深海掘削計画(読み)シンカイクッサクケイカク(その他表記)Deep Sea Drilling Project

デジタル大辞泉 「深海掘削計画」の意味・読み・例文・類語

しんかい‐くっさくけいかく〔‐クツサクケイクワク〕【深海掘削計画】

深海底掘削・探索する研究プロジェクト。1968年に米国単独開始。1976年以降は国際協力事業となり、1985年に国際深海掘削計画ODP)に改称された。調査開始から1983年まで、深海掘削船グロマーチャレンジャー号従事大西洋中央海嶺を横断する掘削調査を行い、海洋底拡大説を実証したことで知られる。DSDP(Deep Sea Drilling Program)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「深海掘削計画」の意味・わかりやすい解説

深海掘削計画 (しんかいくっさくけいかく)
Deep Sea Drilling Project

略称DSDP。深海底に掘削を行い,海底の性質を研究する計画。1950年代の国際地球内部開発計画(UMP)の一環としてモホロビチッチ不連続面(通称モホ面)を貫いてマントルまで達しようとしたモホール計画が取り上げられ,予備的な実験が行われたが,成功を見ずに中断された。DSDPでは,モホール計画の失敗を教訓として,モホ面まで貫くという意図はあきらめたが,もっと浅い掘削によって深海堆積物や地殻上部を研究しようというもので,当初はアメリカの数個の海洋研究所が合同・立案し,JOIDES(ジヨイデス)(Joint Oceanographic Institutions Deep Earth Sampling Program)の名のもとに1968年開始された。掘削船としてはグロマー・チャレンジャー号Glomar Challenger(1万1000トン)が使用されてきた。1976年以来,この計画は米,日,英,仏,独,ソ連の国際協同によるIPOD(アイポツド)(International Programme of Ocean Drilling)となり,1983年秋,第96節航海をもって終了した。掘削地点の総数は624ヵ所であった。今後は,新たにより掘削能力の高い掘削船を用いODP(Ocean Drilling Project)の名のもとに国際協同事業として続行が予定されている。

 グロマー・チャレンジャー号の掘削航海は通常2ヵ月をもって1節legとして立案・実施されてきた。初期の段階で,南大西洋において海底年代と大西洋中央海嶺からの距離とがほぼ比例することを確立し,海底拡大説を立証した。その後も,世界の各大洋での海底年代,堆積構造,海底地殻岩石の採集などに大きな成果を上げ,固体地球科学,古生物学,海洋の古環境学などに絶大な貢献をなした。日本周辺では,第31節(フィリピン海,日本海),第56,57節(日本海溝),第58,59節(フィリピン海),第60節(マリアナ弧周辺),第87節(日本海溝,南海トラフ)による掘削が実施された。これらはIPODの中での活動的縁辺域調査の一環として行われたもので,海洋プレートの沈み込みとこれにともなう地殻変動,火成活動,堆積物付加帯形成,背弧海盆生成などの重要問題の解決に向けて多くの知見をもたらした。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

岩石学辞典 「深海掘削計画」の解説

深海掘削計画

モホール計画に続く学術的な海洋底掘削計画で,米国の掘削船グローマー・チャレンジャーによって1968年にメキシコ湾の掘削から始まり1984年までに世界中の624点で行われた.当初は米国科学財団(NSF)の仕事であったが,1975年以後は国際協力となり国際深海掘削計画(International Phase of Ocean Drilling, IPOD)として実施された.1985年からは米国の掘削船ジョイデス・レゾリューションが加わり規模も大きくなり,名称も国際深海掘削計画(Ocean Drilling Program, ODP)へと発展した.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android