湖州鏡(読み)コシュウキョウ(英語表記)Hú zhōu jìng

デジタル大辞泉 「湖州鏡」の意味・読み・例文・類語

こしゅう‐きょう〔コシウキヤウ〕【湖州鏡】

《「湖州」は中国浙江せっこう地名》中国、代の鏡。四角形・六花形などで文様はなく、背面に鋳造地の地名湖州が鋳出されている。平安中期に日本にも輸入された。

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精選版 日本国語大辞典 「湖州鏡」の意味・読み・例文・類語

こしゅう‐きょうコシウキャウ【湖州鏡】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「湖州」は中国浙江省の地名 ) 背面に鋳造地湖州の地名を鋳出した鏡。中国の宋時代のもので、形は四角形、六花形などがあり、文様はない。平安中期に日本に輸入された。

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改訂新版 世界大百科事典 「湖州鏡」の意味・わかりやすい解説

湖州鏡 (こしゅうきょう)
Hú zhōu jìng

中国の宋代,ことに南宋代に,当時の鏡製作の中心地であった浙江省湖州で作られた鏡。形状は方形円形,八花形,六花形,八稜形,六稜形,猪目(いのめ)形など多様で,柄鏡もある。鏡には〈湖州鋳鑑局官造〉および〈湖州石家造〉の鋳造銘があり,〈石家〉が最も多い。そのほか〈湖州真正石〉〈家青銅照子〉〈湖州真石家□念二叔照子〉〈湖州儀鳳鏡〉〈真西一色青銅鏡〉などの銘がある。この様式の鏡は蘇州杭州婺州明州などでも製作されたが,湖州製が群を抜いている。湖州鏡は中国南部に多いが,北はシベリア,南は東南アジアに及んでおり,中国の鏡式として最も普遍的なものであった。この鏡は中国で実用に供されたのみならず,高麗のほか,日本にも陶器,茶などとともに舶載され,平安・鎌倉時代の経塚から多く発見されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湖州鏡」の意味・わかりやすい解説

湖州鏡
こしゅうきょう
Hu-zhou-jing

中国,宋代に浙江省湖州を中心として蘇州,杭州,明州,常州,秀州,江西省饒州の諸地方で製作された鏡。鏡背に文様のない素文鏡が多く,「湖州真石家,念二叔照子」などの銘文を鋳出すのが一般的である。外国にも輸出した。形体は円鏡,方鏡,猪目鏡,柄付き鏡,八稜,六稜,六花などがおもであるが,この形体は日本の和鏡に多大の影響を与えた。朝鮮遺跡から湖州鏡が出土する例があり,また日本の経塚などからも出土する。

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