海の沈黙(読み)ウミノチンモク(英語表記)Le Silence de la Mer

デジタル大辞泉 「海の沈黙」の意味・読み・例文・類語

うみのちんもく【海の沈黙】

原題、〈フランスLe Silence de la merベルコール小説。1942年、深夜叢書の第1巻として刊行。対独抵抗文学傑作として知られる。1947年、ジャンピエール=メルビル監督により映画化

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海の沈黙」の意味・わかりやすい解説

海の沈黙
うみのちんもく
Le Silence de la Mer

フランスの作家ベルコールの処女短編小説。1942年刊。ナチス占領下、宿舎に割り当てられた田舎(いなか)家に、親仏的で礼儀正しいドイツ青年将校がやってくる。宿舎の主人(=語り手の私)もその姪(めい)も青年の人柄好意を抱くが、無言で応対する。ナチスの欺瞞(ぎまん)性に気づいた青年は、自殺行為に等しい東欧戦線への出発を決意。そのとき沈黙は破られ、姪は「アデュー(さよなら)」のひとことを口にする。占領下の地下出版「深夜叢書(そうしょ)」の第一巻として作者の名を一挙に高め、いまなお香気を失わないレジスタンス文学の傑作。1948年にJ・P・メルビル監督により映画化された。

渡辺 淳]

『河野与一・加藤周一訳『海の沈黙・星への歩み』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海の沈黙」の意味・わかりやすい解説

海の沈黙
うみのちんもく
Le Silence de la mer

フランスの作家ベルコール中編小説 (レシ ) 。 1942年,秘密出版の「深夜叢書」の第1巻として出版。宿をとったドイツ軍将校に対して,「私」と姪は怒濤を内に秘め鳴りをひそめた海のような沈黙をもってこたえる。独仏の和解を願ったその善意の青年が絶望して東部戦線におもむこうとする日,姪は初めて口を開き,ただ一言「さようなら」と言う。人間への愛に満ちたレジスタンス文学の傑作。

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