日本大百科全書(ニッポニカ) 「清水藤太郎」の意味・わかりやすい解説
清水藤太郎
しみずとうたろう
(1886―1976)
薬学者。薬学博士。仙台市出身。仙台医学専門学校で佐野義職(よしもと)に師事、薬学を研究した。日本および世界薬局方に精通、薬学ラテン語の先駆者。のち漢方大家の湯本求真(きゅうしん)(1876―1941)の高弟。1929年(昭和4)帝国女子医学薬学専門学校(東邦大学の前身)教授を経て、1949年東邦大学薬学部教授となり、83歳まで務めた。また横浜で薬局を開業、多年にわたり神奈川県薬剤師会会長として県民の保健、医薬分業の推進に努め、明治初期に日本の薬学の振興に努めたオランダ人ヘールツの顕彰に尽力した。中央薬事審議会委員、正倉院薬物調査員などを歴任。世界薬史学会アカデミー会員。1954年日本薬史学会を創立、学術誌『薬局』を創刊(1949)した。著書に『日本薬局方五十年史』(1936)、『日本薬学史』(1949)、『薬剤学』(1952)、『明治前薬物学史・薬物需給史』第1巻(1957)、『漢方診療医典』(共著・1969)、『和漢薬索引』2巻(1975)など60冊がある。
[根本曽代子]