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灰吹法 はいふきほうcupellation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

灰吹法
はいふきほう
cupellation

古くから行われていた金,銀の製錬法の一種。パークス法で得られる含金銀亜鉛に2~3%の木炭を加え,蒸留して亜鉛を回収するとあとに金銀4~5%を含む鉛が得られる (これを貴鉛という) 。これを 900~1000℃に予熱した灰吹炉という特殊な炉に装入し,強く空気を吹きつけると鉛その他の卑金属は酸化されて鉱滓化し,品位 99%程度の粗金銀塊が得られる。乾式試金に応用する場合は,粉砕した鉱石に鉛を加えて試金るつぼで溶解し,以後同様に処理する。初めの金銀粉鉱量に対し,得られる金銀粒の重量比がその鉱石の金銀品位である。灰吹法は8世紀アラビアの錬金術師 I.H.ジャビルの発明といわれ,日本には 16世紀に,南蛮人の白水が大坂商人住友寿斎に伝え,銅から金銀が吹分けられるようになり,住友家は四阪島銅山の開発とともにこれによって巨富を築いたと伝えられる。

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百科事典マイペディアの解説

灰吹法【はいふきほう】

金・銀を含む鉛から金・銀を抽出する方法。古くから行われてきた技術で,旧約聖書にも記述されている。骨灰などで作った皿(キューペル)に鉛をのせ,空気を通じつつ約1000℃に熱すると,鉛分は酸化鉛になって皿に吸収され,金銀合金が残る。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

灰吹法
はいふきほう
cupellation

貴金属と鉛の合金(貴鉛という)から鉛を酸化除去して貴金属を取り出す製錬法。溶融鉛は貴金属をよく溶解吸収し、また貴金属よりも酸化しやすいのでこの方法が行われる。
 日本では16世紀初め、この方法が輸入され銀の製錬に用いられた。現在でも非鉄金属製錬で金銀を回収する工程に実用されている。銅や鉛の鉱石中に微量含まれる金銀は、電解精製の際電解液に溶解せずスライムとなって残留する。これを処理する工程で、まず銅、セレン等を分離したのち、溶殿炉で溶融して貴鉛とし、分銀炉で空気流通下で長時間溶融すると、鉛は酸化鉛となって分離され、金銀合金が得られる。これを電解精製してそれぞれ分離回収する。同様な原理が鉱石や合金中の金銀の分析法に応用されており、キューペルcupelとよばれる骨灰製の皿上で貴鉛を溶融酸化して金銀合金粒を得、これを直接秤量(ひょうりょう)する方法が信頼性の高い金銀分析法としてJIS(ジス)(日本工業規格)にも採用されている。[阿座上竹四]

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世界大百科事典内の灰吹法の言及

【金】より

…【水町 邦彦】
[製法]
 日本における金の大部分は銅製錬の際の副産物として回収され,少量の金がシアン化法によって生産されている。金の鉱石としては金を10ppm(鉱石1t中に10g)以上含むものが用いられ,このように少量の金の含有量を正確に分析する方法として灰吹法が古くから使われている。金および銀を含む鉱石を粉砕して,その一定量を試金鉛とともにるつぼで溶融し,骨灰などでつくった皿(キューペル)に入れて空気を吹きつけながら約1000℃に加熱する。…

【銀】より

…その先駆をなしたのは石見銀山で,1533年(天文2)山元で新製錬法に成功した。古代の銀製錬は鉛,硫黄その他の物質を徹底的に酸化して銀を残留させる酸化製錬法であったが,新製錬法は大陸系で,銀鉱に鉛を加え貴鉛をつくり灰吹法で銀を採る法で,近世を通じ全国に流布した。42年但馬国生野銀山が開かれ,前後して山陰,山陽,北陸,つづいて奥羽の諸銀山が採掘された。…

【南蛮吹】より

…この方法は明治時代に入り電解精製が行われるまで続けられた。灰吹法は今日でも行われている。【後藤 佐吉】。…

【灰吹銀】より

…灰吹法によって冶金された銀をいう。山吹銀とも呼ばれ,15~19世紀の日本の銀地金(じがね)の一般的なあり方であった。…

※「灰吹法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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