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漁業管理 ぎょぎょうかんり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

漁業管理
ぎょぎょうかんり

水産資源の保全と適正な利用あるいは漁場利用の秩序の確立の観点から,漁業活動を規制する仕組み。 (1) 水産資源の適正利用の面では,漁業管理の目標は,一般に MSY (maximum sustainable yield最大持続生産) の確保にあるとされる。この考え方は,水産資源を一定の水準に維持しながら,最大の漁獲量を毎年持続的に得るよう漁業活動を管理しようとするものである。また,水産資源を維持するため,産卵期の親魚や稚魚を漁獲から保護することに,漁業管理の目標がおかれることもある。具体的な手段としては,漁獲量や漁獲努力量の規制,網目の大きさ,漁法,漁期の規制などが,管理の目標や漁業の実態に応じて採用されている。 (2) 漁場は多くの漁業者によって利用されているため,一定の利用秩序を設けることが必要である。日本においては,沿岸漁場に漁業権を設定して漁場管理を行わせ,漁場の配分や操業の方式を定め,沖合漁場では,漁業の許可制,操業協定などの措置がとられている。また漁業調整委員会による操業調整も漁業管理の重要な手段となっている。 (→漁業制度 )  

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

漁業管理
ぎょぎょうかんり
fishery management

水産資源利用などのために行われる種々の規制(制限)のこと。漁業規制と同義語に用いられることも多いが、漁業規制は水産資源保護のために行われる規制であり生物学的に資源の有効利用を問題とするのに対し、漁業管理は経済的達成度を高めることを目的に資源を有効利用しようとするものである。
 この意味での漁業管理の必要性を初めて論じたのは、カナダの経済学者ゴードンH. S. Gordonである。彼の理論の背景には、世界でもっとも成功したとされる太平洋オヒョウ(大鮃)の資源管理(漁業規制)、およびそれとは対照的な漁業者所得の貧困があった。多年にわたる漁獲量制限によりオヒョウ資源は最大持続生産量(MSY=maximum sustainable yield)に近い水準まで回復したが、その制限量までの漁獲は自由に競争させたので、漁船の増加と漁獲能率の向上によって操業日数が極端に短くなるなどの不経済を生み、総漁獲量の増加分をすべて漁業費用の増加で食いつぶすという状況に陥ったのである。漁業者のために管理するというのであれば、漁獲量ないし漁獲金額の最大化(すなわちMSY)ではなくて、漁獲金額から費用を差し引いた利益部分の最大化を実現する努力投入を考えるべきだ、というのがゴードンの主張で、これは最大経済生産量(MEY=maximum economic yield)の理論といわれる。その後魚価変動の因子が導入されたり、静態論から動態論への理論の発展がなされる一方、管理方法についてもいろいろの提案が行われている。主要な漁業管理としては漁業許可制、課税制、漁船別漁獲割当て制などをあげることができる。
 漁業許可制というのは、MEYの達成に必要な水準に漁獲努力量(漁船隻数)を制限しようとするものである。しかし、制限された枠内での高能率化競争による過大投資の問題が残る。課税制というのは、MEY部分を課税等で先取りし、漁獲競争そのものは収支一致の経済均衡にゆだねようとする方式である。アメリカなどが外国漁船に課している高率の入漁料はこれに相応するともいえよう。漁船別漁獲割当て制は、各漁業者が割当て量を前提に最低費用による生産を行い、自律的にMEYが達成されることをねらう方式である。かつての南氷洋捕鯨での国別割当て制にその原型をみるが、本格的な実践例はこれからである。日本では漁業権・漁業許可による漁業努力量制限が行われてきたが、その内実は一般に漁業者間の所得・利潤の平衡化を図る以上のものにはなっていない。しかし200海里体制以降、「資源管理型漁業」という用語のもとで、漁業管理の必要性が強調されるようになってきた。[長谷川彰・廣吉勝治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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