(読み)ユ

デジタル大辞泉 「湯」の意味・読み・例文・類語

ゆ【湯】

水を煮えたたせて熱くしたもの。「やかんを沸かす」
入浴するために沸かした水。また、風呂ふろ。「に入る」「に行く」
温泉。いでゆ。「の町」
鋳造に用いる、金属を熱して溶かしたもの。
船の中にたまった水をいう忌み詞。あか。ふなゆ。
煎じ薬。薬湯
みかど又―を立てさせてまゐらんとし給ひけるが」〈太平記・一二〉
[下接語]上がり湯朝湯足湯あつあめあらで湯り湯内湯うぶおか押し湯男湯おも女湯掛かり湯くず薬湯腰湯こつ桜湯さら塩湯仕舞い湯しも生姜しょうが菖蒲しょうぶすす総湯外湯蕎麦そば卵湯茶の湯留め湯長湯煮え湯微温ぬるま微温ぬる練り湯初湯麦湯桃湯もらい湯ゆず沸かし湯若湯
[類語]熱湯煮え湯ぬるま湯白湯さゆ湯水湯冷まし微温湯びおんとうぬる湯熱湯あつゆ湯玉

とう【湯】[漢字項目]

[音]トウタウ)(呉)(漢) タン(唐) [訓]
学習漢字]3年
トウ
熱い水。ゆ。「湯治温湯銭湯熱湯薬湯浴湯
せんじ薬。「葛根湯かっこんとう独参湯どくじんとう
〈ゆ〉「湯気ゆげ湯水産湯うぶゆ重湯おもゆ長湯
難読探湯くかたち白湯さゆ湯麺タンメン微温湯ぬるまゆ湯湯婆ゆたんぽ湯女ゆな

とう〔タウ〕【湯】

中国いん湯王のこと。

たん【湯】[漢字項目]

とう

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精選版 日本国語大辞典 「湯」の意味・読み・例文・類語

ゆ【湯】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 水を沸かして熱くしたもの。熱くなった水。
    1. [初出の実例]「さし鍋に湯(ゆ)沸かせ子ども櫟津(いちひつ)檜橋より来む狐に浴むさむ」(出典万葉集(8C後)一六・三八二四)
  3. のうち、特に入浴に用いるもの。また、入浴することや入浴する所。ゆあみ。湯殿。また、銭湯。
    1. [初出の実例]「ゆのこといそがして、道にのぼりぬ」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  4. 温泉。いでゆ。
    1. [初出の実例]「其の軽(かるの)太子は、伊余の湯(ユ)に流(なか)す」(出典:古事記(712)下(兼永本訓))
  5. 薬湯(くすりゆ)。薬風呂。
    1. [初出の実例]「つとめて御ゆ参るとておはする程に」(出典:本居本宇津保(970‐999頃)蔵開下)
  6. せんじ薬。薬湯(やくとう)
    1. [初出の実例]「いと御腹高くて、息づき臥し給へり〈略〉かき起こして、ゆまゐり給ふを」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
  7. 船中に浸み入ってたまった水をいう、忌みことば。あか。ふなゆ。
    1. [初出の実例]「浪ぢにいたく 行き通ひ ゆも取りあへず なりにける 舟の我れをし〈源順〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑下・五七一)
  8. 鋳造するために熱して溶かした金属。
    1. [初出の実例]「炎を出だし尾をもって叩けば、鐘はすなはち湯となって」(出典:謡曲・道成寺(1516頃))
  9. 小便。ゆばり。

とうタウ【湯】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙はんにゃとう(般若湯)」の略。
    1. [初出の実例]「愚云、去々年始有湯。一衆皆歓喜之。去年亦同前」(出典:蔭凉軒日録‐長享二年(1488)七月一四日)
  2. [ 2 ](いん)の湯王。

よ【湯】

  1. 〘 名詞 〙 「ゆ(湯)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「下の青すべたら湯(ヨ)をふとつもらいませうよ」(出典:滑稽本・旧観帖(1805‐09)初)

ぶう【湯】

  1. 〘 名詞 〙 湯または茶をいう幼児語
    1. [初出の実例]「湯(ブウ)が目へ這入た」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「湯」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音] トウ(タウ)・ショウ(シャウ)・ヨウ(ヤウ)
[字訓] ゆ・あらう

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は昜(よう)。昜に(とう)・暢(ちよう)・傷(しよう)の声がある。昜は台上に玉をおき、その玉光が下方に放射する形で、玉光を示す。その玉光によって魂振りが行われる。神梯の前におくときは陽、万物に霊気を与える根源の力であり、玉光を(よう)という。〔説文〕十一上に「熱き水なり」とあり、熱湯の意とする。湯滌のようにあらう意があり、水勢を「湯湯(しようしよう)」という。・盪(とう)はその派生字である。

[訓義]
1. ゆ、いでゆ、ふろ、熱湯。
2. わかす、たく、にる。
3. あらう、あらいさる、そそぐ。
4. ひろい、大きい。
5. ・宕(とう)と通じ、ほしいまま。
6. くすり、じ薬。
7. 湯湯(しようしよう)は、水勢のさかんなさま。
8. 暘(よう)に通じ、日が出る。

[古辞書の訓]
名義抄〕湯々 ―トナガル 〔字鏡集〕湯 ユ・ヒタス・ナガルルカタチ

[声系]
〔説文〕に湯声として・盪を収める。他にの字などがある。は同字。は大竹、盪は盪滌、みな光るもの、大きなものの意がある。〔説文〕の昜声の字は三十五字。昜は玉光、その玉光のゆらぐさまをいう。

[語系]
湯thang、・盪dangは声近く、・盪はそれぞれ湯の状態をいう。〔説文通訓定声〕に、州語では今も熱水で洗うことを「湯湯」というとあり、古語を存するものであろう。湯声の語に、ゆれ動くもの、勢いのさかんなるものの意がある。

[熟語]
湯湯・湯熨・湯液・湯媼・湯火・湯・湯剤・湯散・湯社・湯酒・湯粥・湯神・湯水・湯泉・湯池・湯点・湯殿・湯熱・湯婆・湯瓶・湯餠・湯・湯・湯沐・湯薬・湯邑・湯桶・湯谷
[下接語]
液湯・煙湯・温湯・金湯・香湯・煮湯・銭湯・探湯・茶湯・熱湯・服湯・沸湯・奔湯・薬湯・浴湯・蘭湯・霊湯

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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