改訂新版 世界大百科事典 「測程儀」の意味・わかりやすい解説
測程儀 (そくていぎ)
log
ログともいう。船の航程を測定する計器。1時間当りの航程は速力に相当するので,船の速力計も測程儀と呼ばれる。近代的な測程儀が考案される前は,木片(ログlog)を船外に投げ,船内に見通し線を設けてその通過所要時間から速力を求めた。船の測程儀がログと呼ばれるゆえんである。このような歴史的測程儀としては,縄(測程線という)をつけた扇形板を船尾から流し,これが28秒(もしくは14秒)間にどれだけ流されたかを測程線の長さを測って計測する手用測程儀(ハンドログ)がある。この測程線には7mごとに結び目の数を増やした枝縄がつけてあり,船の速力をこの結び目(ノットknot)の数で呼んだことから,現在も船の速力の単位としてノットが使われているのである。
現在使用されている測程儀には次のようなものがある。(1)曳航測程儀 プロペラ状のローテーター(旋回子)を70~200mくらいのひもの先につけて船尾から曳航し,速力に応じて変わるローテーターの回転数を積算し航程を計測するもの。(2)流圧式測程儀 ピトー管を用いて流速による圧力を計測し,これを速力算定の基礎とするもので,サルログとして有名である。(3)電磁ログ 船底に突き出した受感部内のコイルに交流電流を流して磁場を発生させ,船の進行に伴って後方に移動する周辺の海水(導体)がこの磁場を横切るとき,電磁誘導の法則によって生ずる,海水の移動速度に比例した信号電圧を検出するもので,0.1ノット以下の低速力や後進速力も計測できる。(4)ドップラーソナー 船底から海底に向けて超音波を発射し,ドップラー効果を受けた反射波の周波数から船速や横方向の移動速度を計測するもの。対地速力が計測できる。
執筆者:林 尚吾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報