹園もある。南東斜面の相馬ヶ原自衛隊の演習場。東斜面の中腹伊香保温泉がある。山頂一帯は榛名県立公園に属する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「榛名山」の意味・わかりやすい解説

榛名山【はるなさん】

群馬県高崎市北西にある活火山。最高峰は外輪山の掃部ヶ岳(かもんがたけ),標高1449m。第三紀層を基盤とし,円錐形の旧成層火山の上に相馬岳,榛名富士,二ッ岳などの溶岩丘が噴出。《万葉集》の伊香保嶺に相当し,中世以降榛名信仰が盛んであった。山頂の榛名湖まで,北東麓の伊香保温泉を経て渋川市から県道が通じる。
→関連項目赤城山吾妻[町]群馬[県]群馬[町]渋川[市]上毛三山高崎[市]榛名[町]前橋[市]箕郷[町]吉岡[町]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

知恵蔵mini 「榛名山」の解説

榛名山

群馬県北部にある活火山群の名称。同じく群馬県の赤城山・妙義山と並ぶ上毛三山の1つで、南西麓の榛名神社など著名な寺社が多くあり、古くから山岳信仰を受けてきた。いくつもの山岳からなる複雑な形状で、最高峰は掃部ヶ岳(標高1449メートル)。山頂部のカルデラ湖である榛名湖と榛名富士(標高1390.3メートル)が名勝として有名で、周辺には伊香保温泉を始めとした幾多の温泉地がある。

(2012-12-13)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

精選版 日本国語大辞典 「榛名山」の意味・読み・例文・類語

はるな‐さん【榛名山】

群馬県中央部にある複式火山。上毛三山の一つ。中央火口丘の榛名富士(一三九一メートル)の外側に、外輪山の臥牛(ねうし)山・烏帽子岳・掃部ケ岳(かもんがだけ)(一四四九メートル)などが連なる。火口原湖に榛名湖、北東腹に伊香保温泉がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「榛名山」の意味・読み・例文・類語

はるな‐さん【榛名山】

群馬県中部にある二重式火山妙義山赤城山とともに上毛じょうもう三山をなす。最高峰は外輪部にある掃部かもん岳で標高1449メートル。中央火口には榛名富士と榛名湖とがあり、北東麓に伊香保温泉がある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

事典・日本の観光資源 「榛名山」の解説

榛名山

(群馬県高崎市・渋川市・吾妻郡東吾妻町)
ぐんま百名山指定の観光名所。

榛名山

(群馬県高崎市・渋川市・吾妻郡東吾妻町)
上毛三山」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典 第2版 「榛名山」の意味・わかりやすい解説

はるなさん【榛名山】

群馬県の中央部にある複式成層火山。赤城山,妙義山とともに上毛三山と呼ばれる。《万葉集》には伊香保嶺(いかほね)の名で詠まれる。関東平野北部に広がるなだらかなすそ野の上に開析のすすんだ急峻な山体をのせる。山頂部には東西に長い長円形のカルデラがあり,その中に火口原湖の榛名湖,円錐形の山容をもつ中央火口丘の榛名富士(1391m)がある。カルデラ壁をつくる外輪山は最高峰の掃部ヶ岳(かもんがたけ)(1449m)をはじめ烏帽子ヶ岳(えぼしがたけ),鬢櫛(びんぐし)山,天目山などからなる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内の榛名山の言及

【上毛三山】より

…古く上毛野(かみつけぬ)国と呼ばれた群馬県にある赤城山榛名(はるな)山妙義(みようぎ)山の三山の総称。関東平野北部から望むことができ,いずれも名山として古来上州の人々に親しまれてきた。…

※「榛名山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

サルノコシカケ

サルノコシカケ科やその近縁のキノコの総称。日本では4科約40属300種が知られ,ブナ林に日本特産種が多い。樹木の幹につき,半円形,木質で厚く堅く,上面には同心円紋があるものが多い。下面には無数の穴があ...

サルノコシカケの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android