温量示数(読み)おんりょうしすう(その他表記)index of warmth

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「温量示数」の意味・わかりやすい解説

温量示数
おんりょうしすう
index of warmth

暖かさの示数ともいう。吉良竜夫が 1949年に考案した暖かさの程度を示す示数。植物生育にとって重要な積算温度を簡便に表わしたもの。℃・月 (month degree; m.d.) で示される。植物の生理的ゼロ点を5℃と定め,月平均気温 tが5℃以上を植物が生育できる期間とみなし,温量示数 Tは,その期間について各月の平均気温から5℃を引いた値を合計して得られる。世界各地の温量示数は,ほぼ0~300の範囲にあり,その等示数線のあるものは現実植物帯境界線によく一致する。植物帯との関係は,ツンドラ帯0~15,針葉樹林帯 15~45,落葉広葉樹林帯 45~85,照葉樹林帯 85~180,亜熱帯降雨林帯 180~240,熱帯降雨林帯 240以上である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「温量示数」の意味・わかりやすい解説

温量示数
おんりょうしすう

月平均気温r℃以上の月について、月平均気温と5℃との差を1年間加え合わせた積算温度川喜田二郎吉良(きら)竜夫が考案した気候を表す指数一種。植物の生育には、単にその月の気温が高い低いということだけではなく、ある温度(ここでは5℃)以上の温度の積算値が大きく影響しているという考え方に基づく。たとえば4、5月の気温がすこし低くても、6、7月の気温が高くて、春の低温を補えばよいということである。5℃を基準としたのは、月平均気温が5℃以上になると、植物の生育が活発になるからである。植生からみて、たとえば亜熱帯、熱帯では180℃以上、樹木限界は15℃である。

[大田正次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の温量示数の言及

【気候示数】より

…なお気候の乾湿の度合を表現する乾燥示数は他にもいろいろ考えられている。
[温量示数index of warmth]
 ある一定値以上の気温を合計した積算温度も一種の気候示数である。植物の生育が活発になる月平均気温5℃を基準として,吉良竜夫はそれ以上のnヵ月について年間合計した値を温量示数と定義した。…

※「温量示数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android