漁夫の利(読み)ギョフノリ

  • ぎょふ
  • の 利(り)
  • 漁夫
  • 漁夫(ぎょふ)の利(り)

精選版 日本国語大辞典の解説

(鷸(しぎ)と蚌(はまぐり)が争っているのを見て、漁夫がその争いを利用し、両方ともつかまえたという「戦国策‐燕策」の故事から) 双方が争っているすきにつけいり、他の者がなんの苦労もなく利益をおさめることのたとえ。当事者どうしが争っている間に、第三者が利益を横取りすること。漁利。
※花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉下「百事意の如くになり独り漁父の利を収ることが出来るであらう」

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ことわざを知る辞典の解説

他人の争いごとに乗じて、何の苦もなく得る利益。

[使用例] ふじのような美人を得たことは、いわば漁夫の利といえないこともなかった[松本清張*或る「小倉日記」伝|1952]

[解説] 「いつぼうの争いは漁夫の利となる」の後半が独立して使われるようになった表現。「戦国策―燕策」に、しぎはまぐりが互いに争ってどちらも引こうとしなかったところ、通りかかった漁夫が苦もなく両方とも捕らえたという故事が見えます。

〔英語〕While two dogs are fighting for a bone, a third runs away with it.(二匹の犬がを取り合うと、他の犬がさらっていく)

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故事成語を知る辞典の解説

他人の争いごとに乗じて、何の苦もなく利益を得ることのたとえ。

[使用例] 百事意の如くになり独り漁父の利を収ることが出来るであろう[末広鉄腸*花間鶯|1887~88]

[使用例] ふじのような美人を得たことは、いわば漁夫の利といえないこともなかった[松本清張*或る「小倉日記」伝|1952]

[由来] 「戦国策えん策」に出てくる話から。紀元前四世紀、中国の戦国時代、ちょうという国が隣国の燕に攻め込もうとしたとき、ある人が、趙王に次のような話をしました。「さっき、私が川辺を歩いていますと、ぼう(どぶがい。または、はまぐり)が貝を開いて日向ぼっこをしていました。そこへいつ(鳥のシギ)がやってきて、蚌を食べてやろうとつついたところ、蚌は貝を閉じて、鷸のくちばしを挟み込んでしまいました。鷸は逃げられなくなりましたが、蚌も貝を開けば鷸に食べられてしまいます。どちらもどうにもできないでいるところに漁夫が通りかかって、両方を捕まえてしまいました。今、趙が燕と戦争をすると、ほかの国が漁夫のように得をすることになりますよ」。それを聞いて、趙王は燕に攻め込むのをやめたということです。

[解説] ❶元の話では、趙王は蚌や鷸の立場にあるわけですが、故事成語としては、漁夫の視点に立って、他人の苦労を利用して当人だけが利益を得る場合に使うのが基本。ラッキーといえばラッキーですが、ずるいというイメージも含んでいます。❷「漁夫の利を得る」「漁夫の利を占める」などの形でよく使われます。なお、「戦国策」の原文では「漁父」ですが、日本語では「漁夫」と書く方がはるかに定着しています。

〔異形〕いつぼうの争い。

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