愛知県中南部、幡豆郡(はずぐん)にあった旧町名(吉良町(ちょう))。現在は西尾(にしお)市の南部中央を占める一地区。旧吉良町は農漁業と観光の町で、三河湾(みかわわん)に臨み、矢作(やはぎ)古川のつくるデルタ地帯にある。1955年(昭和30)吉田町と横須賀(よこすか)村が合併して吉良町と改称。2011年(平成23)西尾市に編入された。旧町名は荘園(しょうえん)名の吉良荘(しょう)による。名古屋鉄道蒲郡(がまごおり)線・西尾線と国道247号が通じる。三河湾国定公園の一部で、宮崎海岸は海水浴の適地で、吉良温泉もあり観光拠点の一つ。イチゴ、ナシ、ミカンなどの園芸農業、吉良茶、ノリ養殖が盛んで、最近まで製塩業も行われていたが1970年に廃止。江戸時代は吉良義央(よしなか)の領地で、義央は治水(黄金(こがね)堤)、製塩に功績があったといわれ、住民からは名君と慕われ、華蔵(けぞう)寺に墓もある。金蓮寺(こんれんじ)の弥陀(みだ)堂は国宝。源徳寺には吉良の仁吉(にきち)の墓がある。丘陵上には正法寺古墳(国指定史跡)がある。
[伊藤郷平]
『『吉良町誌』(1965・吉良町)』▽『『吉良町史』全8巻(1988~1999・吉良町)』
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