湯原王(読み)ユハラノオオキミ

関連語 遠藤宏 有斐閣

精選版 日本国語大辞典 「湯原王」の意味・読み・例文・類語

ゆはら‐の‐おおきみ‥おほきみ【湯原王】

  1. 奈良前期の万葉歌人。志貴皇子の子。「万葉集」に一九首入集。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「湯原王」の意味・わかりやすい解説

湯原王 (ゆはらのおおきみ)

奈良前期,《万葉集》後期の歌人。生没年不詳。天智天皇の孫で,志貴皇子しきみこ)の子。経歴不詳。短歌のみ19首を残し,年代のわかるのは733年(天平5)の3首である。9首が娘子(おとめ)との相聞(そうもん)で機知的だが,他は多く月,七夕,鳴鹿,蟋蟀(こおろぎ)など,愛すべき対象を歌う。父の豊かな歌才を継ぎ,優美,繊細な秀作に富む。〈夕月夜心もしのに白露の置くこの庭に蟋蟀鳴くも〉(巻八)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯原王」の意味・わかりやすい解説

湯原王
ゆはらのおおきみ

生没年未詳。奈良時代の歌人。天智(てんじ)天皇の皇子、志貴皇子(しきのみこ)の子。光仁(こうにん)天皇の弟。政治の表には姿を現していないので閲歴は不明。『万葉集』に短歌19首が残る、後期万葉の代表的歌人の一人。作品には宴席での即興歌や、名不明の娘子(おとめ)との贈答歌もあるが、写実的な歌に佳作が多い。「吉野なる菜摘(なつみ)の川の川淀(かはよど)に鴨(かも)そ鳴くなる山蔭(やまかげ)にして」(巻3)はその代表的な一首で、鴨の声によっていっそう静寂さを増す吉野の自然が鮮やかに詠出されている。総じて、新鮮で繊細な感覚と温和で気品ある歌風を特色とする。

[遠藤 宏]

『渡辺護著『湯原王と娘子の歌』(『万葉集を学ぶ 第三集』所収・1978・有斐閣)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「湯原王」の解説

湯原王 ゆはらのおう

?-? 奈良時代,天智天皇の孫。
施基(しきの)皇子の王子。光仁(こうにん)天皇の弟。万葉後期の代表的な歌人のひとり。「万葉集」に天平(てんぴょう)(729-749)初期の歌が19首おさめられている。

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