石川啄木(たくぼく)の第二歌集。1912年(明治45)東雲堂書店刊。書名は友人の土岐哀果(ときあいか)(善麿(ぜんまろ))が命名。内容は東京時代の作品194首が三行書きで収められ、ほかに「一利己主義者と友人との対話」「歌のいろいろ」の歌論を収録。代表作には「新しき明日(あす)の来るを信ずといふ/自分の言葉に/嘘(うそ)はなけれど――」など、時代に先駆けした文学者のおもかげを伝えるものや、「胸いたみ、/春の霙(みぞれ)の降る日なり。/薬に噎(む)せて、伏して眼(め)をとづ。」など、啄木最終期の生活を直截(ちょくせつ)に表現したものが多い。夭折(ようせつ)した天才の灰色の生活と思想の記録として短歌史上不朽の生命をもち、その生活に即した独自の歌風は大正以後の歌壇に影響を与えた。
[岩城之徳]
『『一握の砂・悲しき玩具』(講談社文庫・新潮文庫)』
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…続いて起こった大逆事件を契機に,貧しい生活の出口を社会主義に求め,《時代閉塞の現状》(1913刊)等を書いて尖鋭な社会批判を示す一方,短歌をば,現実を改変できない者の悲しい代償行為とみなすにいたった。《一握の砂》(1910)と《悲しき玩具》(1912)にまとめられたその短歌は,冷笑的諧謔性や深い哀傷感をもって日常の感情を率直に歌い,歌壇に画期の新風を呼んだ。11年,慢性腹膜炎と診断され,ついで妻も母も罹病。…
※「悲しき玩具」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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