清海曼荼羅(読み)せいかいまんだら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「清海曼荼羅」の意味・わかりやすい解説

清海曼荼羅
せいかいまんだら

浄土三大曼荼羅當麻(たいま)曼荼羅、智光(ちこう)曼荼羅)の一つ。超昇寺(ちょうしょうじ)曼荼羅ともいう。平安中期に活躍した大和(やまと)(奈良県)超昇寺の清海が、996年(長徳2)に當麻曼荼羅を模して藕糸(ぐうし)(ハスの繊維)でつくったといわれるが、原本は失われている。通常は模本一種である奈良国立博物館本(奈良・極楽(ごくらく)寺旧蔵)や成覚(じょうかく)寺・浄土寺本をいう。成覚寺・浄土寺本の系統では、外縁に蓮華(れんげ)形を巡らせ、十六観文偈文(げもん)を記している。一説には中国の原本に基づいて図絵されたとも伝える。

[真鍋俊照]

『真鍋俊照著『曼荼羅の美術』(1979・小学館)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清海曼荼羅」の意味・わかりやすい解説

清海曼荼羅
せいかいまんだら

阿弥陀浄土図の一種。長徳2 (996) 年奈良,超昇寺の僧清海が感得したと伝え,奈良時代に成立した『当麻 (たいま) 曼荼羅』や『智光曼荼羅』とともに浄土三曼荼羅と称される。原本は失われたが後世転写本によれば,紺絹地に金銀泥で描き,画面周縁に配した蓮華中に『観無量寿経』十六観の要文を記すのが特色。その浄土の図様は概して『智光曼荼羅』に近いが,仏菩薩の数を増し,より複雑な景観を示す。

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世界大百科事典(旧版)内の清海曼荼羅の言及

【超昇寺】より

…10世紀の末,興福寺の清海がこの寺に住み,7日間の大念仏(超昇寺大念仏)を始め,極楽浄土の曼荼羅をえがいた。これを〈清海曼荼羅〉といい,日本の浄土三曼荼羅の一つに数えられている。中世の戦乱により衰退し,江戸初期にはわずかに堂1宇を残すのみとなり,隆光が復興につとめたが,ついに廃絶した。…

※「清海曼荼羅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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